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既成事実を作ろうと企てたニコラスは魔法薬師で愛人の元を訪ねたのである。
逢瀬に来たわけではないと知った愛人メイジーは若干ふてくされて彼を招き入れた。
「昏倒薬を作れ、成分がバレないように調合しろ」
「……わかったわ、三日ほど待って」
ニコラスは彼女の返事を聞いて「遅い」と文句をつけたが「王族への献上品が遅れたら責任とれるのか」と聞かれて顔を歪ませた。小心者の癖に気が強い彼だが権威に弱いのだ。
「わかった、三日で譲歩していやる!三日後のこの時間までに必ず完成させておけよ!」
「ええ」
言質を取り些か機嫌が良くなったのか、彼は小遣いをせびり取ると繁華街の方へ消えていった。二階の窓からその様子を見送っていたメイジーの表情には愛なんてものは感じない。
「クズを煮詰めて腐敗したような男だわ……」
彼女はそのように愚痴ると調合用のビーカーに安い酒を注いで原液のまま飲み干す、そして一息つくと仕事を再開させた。王族から請け負っているのは王の腰痛緩和の薬と精力剤、王妃注文のアンチエイジング効果の薬だ。
「はん!どいつもこいつも自分の欲望ばかりね!王の欲しい薬は愛妾を閨に呼ぶ為のもの、王妃はだるっだるに弛んだ皮膚を誤魔化す為のもの……バカよね。薬は万能ではないのよ、副作用が無い魔法薬?そんなものこの世に存在するかよ!!!」
少し酔ったらしい彼女は本音をぶちまけて笑い飛ばした。
副作用がないと見せかけるための魔法を仕上げた薬に唱えた、赤黒かった水薬は透明に化けてガラス瓶に注がれた。次は緑と紫の気色の悪い薬が透明になって薬瓶へと注がれる。それぞれにラベルを貼れば終了だ。
「思ったより早く出来ちゃった……はぁ、クズ男のは明日でいいわ」
そして彼女は王城へ繋がる通話魔道具を持ち上げると「注文の品が仕上がった」と報せる。
一仕事終えた彼女は気怠そうにカウチに寝そべると城からの使いがくるまで惰眠を貪るのである。
約束通りの三日後。
ほぼ時間通りにやってきたニコラスは早速薬を受け取って共に来いと言う。
彼はメイジーに犯罪の片棒を担がせる気なのだ。
逢瀬に来たわけではないと知った愛人メイジーは若干ふてくされて彼を招き入れた。
「昏倒薬を作れ、成分がバレないように調合しろ」
「……わかったわ、三日ほど待って」
ニコラスは彼女の返事を聞いて「遅い」と文句をつけたが「王族への献上品が遅れたら責任とれるのか」と聞かれて顔を歪ませた。小心者の癖に気が強い彼だが権威に弱いのだ。
「わかった、三日で譲歩していやる!三日後のこの時間までに必ず完成させておけよ!」
「ええ」
言質を取り些か機嫌が良くなったのか、彼は小遣いをせびり取ると繁華街の方へ消えていった。二階の窓からその様子を見送っていたメイジーの表情には愛なんてものは感じない。
「クズを煮詰めて腐敗したような男だわ……」
彼女はそのように愚痴ると調合用のビーカーに安い酒を注いで原液のまま飲み干す、そして一息つくと仕事を再開させた。王族から請け負っているのは王の腰痛緩和の薬と精力剤、王妃注文のアンチエイジング効果の薬だ。
「はん!どいつもこいつも自分の欲望ばかりね!王の欲しい薬は愛妾を閨に呼ぶ為のもの、王妃はだるっだるに弛んだ皮膚を誤魔化す為のもの……バカよね。薬は万能ではないのよ、副作用が無い魔法薬?そんなものこの世に存在するかよ!!!」
少し酔ったらしい彼女は本音をぶちまけて笑い飛ばした。
副作用がないと見せかけるための魔法を仕上げた薬に唱えた、赤黒かった水薬は透明に化けてガラス瓶に注がれた。次は緑と紫の気色の悪い薬が透明になって薬瓶へと注がれる。それぞれにラベルを貼れば終了だ。
「思ったより早く出来ちゃった……はぁ、クズ男のは明日でいいわ」
そして彼女は王城へ繋がる通話魔道具を持ち上げると「注文の品が仕上がった」と報せる。
一仕事終えた彼女は気怠そうにカウチに寝そべると城からの使いがくるまで惰眠を貪るのである。
約束通りの三日後。
ほぼ時間通りにやってきたニコラスは早速薬を受け取って共に来いと言う。
彼はメイジーに犯罪の片棒を担がせる気なのだ。
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