伝える前に振られてしまった私の恋

喜楽直人

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第二章:ジュディスの恋

1.突然の申し込み

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 奉仕活動の一環として年に2回行われるオークションに向けての会議中にもかかわらず国王からの呼び出しが掛かったことなど初めてで、ジュディスは戸惑った。

「今すぐではなくてはいけないかしら」
「国王陛下より『第一王女を呼んでくるように』と仰せつかっております」

 慇懃無礼な侍従の言葉に鼻白む。
 しかし、いくら自身が責任者となっている会議中であろうと国王陛下であらせられる父の言葉を軽視することはできない。
 ジュディスは周囲へ「ごめんなさい。ちょっと席を外すわ。前年度での改善点を上げて、今年度初の開催が素晴らしい物になるような提案を纏めて置いて頂戴」と指示を出すと、早くしろという内心を隠そうともしない侍従について後を追った。


「お呼び出しをお受けいたしました第一王女ジュディスがお目文字いたします」

 執務室へと呼び出されたのはいつ以来だろうか。
 成人をして、公務を行おうとしない王妃に代わり、それまであくまでお手伝いというていでしかなかった女性王族としての奉仕活動に関する執務一切を請け負うことになったと各所の責任者と顔を合わせて引継ぎを行った時以来かもしれない。

 部屋に入った時に確認したが、父アシェル王だけでなく王太子である兄ヴァルタルまでが不機嫌そうな顔をしてそこにいて胃の辺りがきりりと痛んだ。


「ジュディスよ。コベット国の王子より、見合いの申し入れがあった」

 父王の言葉に、ジュディスは翡翠色の瞳を揺らした。
 執務室ここへと呼び出された意味を、しばし考え、なるほど兄ヴァルタルが不機嫌になる筈だなと思った。

 コベット国とこのフリーゼグリーン王国は、国境線こそ隣接しているものの両国の間に立ち塞がる大きな山脈と深い渓谷に阻まれている為、これまで戦争になったこともなかったが、交流もないままであった。

 しかし、3つほど別の国との交流を介することにより、山脈と渓谷をぐるりと迂回する形で10年前から国交が始まった。謂わばまだ新しい友好国である。

 いまだ王太子は決まっていなかったと思ったが、第一王子は華やかで秀麗な見目もあって、王女のみならず高位貴族の令嬢たちの間で、理想の嫁入り先として熱い視線を浴びている。

 どこまで実際の王子様と似ているのか甚だ疑問ではあるが、巷に出回っている絵姿は、まるでどこかの新劇俳優のようでさえある。
 半分も似ている部分があればいい所だと思っているが、その頭脳に関してだけは、それなりに認めるところだ。

 王女であるジュディスが実際に顔を合わせたことはなかった。友好国となるための式典はお互いの国を仲介してくれた国で執り行ったため、王女であるジュディスもまだ幼かったエルドレッド王子も参列していなかったからだ。

 友好国として交流を深めようと、お互いに歳の近い王子がいるということで、まずは学生同士の交換留学が行なわれることになった。
 こちらへ来たコベット国の生徒たちすべてが優秀であったのは当然だが、こちらからコベット国へ留学した生徒が、コベット国の第一王子に心酔してしまい帰国を拒否したのだ。
 ひとりではない。3人いた生徒すべてが、だ。
 子爵家の長女だけなら、たった一年間の留学で見目麗しい王子に心を奪われてしまったのだなと冷笑を持って受け止められただけだっただろう。
 伯爵家の長男までも帰らないと言い出した時には、家を継ぐ者がいなくなると伯爵の顔が蒼くなったし、ましてや侯爵家の次男が言い出した時には、フリーゼグリーン王国の王宮へ震撼が走った。
 何故なら彼は、次代の宰相と期待される王国の期待の新星だったからだ。
 「視野を広く持ちたい」という彼のたっての願いがなければ、国から出したくなかった虎の子だ。

 だから彼だけは一年間という期限を区切っての短期留学のみ許可したというのに。
 まさか第一王子の側近としての地位を得るために、フリーゼグリーン王国から国籍まで移したいと願い出たのだ。

 結局、当のコベット国の第一王子から「君たちがフリーゼグリーン王国側の窓口となってくれたら安心だ。共に両国を繋ぐ橋となろう」と諭されて、三人共帰国したのだ。
 しかし帰国してからも三人揃って異口同音で奏でられる第一王子への賛辞は止まることを知らず、同じ次代の指導者として兄王子ヴァルタルは苦い顔をしっぱなしだ。

 それが4年前。かのコベット国第一王子殿下が14歳の頃の事だ。

 遠いこの国で神童と謳われた王子は、隔年で行なわれている交換留学生の持ち帰る武勇伝のお陰で歳月を経てもその名誉は未だ地に墜ちることもなく、今もこの国で綺羅星のように憧れを集める存在だ。

