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47. 暴露①
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「えっ!?誰がそんなことを言ったのですか?」
「今あなたが言ったんでしょう!」
「失礼な、言ってないですよ。公爵がお妾さんにしたことは手を付けたことでしょ。わかってますよ」
「……いい加減にしてください。こんな事態のときに何をさっきからふざけたことを仰っているのですか?」
「フフッ……」
「!」
「貴様!公爵が悲しみに暮れているときに笑うとは何事だ!!」
一人の大臣の野次に更に他の大臣もそうだ!お前が消えればよかったんだ!さっさと消えろ!等々野次が飛ぶ。
「あら、一人のレディに向かって寄って集って下品ですこと」
扇で口元を隠すアリス。しかし、その下に笑みが隠れていることは誰でもわかる。
「アリス」
「はい、王妃様」
「公爵の妾を殺害したのはあなたですか?」
「違います」
はっきりと言い切ったアリスに公爵が声を上げかけるが、さっと王妃が手を上げ遮る。
「では……妾をあのような状態にしたのはあなたですか?」
「はい」
「「「!!!」」」
複数の大臣の目が輝く。気に食わぬカサバイン家の無能娘をこれで処罰できる。声を上げかけ止める。なぜなら真っ先に声を上げるべき公爵が黙っているから。公爵は訝しげな瞳をアリスに向けている。
「もしかして……彼女たちは自らあなたに差し出された毒を飲んだからああなったということかしら?」
「毒ではなく薬です」
「そう、では……「毒だろうが薬だろうが構わん!陛下、この女は自分がやったと自白しました!早急に捕まえ罰するべきです」」
結局我慢できなかった大臣が叫ぶ。その後に再び再燃する野次。本当にこういう奴らは……こらえることもできなければ、力任せに野次を飛ばすことしかできない愚者としか言いようがない。
ちらりと王妃を見る。オー、見事な微笑みに青筋が。手に持つ扇がミシミシと悲鳴をあげているよう。言葉を遮られ、どれだけ内心怒り狂っていることか…………。
失礼ながら笑える。
「皆様方お黙りを。今は王妃様とアリス様が話されているのです。王族の話しを邪魔するなど、どういうおつもりか」
決して大きな声ではないが、公爵の声は皆を鎮めるのに十分な響きがあった。彼らはそんな……とか公爵のためを思って……等々恩着せがましいことを愚痴愚痴と小声で囁いている。
「公爵……気が削がれました。そなたが引き継いでくれませんか?亡くなったのはあなたの妾です。聞きたいこともあるでしょう」
「恐れ入ります。では……」
公爵は王と王子に向かって頭を下げた後、アリスに向き直る。
「アリス様、お聞きいたします。今回の事態を引き起こしたのは私だと先程おっしゃられていましたね」
ええ、と頷くアリス。その目にはしつこいと書いてある。こんなときなのに思わず苦い笑いが出てくる。
「もしや……彼女たちは死を望むほど私から離れたかったのでしょうか?あなたはそれを叶えたということですか?」
「半分正解、半分不正解といったところですわ」
「もう少しわかるように言っていただけないでしょうか」
「彼女たちはあなたのせいで目の光を失いつつありましたが、消えたわけではありませんでした。彼女たちは決して弱い心の持ち主ではありません」
「何を…」
「とは言うものの、権力を持った者からの執着。簡単に逃れられるものではありません。まして、彼女たちには人質もいましたからね」
ざわつく室内。
人質……子供……?
王妃の小さな呟きに場は静まり返った。
「人質?私の子どもたちは好きに出かけております。助けなどいつでも求めることができたのですよ?それに私はどの妻たちも大切に扱ったし、高価なものも与えてきた」
「高価なものを与えれば他の男に思いを寄せる彼女たちの心を得られると思いましたか?」
「私達は愛し合っている」
「彼女たちはあなたに20年近く仕えました。もともと彼女たちがあなたにしている借金の額はそんなに多くありません。もう十分彼女たちは対価を支払ったはず」
「借金……始まりは借金だったかもしれない。でも今は違う。私達は愛し合っている夫婦だ」
「憐れな……」
公爵の顔が歪む。
「愛する者と泣く泣く別れた方たちばかり。借金を盾に愛人関係を迫るエロジジイ……失礼、当時は若かったですね。エロガキと泣く泣く別れた愛する男性……どちらに真の愛があるのかなど聞くまでもありません」
「私は彼女たちを助けたのだ。父親に皆売られそうになっていた者ばかりだ」
「そうみたいですね。確かに娼館に行くよりはマシだったでしょう」
「ええ、もちろんです」
「でも愛し合ってる?助けた?まあ助けたと言えなくもないですが……恩着せがましい。所詮あなたも彼女たちを買って無体を働いたではありませんか。それに彼女たちは20年近くあなたに付き合っております。もう解放してあげるべきです。彼女たちがそう望んでいるのですから」
「私達の間には愛の結晶もいるのですよ。それに何度も言いますが私達は愛し合っているのです。離れる必要などありません」
「彼女たちからも申し出があったはずです。解放されたいと。愛人契約は10年だそうではないですか。もう10年近くも過ぎております」
「契約など関係ない。私達は愛し合っているのだ」
「だから彼女たちは愛してないって言ってるでしょう。愛の結晶?愛があるから生まれるんじゃありません。やることやったから子供ができたのです」
