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145.完敗
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アリスはざわつく人々をものともせず、現れたルビーを紹介する。
「皆様ご存知宰相のお孫様のルビー嬢でございます」
「いやいや、いくらなんでもそれはないでしょ!」
そうだそうだ!
追い出された人間だろう!
何を考えている!?
ルカの思わず出た本音に大臣たちも追随する。
がそんなのに動揺するアリスではない。
「まあ怖い……でも、ルビーさんが側室になってくれたら宰相が支援してくれるって言っていますし」
「一度婚約を破棄されているんだぞ!」
「我が国は婚約破棄後にその相手と婚姻してはならないなどという法はございません。過去のことは修道院で償いましたし、心も入れ替えたようですし……。昔とはいえ王子妃教育もしているのです。即戦力で助かるではないですか」
「大して優秀じゃないだろう!?」
「えっ……じゃあクレア嬢の方が優秀なのですか?逆の評判なら聞いたことはありますが。クレア嬢が政務を行える用になるまでどれだけの時間が必要になるとお思いですか?」
「それは申し訳ないが母上とアリスに頑張ってもらうしか……」
「まあ他力本願!超迷惑!」
「そうは言っても僕には何かできるわけでもないし……。ていうか君たちは敵だったはずだろう!どうしてそんな協力関係になってるんだよ!?」
「そうですねぇ……彼女は私が求めるものを持っているものですから。そう……金・労力・金・労力・金・労力・金・労力……」
「ア……アリス…………やめるんだ」
ブランクに小声で窘められ金労力コールを止めるアリス。会議室がなんとも言えない空気に包まれる。
「皆様なぜ反対されるのです?」
「それは、やはり追放された方ですし」
「王室に迷惑をかけ、相応しくないとされたのは事実ですが、誰かを傷つけたわけではありません。強いて言うなら一番の被害者はこの私。別に私は気にしていないのでオールOKです」
だが、でも、と大臣たちは引き下がらない。
「陛下が恩赦を下され修道院を出られ、宰相が籍を戻すことを許し貴族籍も取り戻したのです。過去のことは許されたと考えてよいと思いますが」
む、むうと唸る大臣たち。王や宰相と言われると弱い。とことん強い立場の者に弱いおじさんたちである。
「彼女を迎えることで王室は潤い、王妃様は公務が楽になり、宰相とルビー嬢は名誉回復。ルカ王子が彼女を抱くはずもなし、正妃とも不仲、子供は望めない、クレア嬢はただの愛妾止まり、ということは……?」
「うちの娘にもまだ側室のチャンスが…………?」
その呟きにざわざわと騒ぎ出す大臣たち。
「そう。皆がWinWinですよ~~~~」
皆がWinWin。
「ちょい待て待て!僕は嫌だ!」
「まあお義兄様子供じゃないんですから」
「そういう問題じゃないだろ!せっかく追い出せたルビーを迎えるなんて僕は嫌だ!それに金金と王族がそんなことをいうもんじゃ「ではお金を返してくださいますか?」」
アリスの言葉に皆がよそを向いた。これはあまり聞かない方がいい気がする。
「クレアさんに貢ぐために予算では足りない分、お貸ししましたよね?すぐに返してください」
「……………今は…………無理……です…………」
「金ではない。愛愛と言うのであれば金をかけないように愛してください。というか金金とうるさいというのは金を持っている者が言うことであり、無いものが言ってはいけませんよ」
「……………………」
「それに、公務も限界です」
「それは……君が頑張ればいいじゃないか。お金だって君は持っているんだから融通してくれれば、そのままくれてもいいじゃないか!」
「ルカ義兄様!」
ドン!とアリスの拳が当たった机が真っ二つになる。というか割れた所が雷まで帯びている。怖い。