 そんな方から婚約の申し込みが来るなど。光栄を通り越して恐縮するどころか、不審なものしか感じられなかった。

 そうして、ふっと閃いた。
 父王は、確かにジュディスを呼び出し、話し始めはしたが、それは相談相手として呼び寄せただけなのではないか、と。

 何故なら、我が国の王女はジュディスひとりではない。
 フリーゼグリーンの花の精だと讃えられる愛らしい第二王女がいる。

「まぁ。リリアーヌに彼の国の王妃が務まるでしょうか」

 王妃という立場は愛らしい見た目だけで出来る訳ではない。
 だが、国王となる者がそれなりに切れ者であるか、側近など周囲を切れ者で固めることができるならば、その横で心を癒す役割を務めるだけでいいのかもしれない。我が国のように。
 母親である王妃に対して不敬な考えを抱いてしまったことが伝わったのか、睨みつけてくる兄ヴァルタルの視線に、ジュディスは気が付かない振りをし続けた。

(怖い怖い。まったくお兄様はお母様がだいすき過ぎなのよ)

 確かに未だにこの国で最も高貴で最も美しいと讃えられているだけあって母ラヴィニアは三人も子供を産んでいるとはとても思えない。
 長い睫毛に縁どられた大きな瞳、やさしげな弧を描く眉、ちいさめな鼻とふっくらとした赤い唇。つやつやの頬。そのどれもが未だに少女めいている。

 今も若々しく美しいフリーゼグリーン王国の華ラヴィニア王妃。

 ジュディスと並んでもまず姉妹だと思う人が大半で、初見から母娘だと気が付く人は少ないほどだ。

 美しい自分が大好きな母は、初めての子でありこの国の唯一の王子である長兄ヴァルタルと自分に似ている妹リリアーヌを甘やかすばかりで、その反対に自分にまったく似ていないジュディスに対していつも厳しい。

 自らの美貌を保つことに囚われて公務を放り出しがちな王妃に代わり、成人する前から公務を肩代わりしているのはジュディスだというのに。

 ラヴィニア王妃は、「誰より美しい存在として陛下の横に立つ、それこそが王妃としての務め」だと口に出して憚らず、近隣諸国から取り寄せた新しい化粧品や美容法、それと豪華な宝飾品やドレスを新しく誂えることで一日を終える。
 そして「美しさを保つには沢山の種類の食材を贅沢に使った食事を摂り、たっぷりの睡眠は絶対なの」と寝てしまう。そうは言っても夜会などには必ず出席して人々の賛辞を集めることは大好きなので、寝るのは夜半になってからだが。その分、昼までたっぷり睡眠を取るのだ。

 王妃が先頭に立って指示するべき仕事は大幅に滞ってしまうので、今はジュディスがその役割を担っている。勿論すべての公務というではない。王妃の公務の内、女性が執り行うべき奉仕活動全般をジュディスが、城内の人事などの取り纏めは兄ヴァルタルと分担して廻している状態だ。

 だからジュディスは国内の貴族と婚姻を結び、このまま王妃の公務の一部や女性王族として果たすべき職務を、兄ヴァルタルの婚約者が結婚して王太子妃となった暁には肩代わりしてくれるはずだ。その日がくるまでジュディスが担っていくのだと思っていた。

「いいや。お前宛てだ、ジュディス。 素晴らしいご縁だ。あんな過去のあるお前には過ぎたご縁というべきだな 」

 父王の当て擦りにジュディスの胸は痛んだ。
 いいや、父王にとっては当て擦りのつもりなどないのかもしれない。単なる事実を口にしただけなのだろう。
 ジュディスは『あれだってあなたが組んだ縁組でしょう』と嫌味のひとつも言ってやりたかったが、身の程をわきまえているジュディスは心の中で毒づくだけにした。
 そうして何でもないことだと話を戻した。

「あぁ。コベット国の第二王子様からですか」

  コベット国には、有名な第一王子の5歳下の第二王子もいたはずだ。
 名前も知らない第二王子。ジュディスの4歳下ということになるけれど王族の結婚なら、許容範囲内だろう。第二王子ならば婿入りすることも可能かもしれないし、考える余地はある。

「いいや、ヤミソン第二王子からではない。間違いなく、エルドレッド =アンブローズ・コベット第一王子からだよ」
「え?」

 会ったことも無いのに?
 コベット国の王子に関して、留学生たちが持ち帰った噂で有名なように、まさかあちらへ帰って行った留学生たちが、ジュディスについて良い噂を持って帰ってくれたのだろうか。それで、ジュディスと結婚したいと考えるようになったのだろうか。

 けれど、噂に聞く有能さならば噂程度で結婚相手を選ぶ訳がないとジュディスは思い直した。

(そもそも結婚したいと思うような良い噂とは、どんなものかしら。まさか地味な顔の女性が好みだなんてことはあるかしら)

 止めようとしてもつい思いに馳せるジュディスを、兄の言葉が現実へと引き戻した。

「本当に。なんでなんだ。不思議でならない」

 兄ヴァルタルが呆れた様子で疑問を口にする。
 はっきりと口にはしていないモノの、ジュディスの存在を伴侶に求めたコベットの王子を貶すものだった。

「ヴァルタル、よしなさい」
「フッ。長く付き従っていた護衛騎士すら繋ぎとめることもできなかった癖に。あぁ、伯爵家の次男ですら相手にされなかったジュディスに縁を求めるなど、コベット国の王太子殿下は女の趣味が悪いのか。あぁ、それとも噂ほど聡い方ではなかったということか」

