乙女ゲームのヒロインなんてやりませんよ?

喜楽直人

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「スマフォとかインターネット。あの、パソコン使って情報を集めるんですけど、そういうの判りますか?」
「それはあれかしら。パソコン通信のことかしら」
 そこかぁ。その辺りでかぁ。
「まぁ大丈夫よ。隣国との戦闘は簡単に終わるから。乙女ゲーのイベントだし。
 それに負けても問題ないのよ?
 勝たないと好感度上がらないけど、負けても特殊スチルあるし。勝っても負けても美味しい仕様なのよ! 素敵でしょう?
 でもやっぱり勝利スチルの方がテンション上がるわね! りんたんとね、その時一番好感度の高い攻略対象者がね、…ぐふっ♡ お素敵よね。いいのよ。眼福なよぅ。
 あー、でも負けスチルも、あれはあれで味があるというか。いやん、やっぱり甲乙付け難いわぁ。
 まぁ、戦争イベントは今年じゃなくて来年だから。まだ気にしないでいいと思うの」
 じゃないよ! ここはゲームみたいな世界だけど、ここで生きている人がいるんだもん。
 戦争になったら誰かの大事な人が死んじゃうんだよ? 回避できるなら絶対にしないとダメなのに。なんでそんなに自分には関係ないって言えるんだろう。

「公爵令嬢なら、王国の民の為にできることをちゃんとしなさいよね!!」
 王太子といい公爵令嬢といい。この国はどうなっているのよ。
 偉そうにするだけが貴族じゃないでしょう。政治しなさいよね。
「エリゼ、皇太子について、何か情報はないのか」
 ようやく王太子様の再起動が掛かったらしい。状況を把握したのかまともなことをいっている。おぉ、王太子様が王太子様してる!
 口いっぱいに詰め込んだメイプルシュガーマフィンを紅茶で流し込んだエリゼさんが、それを請けて、ん~っとちょっと考え込んだ。なんでもいいから情報を思い出してほしい。
 とにかく動くにしてもなにか手掛かりがないと。

「んー。特にないわね。ゲームだと、そろそろ秘密結社の秘密の儀式で猫の姿にされている筈ね」
 猫かぁ。この街、野良も飼い猫もいっぱいいるんだよねー。模様とか特徴的だったりしないのかなぁ。
「ごく普通の猫よ? 青地に黒いブチ模様の雄猫」
 …それって。王太子とムーアさんと、3人で顔を見合わせた。まさか、ねぇ? そんなお手軽なことって。そんなのないよねぇ。



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