「私の金は私が稼いだ金。本来王室とは関係のないお金にございます。一応同じ王室の人間だしぃ、王子がお金がないとかださいしぃ、弱味にしていざというときに脅せばいいしぃ、と思いお貸ししましたが……。側室でもなんでもない私になんの関わりもないデカパイ貧乏男爵家の小娘の為にいつまでも融通するつもりはございません!公務につきましては、無理ですね」
「弱味って……最初からクレアを側室にするのを阻止するためにどうぞどうぞってお金貸してくれたんだな!卑怯だぞ!政務はやりなさいよ!君だって王族の一員だろう?それに若いんだし、多少無理をしても大丈」
ルカの言葉を手を軽く上げて制するアリス。
「そもそも借りるほど貢ぐほうがいけないのです。特に私のような性悪女に。ああ、それと政務は怠けようとか思ってはいないのです。ただ少々体調が……」
そう言って、ゆったりと上げた手を自分の腹部に持っていき優しく撫でる。
「まさか……」
皆の目が大きく見開かれる。
「ええ、新しい王族の誕生ですわ。お金持ちの側室は実家からの支援があるので大歓迎ですけれど。貧乏人の側室を迎えては我が子にあてがわれる予算が減ってしまうではありませんか。それは困りますわ。あら?」
静まり返る場に二人の男性の声がした。
「アリス様、おめでとうございます」
「アリス様、お祝い申し上げます」
公爵とハーゲ伯爵だ。その声にはっとする他の大臣たち。
「「「おめでとうございます……。お喜び申し上げます」」」
「おほほほほほ、全く心にも思っていないお祝いの言葉をありがとう!」
アリスの言葉に顔が引き攣る面々。
「や、や、や」
?
アリスは何やら声がする方に顔を向けた。
「やったーーーーーーーーーー!!!私たちの3人目の子供だね!?今度は男の子だろうか女の子だろうか!?ああ!!楽しみだなあ!あ、アリス身体は大丈夫なのかい?何かあれば必ず言うんだよ?」
夫であるブランクだった。
アリスはその様を見て、ゆったりと再度優しくお腹に手を当てた。
そんな幸せそうな彼らを呆然と見ながらルカは呟いた。
「か……完敗だ」
「皆様ご存知宰相のお孫様のルビー嬢でございます」
「いやいや、いくらなんでもそれはないでしょ!」
そうだそうだ!
追い出された人間だろう!
何を考えている!?
ルカの思わず出た本音に大臣たちも追随する。
がそんなのに動揺するアリスではない。
「まあ怖い……でも、ルビーさんが側室になってくれたら宰相が支援してくれるって言っていますし」
「一度婚約を破棄されているんだぞ!」
「我が国は婚約破棄後にその相手と婚姻してはならないなどという法はございません。過去のことは修道院で償いましたし、心も入れ替えたようですし……。昔とはいえ王子妃教育もしているのです。即戦力で助かるではないですか」
「大して優秀じゃないだろう!?」
「えっ……じゃあクレア嬢の方が優秀なのですか?逆の評判なら聞いたことはありますが。クレア嬢が政務を行える用になるまでどれだけの時間が必要になるとお思いですか?」
「それは申し訳ないが母上とアリスに頑張ってもらうしか……」
「まあ他力本願!超迷惑!」
「そうは言っても僕には何かできるわけでもないし……。ていうか君たちは敵だったはずだろう!どうしてそんな協力関係になってるんだよ!?」
「そうですねぇ……彼女は私が求めるものを持っているものですから。そう……金・労力・金・労力・金・労力・金・労力……」
「ア……アリス…………やめるんだ」
ブランクに小声で窘められ金労力コールを止めるアリス。会議室がなんとも言えない空気に包まれる。
「皆様なぜ反対されるのです?」
「それは、やはり追放された方ですし」
「王室に迷惑をかけ、相応しくないとされたのは事実ですが、誰かを傷つけたわけではありません。強いて言うなら一番の被害者はこの私。別に私は気にしていないのでオールOKです」
だが、でも、と大臣たちは引き下がらない。
