完結 お姉様、婚約者を譲っ……やっぱ良いです!

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
2 / 9

反省したカメリア

しおりを挟む



「ああ!私ったらなんてことをしてきたのかしら?」
姉から奪ったドレスと宝石類、しかも先ほどは婚約者を譲れだなんて言おうとした己を信じられなかった。

姉ルアナの婚約者はアドニス・グラハード王太子である、それを軽々しく欲したのだ。あり得ない事だと彼女は青褪める。

「お姉様は王家に所望されて嫁ぐのよね、それを奪おうなんてとんでもないことだわ、それに……」
アドニス王太子はちょっとオツムが緩い人である、それを御せるのは姉だけだ。改めて反省したカメリアはただ見目の良いだけの王太子を犬猫のように譲れと言おうとした事を恥じた。



「ごめんなさい、お姉様。これまでの事を謝ります」
着古したドレスはともかくとして強奪してきた宝石を彼女は返した、その中にはルアナの母ルイーゼの形見も含まれている。ルアナはそっとそれを手に取り涙を流す。

「いったいどうしたと言うの?」
「私はこれまでの事を反省したのです……まだ信じて下さらないでしょうけど」
「……えぇ、そうね。俄かに信じ難いことだわ」

それを聞いたカメリアは俯いて「ごめんなさい」と零した。疑心暗鬼なルアナはその様子をただ黙って見守る。

「ねぇ、貴女が反省しているのならば、私にチョッカイを掛けるのは止めるのよね?これまで私はこの家に身の置き場が無かったわ、とても悔しい思いをしてきたの」
「もちろんです!敢えて距離を取ります、私のせいで叱られるようなことはしません!」
「まぁ……」

カメリアの変わり様に驚いた姉は胡散臭いものを見る目をした、やはりすぐには信じてくれないようだ。それだけの事をしてきたのだと彼女は猛省するのであった。



***


翌日、公爵家の馬車が揺れていた。ルアナとカメリアを乗せて王都学園へ向かっているのだ。さすがに朝出る馬車は共有するほかない。

カメリアは馬車内で縮こまり車窓を見るフリをした、姉の方は見ないようにと彼女なりの配慮だ。
「……はぁ、そこまで徹底しなくとも良いわよ。肩が凝るでしょう」
「え!はい、ありがとうございます姉様」

終始委縮しているカメリアの様子を見た侍女がルアナを睨んでいた。公爵家では主人たちが贔屓するカメリアが絶対的存在なのだ。その侍女の態度にカメリアは怒った。

「いま貴女、お姉様を睨んだわね!許せないことだわ!」
「え?あの……カメリア様?」
思わぬ叱責を食らった侍女は途端に青褪めて「申し訳ございません」と謝罪を口にする。

「お姉様は何もしていないわ、良くって?もし余計な事を母に言いつけたら只じゃおかないから!」
語気強めにそう宣う彼女を見てルアナと侍女は更に驚く。

「いったい貴女どうしたと言うの?」狼狽する姉は扇を広げて彼女を見た。
「いいんですお姉様!貴女はいつも正しいのですもの」
「は、はあ?」

姉第一になってしまったカメリアはルアナを敬うように頭を垂れた。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

醜貌の聖女と呼ばれ、婚約破棄されましたが、実は本物の聖女でした

きまま
恋愛
王国の夜会で、第一王子のレオンハルトから婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リリエル・アルヴァリア。 顔を銀の仮面で隠していることから『醜貌の聖女』と嘲られ、不要と切り捨てられた彼女は、そのまま王城を追われることになる。 しかし、その後に待ち受ける国の運命は滅亡へと向かっていた——

申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。

芹澤©️
恋愛
王太子の元へ側室として嫁いだ伯爵令嬢は、初夜の晩に宣言した。 「申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。」

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです

白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」 国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。 目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。 ※2話完結。

婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます

藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。 彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。 去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。 想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。

愚かな王太子に味方はいない

遥彼方
恋愛
「オレリア・ヴァスール・ド・ユベール。君との婚約を破棄する」  20歳の誕生日パーティーの場で、俺は腕に別の令嬢をぶら下げて、婚約者であるオレリアに婚約破棄を言い渡した。  容姿も剣も頭も凡庸で、愚直で陰気な王太子。  全てにおいて秀才で、華麗な傑物の第二王子。  ある日王太子は、楽しそうに笑い合う婚約者と弟を見てしまう。 二話目から視点を変えて、断罪劇の裏側と、真実が明らかになっていきます。 3万文字強。全8話。「悪女の真実と覚悟」までで本編完結。 その後は番外編です。 この作品は「小説になろう」にも掲載しております。

虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を

柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。 みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。 虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

処理中です...