 兄ヴァルタルの思いやりの欠けらもない言葉に、ジュディスは唇を噛んだ。
 てのひらをギュッと握り締め怒りを抑える。
 多分、大きくはコベット国のエルドレッド王子への反発なのだろうが、だからといってわざわざジュディスの過去を引き合いに出すことはないだろうに。



 その時、バン、とはしたなく扉を開けて呼ばれてもいない者が駆け込んできた。

「あの有名なコベット国の第一王子様から求婚ですって? すぐにお受けすると連絡して、おとうさま!」

 割り込んできたその愛らしい声に、ジュディスはげんなりした。

「リリアーヌ。今、父上とお話をしているのは私です。せめてきちんと挨拶はしなさい」

 1歳下。ジュディスの暗い焦げ茶の髪と翡翠色の瞳とは何処も似ていない。母ラヴィニア譲りの明るい金の髪と甘く熟れた桃色の瞳の持ち主。愛らしい笑顔に癒されると周囲から甘やかされて育ってきた第二王女リリアーヌ。
 そんな可愛らしい妹姫に小言ばかりいる姉姫の態度を見て、『先代王妃とそっくりだ。正しくはあるのだろうが、あれは僻んでいるのだ』と後ろ指を差されているのは知っている。けれど、それでもジュディスは妹に王族として最低限のマナーだけは守らせたいと、どんな時でもマナー違反を咎めることを止めるつもりはなかった。

 案の定、リリアーヌはジュディスのお小言を素直に受け入れる気はないようだ。赤く形のいい唇を突き出し滑らかな頬をぷうと膨らませて、周囲に対して拗ねているのだとアピールしていた。

 いつもなら末の姫に甘い父王も、呼んでもいない席に乱入してのやりたい放題に苦い顔をしていた。
 リリアーヌが王子からの縁談を自分に来た物だと信じているのが伝わってきたからだろう。

 たった1つしか違わない妹姫のことを父も母も兄も大層可愛がっている。甘やかすばかりで、王女としての公務を負わせることすらしないのだ。父など「一生嫁に行かずに傍にいればいい」とまで口にして、欲しがるものは何でも与えた。

 実際の所、リリアーヌは勉強が嫌いで母に似たのか華やかなモノばかりを好むので、パレードや夜会への参加は積極的だが地道な奉仕活動やイベント開催協議の会議などには一切参加しようとしなかった。それこそ王族が中心になって執り行うべきことだとジュディスは考えているし、実際に国民からの声が直接聞けるいい機会であると思っている。
 だが、リリアーヌにも参加させるべきだというジュディスの主張は、いつもラヴィニア王妃によって一蹴されてしまうのだ。
「賢しらな王女は嫌われるものなのよ」
 何度耳にしたか分からない母の諭すようでジュディスを貶しめる言葉。

 このままでは、もしリリアーヌを臣下へ降嫁させたとしてもいつまでも王女然として婚家へ迷惑を掛けるばかりになってしまう。
 ましてや友好国に嫁に出すなどもっての外だ。フリーゼグリーンのように美しい国母をありがたがる国ばかりではない。浪費しかしない他国から来た王子妃や未来の王妃が民からの支持を集めることなどできるはずがない。フリーゼグリーン王国の恥を晒すことになってしまう。

 だからと言う訳ではないが、どちらにしろリリアーヌに今回の縁談に口を出す権利はないというのに。

「あー、そのな。リリアーヌ。この縁談はその……」
「あぁ! さすが名高きコベットの第一王子様ですわね。私のことを、ちゃあんと見つけてくださったのね! お見合いに向けてドレスやアクセサリーを沢山新調しなくてはいけませんね。ウェディングドレスや嫁入り道具の用意も急いで開始しなくては!」
「ああぁ。リリアーヌ。落ち着いてくれ。なぁおい、ヴァルタル、ジュディス! 黙っていないで、なんとかしてくれ」

「いいじゃないですか、父上。リリアーヌに会えばきっと、コベット国の第一王子殿下も見合い相手の変更を喜んで受け入れて下さるでしょう」

 兄の悪意ある口添えにリリアーヌがはしゃいでいるのを横目に、ジュディスはため息をついた。
 兄はきっと、エルドレッド王子がリリアーヌの美しさに捕らわれることになったなら鼻で笑うつもりなのだ。可愛がっている妹への扱いではないだろうと思うのだが、今更だ。

「そういうことでしたら、私へのお話は以上で終わりですね」

 能天気にも自分のところへきた縁談だと信じ込んでいるリリアーヌに対して、言葉を言い淀む父と諫めるどころか炊きつけるような兄。

 ジュディスは薄く笑って、心の中で見切りをつける。

 それ以上何も告げることはないとばかりに、静かに淑女の礼を取ると父王の制止を振切って退室した。


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