「愛し合っているからできたのです!」
「え~~~い、違うって言ってるでしょうが!もうその思い込み気持ち悪い!!!何よりも人様のものに興奮するのが一番気持ち悪い!!」
「今あなたが言ったんでしょう!」
「失礼な、言ってないですよ。公爵がお妾さんにしたことは手を付けたことでしょ。わかってますよ」
「……いい加減にしてください。こんな事態のときに何をさっきからふざけたことを仰っているのですか?」
「フフッ……」
「!」
「貴様!公爵が悲しみに暮れているときに笑うとは何事だ!!」
一人の大臣の野次に更に他の大臣もそうだ!お前が消えればよかったんだ!さっさと消えろ!等々野次が飛ぶ。
「あら、一人のレディに向かって寄って集って下品ですこと」
扇で口元を隠すアリス。しかし、その下に笑みが隠れていることは誰でもわかる。
「アリス」
「はい、王妃様」
「公爵の妾を殺害したのはあなたですか?」
「違います」
はっきりと言い切ったアリスに公爵が声を上げかけるが、さっと王妃が手を上げ遮る。
「では……妾をあのような状態にしたのはあなたですか?」
「はい」
「「「!!!」」」
複数の大臣の目が輝く。気に食わぬカサバイン家の無能娘をこれで処罰できる。声を上げかけ止める。なぜなら真っ先に声を上げるべき公爵が黙っているから。公爵は訝しげな瞳をアリスに向けている。
「もしかして……彼女たちは自らあなたに差し出された毒を飲んだからああなったということかしら?」
「毒ではなく薬です」
「そう、では……「毒だろうが薬だろうが構わん!陛下、この女は自分がやったと自白しました!早急に捕まえ罰するべきです」」
結局我慢できなかった大臣が叫ぶ。その後に再び再燃する野次。本当にこういう奴らは……こらえることもできなければ、力任せに野次を飛ばすことしかできない愚者としか言いようがない。
ちらりと王妃を見る。オー、見事な微笑みに青筋が。手に持つ扇がミシミシと悲鳴をあげているよう。言葉を遮られ、どれだけ内心怒り狂っていることか…………。
失礼ながら笑える。
「皆様方お黙りを。今は王妃様とアリス様が話されているのです。王族の話しを邪魔するなど、どういうおつもりか」
決して大きな声ではないが、公爵の声は皆を鎮めるのに十分な響きがあった。彼らはそんな……とか公爵のためを思って……等々恩着せがましいことを愚痴愚痴と小声で囁いている。
「公爵……気が削がれました。そなたが引き継いでくれませんか?亡くなったのはあなたの妾です。聞きたいこともあるでしょう」
「恐れ入ります。では……」
公爵は王と王子に向かって頭を下げた後、アリスに向き直る。
「アリス様、お聞きいたします。今回の事態を引き起こしたのは私だと先程おっしゃられていましたね」
ええ、と頷くアリス。その目にはしつこいと書いてある。こんなときなのに思わず苦い笑いが出てくる。
「もしや……彼女たちは死を望むほど私から離れたかったのでしょうか?あなたはそれを叶えたということですか?」
「半分正解、半分不正解といったところですわ」
「もう少しわかるように言っていただけないでしょうか」
「彼女たちはあなたのせいで目の光を失いつつありましたが、消えたわけではありませんでした。彼女たちは決して弱い心の持ち主ではありません」
「何を…」
「とは言うものの、権力を持った者からの執着。簡単に逃れられるものではありません。まして、彼女たちには人質もいましたからね」
ざわつく室内。
人質……子供……?
王妃の小さな呟きに場は静まり返った。
「人質?私の子どもたちは好きに出かけております。助けなどいつでも求めることができたのですよ?それに私はどの妻たちも大切に扱ったし、高価なものも与えてきた」
「高価なものを与えれば他の男に思いを寄せる彼女たちの心を得られると思いましたか?」
「私達は愛し合っている」
「彼女たちはあなたに20年近く仕えました。もともと彼女たちがあなたにしている借金の額はそんなに多くありません。もう十分彼女たちは対価を支払ったはず」
「借金……始まりは借金だったかもしれない。でも今は違う。私達は愛し合っている夫婦だ」
「憐れな……」
公爵の顔が歪む。
「愛する者と泣く泣く別れた方たちばかり。借金を盾に愛人関係を迫るエロジジイ……失礼、当時は若かったですね。エロガキと泣く泣く別れた愛する男性……どちらに真の愛があるのかなど聞くまでもありません」
「私は彼女たちを助けたのだ。父親に皆売られそうになっていた者ばかりだ」
「そうみたいですね。確かに娼館に行くよりはマシだったでしょう」
「ええ、もちろんです」
「でも愛し合ってる?助けた?まあ助けたと言えなくもないですが……恩着せがましい。所詮あなたも彼女たちを買って無体を働いたではありませんか。それに彼女たちは20年近くあなたに付き合っております。もう解放してあげるべきです。彼女たちがそう望んでいるのですから」
「私達の間には愛の結晶もいるのですよ。それに何度も言いますが私達は愛し合っているのです。離れる必要などありません」
「彼女たちからも申し出があったはずです。解放されたいと。愛人契約は10年だそうではないですか。もう10年近くも過ぎております」
「契約など関係ない。私達は愛し合っているのだ」
「だから彼女たちは愛してないって言ってるでしょう。愛の結晶?愛があるから生まれるんじゃありません。やることやったから子供ができたのです」
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