26 / 26
第三章:王太子の想い
5.頑固者の恋
しおりを挟む
■
「未来の王子妃は、何を大声を出しているんだ?」
「れ、レット」
「あら。朴念仁の未来のお義兄さま。おかえりなさいませ」
「朴念仁?」
エルドレットが首を傾げている間に、アーリーンは部屋の隅へとジュディスを連れて行き、その耳元でけしかけた。
「この国では女性は家も爵位を継ぐこともできますし、国政にも参加できます。強いのです。だから、好きになった男性への想いを、自分から告げることもできるのですわ」
頑張って下さいね、と励ますとアーリーンは出て行ってしまった。
「なんだ。アーリーンはヤミソンに会いにいってしまうのか」
「ヤミソン様とはご一緒ではなかったのですか?」
「私が? いいや、ヤミソンには急遽仕事を代わって貰っただけだよ。……あぁ、よかった」
なにやら手を顔のすぐ横に置かれて、瞳を覗き込まれる。
顔が、近い。
「な、なにか?」
どきまぎと胸が激しく鼓動した。
先ほどアーリーンが唆していった言葉が頭を巡る。
「うん、ずっと探していたあなたの瞳と同じ色の翡翠が見つかったと連絡がきてね。実際に目で確かめてみたくなって、出掛けていたんだ。良かった。ちゃんとジュディスの瞳の色と同じだ」
にっこりと笑って手にした翡翠を見つめる深い青の瞳が、蕩けていた。
「私の瞳の色の石は王宮でたくさん所持しているのだが、翡翠は数が少なくて。どうしても納得できなかったのだけれど、これで婚約のお披露目の際にはお互いの色を身に着けて参加できるね」
震える唇を、ジュディスは懸命に動かした。
「あの、あのね。レット。わたし、あなたが」
その言葉の続きを言おうとした時、唇が押さえられた。
あの、馬車の中と同じ。
あの時、恋をするなら自分にと言った癖に。
ジュディスからの告白は、拒否されてしまった。
「その続きについては、できれば私から言わせて貰いたい。許されるならば、庭園に移動して、花束を用意する時間も欲しい。それと……」
「だめ。この国に来たからには、私は、強くなるって決めたの」
エルドレットの言葉をジュディスはひと言で拒否すると、笑顔でその腕の中へと飛び込んだ。
「未来の王子妃は、何を大声を出しているんだ?」
「れ、レット」
「あら。朴念仁の未来のお義兄さま。おかえりなさいませ」
「朴念仁?」
エルドレットが首を傾げている間に、アーリーンは部屋の隅へとジュディスを連れて行き、その耳元でけしかけた。
「この国では女性は家も爵位を継ぐこともできますし、国政にも参加できます。強いのです。だから、好きになった男性への想いを、自分から告げることもできるのですわ」
頑張って下さいね、と励ますとアーリーンは出て行ってしまった。
「なんだ。アーリーンはヤミソンに会いにいってしまうのか」
「ヤミソン様とはご一緒ではなかったのですか?」
「私が? いいや、ヤミソンには急遽仕事を代わって貰っただけだよ。……あぁ、よかった」
なにやら手を顔のすぐ横に置かれて、瞳を覗き込まれる。
顔が、近い。
「な、なにか?」
どきまぎと胸が激しく鼓動した。
先ほどアーリーンが唆していった言葉が頭を巡る。
「うん、ずっと探していたあなたの瞳と同じ色の翡翠が見つかったと連絡がきてね。実際に目で確かめてみたくなって、出掛けていたんだ。良かった。ちゃんとジュディスの瞳の色と同じだ」
にっこりと笑って手にした翡翠を見つめる深い青の瞳が、蕩けていた。
「私の瞳の色の石は王宮でたくさん所持しているのだが、翡翠は数が少なくて。どうしても納得できなかったのだけれど、これで婚約のお披露目の際にはお互いの色を身に着けて参加できるね」
震える唇を、ジュディスは懸命に動かした。
「あの、あのね。レット。わたし、あなたが」
その言葉の続きを言おうとした時、唇が押さえられた。
あの、馬車の中と同じ。
あの時、恋をするなら自分にと言った癖に。
ジュディスからの告白は、拒否されてしまった。
「その続きについては、できれば私から言わせて貰いたい。許されるならば、庭園に移動して、花束を用意する時間も欲しい。それと……」
「だめ。この国に来たからには、私は、強くなるって決めたの」
エルドレットの言葉をジュディスはひと言で拒否すると、笑顔でその腕の中へと飛び込んだ。
266
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様
すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。
彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。
そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。
ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。
彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。
しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。
それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。
私はお姉さまの代わりでしょうか。
貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。
そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。
8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された
この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE
MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
紫の瞳の王女と緑の瞳の男爵令嬢
秋野 林檎
恋愛
「わ……私と結婚してください!」と叫んだのは、男爵令嬢ミーナ
プロポーズされたのは第一騎士団の団長、アークフリード・フェリックス・ブランドン公爵
アークフリードには、13年前に守りたいと思っていた紫の髪に紫の瞳をもつエリザベスを守ることができず死なせてしまったという辛い初恋の思い出があった。
そんなアークフリードの前に現れたのは、赤い髪に緑の瞳をもつミーナ
運命はふたりに不思議なめぐりあいの舞台を用意した。
⁂がついている章は性的な場面がありますので、ご注意ください。
「なろう」でも公開しておりますが、そちらではまだ改稿が進んでおりませんので、よろしければこちらでご覧ください。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら
雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」
「え?」
伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。
しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。
その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。
機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。
そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。
しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。
*他サイトでも公開しております。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
私が育てたのは駄犬か、それとも忠犬か 〜結婚を断ったのに麗しの騎士様に捕まっています〜
日室千種・ちぐ
恋愛
ランドリック・ゼンゲンは将来を約束された上級騎士であり、麗しの貴公子だ。かつて流した浮名は数知れず、だが真の恋の相手は従姉妹で、その結婚を邪魔しようとしたと噂されている。成人前からゼンゲン侯爵家預かりとなっている子爵家の娘ジョゼットは、とある事情でランドリックと親しんでおり、その噂が嘘だと知っている。彼は人の心に鈍感であることに悩みつつも向き合う、真の努力家であり、それでもなお自分に自信が持てないことも、知っていて、密かに心惹かれていた。だが、そのランドリックとの結婚の話を持ちかけられたジョゼットは、彼が自分を女性として見ていないことに、いずれ耐えられなくなるはずと、断る決断をしたのだが――。
(なろう版ではなく、やや大人向け版です)
優柔不断な公爵子息の後悔
有川カナデ
恋愛
フレッグ国では、第一王女のアクセリナと第一王子のヴィルフェルムが次期国王となるべく日々切磋琢磨している。アクセリナににはエドヴァルドという婚約者がおり、互いに想い合う仲だった。「あなたに相応しい男になりたい」――彼の口癖である。アクセリナはそんな彼を信じ続けていたが、ある日聖女と彼がただならぬ仲であるとの噂を聞いてしまった。彼を信じ続けたいが、生まれる疑心は彼女の心を傷つける。そしてエドヴァルドから告げられた言葉に、疑心は確信に変わって……。
いつも通りのご都合主義ゆるんゆるん設定。やかましいフランクな喋り方の王子とかが出てきます。受け取り方によってはバッドエンドかもしれません。
後味悪かったら申し訳ないです。
あなたが残した世界で
天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。
八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
わ〜、続きがあったんですね♪
エルドレッドとジュディス、きっと二人でよく話し合ったり 良き理解者でいられて、より良い国造りをする国王と王妃になるでしょうね。
面白い物語をありがとうございました。
芹香さん、こんばんはですー
エルドレッドさまの想いが伝わってないかなーと思ったの
実は準備大変だったんですよーと書いてみました。
少しはエルドレッドさまのジュディスへの想いが
読者さま達にも伝わるといいなーと思います。
楽しんで貰えたら嬉しいです!
ある意味エルドレッドの告白って究極ですよね。
国1番の腹黒王子がここまでジュディスを信頼していることって凄い事ですよね。自分の背中を安心して預ける事ができる存在は、彼のような立場の人からしてみればとっても貴重な得難い存在だと思います。
リコさん、おはようございますー
そうなんです!
伝わって嬉しいですー💖
それでも自己評価の低いジュディスには
それがなかなか伝わらなくて
書いてた私ももどかしいですー ><
可愛いお姫様が2人紹介され
次は3人目かな?と思いきや
2人並びました!
可愛い2倍!!
エルド兄様グッジョブ!(笑)
今回ジュディちゃん視点でしたが
アーリーンちゃん視点の
「ジュディお義姉様、素敵!」
もあると良いな、
いやきっとある筈、楽しみ!!
‥と拳握ってます(^^)
いや王子達の想いが主軸かもですけど(笑)
この先も楽しみにお待ちしています!
ulalumeさん、おはようございますー
主役が交代するタイプの続き物では、前ヒロインと現ヒロインが
一緒に出てきて仲良くなるお話が好きです💖
倍おいしい気がします( ´艸`)
最後まで楽しんで貰えると嬉しいです!
嬉しい感想ありがとうございました🎶