「陛下が恩赦を下され修道院を出られ、宰相が籍を戻すことを許し貴族籍も取り戻したのです。過去のことは許されたと考えてよいと思いますが」
む、むうと唸る大臣たち。王や宰相と言われると弱い。とことん強い立場の者に弱いおじさんたちである。
「彼女を迎えることで王室は潤い、王妃様は公務が楽になり、宰相とルビー嬢は名誉回復。ルカ王子が彼女を抱くはずもなし、正妃とも不仲、子供は望めない、クレア嬢はただの愛妾止まり、ということは……?」
「うちの娘にもまだ側室のチャンスが…………?」
その呟きにざわざわと騒ぎ出す大臣たち。
「そう。皆がWinWinですよ~~~~」
皆がWinWin。
「ちょい待て待て!僕は嫌だ!」
「まあお義兄様子供じゃないんですから」
「そういう問題じゃないだろ!せっかく追い出せたルビーを迎えるなんて僕は嫌だ!それに金金と王族がそんなことをいうもんじゃ「ではお金を返してくださいますか?」」
アリスの言葉に皆がよそを向いた。これはあまり聞かない方がいい気がする。
「クレアさんに貢ぐために予算では足りない分、お貸ししましたよね?すぐに返してください」
「……………今は…………無理……です…………」
「金ではない。愛愛と言うのであれば金をかけないように愛してください。というか金金とうるさいというのは金を持っている者が言うことであり、無いものが言ってはいけませんよ」
「……………………」
「それに、公務も限界です」
「それは……君が頑張ればいいじゃないか。お金だって君は持っているんだから融通してくれれば、そのままくれてもいいじゃないか!」
「ルカ義兄様!」
ドン!とアリスの拳が当たった机が真っ二つになる。というか割れた所が雷まで帯びている。怖い。
「私の金は私が稼いだ金。本来王室とは関係のないお金にございます。一応同じ王室の人間だしぃ、王子がお金がないとかださいしぃ、弱味にしていざというときに脅せばいいしぃ、と思いお貸ししましたが……。側室でもなんでもない私になんの関わりもないデカパイ貧乏男爵家の小娘の為にいつまでも融通するつもりはございません!公務につきましては、無理ですね」
「弱味って……最初からクレアを側室にするのを阻止するためにどうぞどうぞってお金貸してくれたんだな!卑怯だぞ!政務はやりなさいよ!君だって王族の一員だろう?それに若いんだし、多少無理をしても大丈」
ルカの言葉を手を軽く上げて制するアリス。
「そもそも借りるほど貢ぐほうがいけないのです。特に私のような性悪女に。ああ、それと政務は怠けようとか思ってはいないのです。ただ少々体調が……」
そう言って、ゆったりと上げた手を自分の腹部に持っていき優しく撫でる。
「まさか……」
皆の目が大きく見開かれる。
「ええ、新しい王族の誕生ですわ。お金持ちの側室は実家からの支援があるので大歓迎ですけれど。貧乏人の側室を迎えては我が子にあてがわれる予算が減ってしまうではありませんか。それは困りますわ。あら?」
静まり返る場に二人の男性の声がした。
「アリス様、おめでとうございます」
「アリス様、お祝い申し上げます」
公爵とハーゲ伯爵だ。その声にはっとする他の大臣たち。
「「「おめでとうございます……。お喜び申し上げます」」」
「おほほほほほ、全く心にも思っていないお祝いの言葉をありがとう!」
アリスの言葉に顔が引き攣る面々。
「や、や、や」
?
アリスは何やら声がする方に顔を向けた。
「やったーーーーーーーーーー!!!私たちの3人目の子供だね!?今度は男の子だろうか女の子だろうか!?ああ!!楽しみだなあ!あ、アリス身体は大丈夫なのかい?何かあれば必ず言うんだよ?」
夫であるブランクだった。
アリスはその様を見て、ゆったりと再度優しくお腹に手を当てた。
そんな幸せそうな彼らを呆然と見ながらルカは呟いた。
「か……完敗だ」
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