融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)

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実家に戻った私を待っていたのは親戚全員でした。
みんな晴れやかな顔です、叔父様はすでに美酒に酔っています。

「ただいまみんな!」
「おかえり!人質お疲れ様、愛しいディエ!辛い思いをさせてごめんなさい」
お母様が私を抱きしめ泣いています。

「だいじょうぶ、白い結婚だったもの。失うものは何もなかったわ」
「まぁそれは良かった!ささ、極上のワインを用意したのよ、乾杯しましょう」

離縁と解放おめでとう!そう叫んで祝杯をあげました。
とてもポジティブですね、一応悲しい事情なんですけど。

「金喰い虫と縁が切れたのだ、いやぁ酒が美味いなー」
お父様が満面の笑みでグラスを傾けます、飲みすぎは駄目ですよ?

「ふふ、喜んでいただけて良かった、でも我が家が傾いてしまって悔しいわ」
「ディエや、我が家は事業失敗などしとらんぞ、安心しなさい」
お父様はガハハハと大笑いしました。

あら?
てっきり公爵家に食い荒らされて不憫なことになったとばかり……。

「失敗したと見せかけたのだよ、自社工場を撤退させたと思わせたのだ。立地が良いところに名を変えて移転しただけだ。見事に悪評が広まって公爵が騙されてくれたよ」

社名を変更して、表向き倒産したとみせかけたのだと叔父が言います。
支社や売店などの名前まで一斉に変えた為、他所へ買収されたと世間は誤解したとか。
策士ですね!

「それでは融資を止めたのはワザとなんですね?」
父と叔父が満足げに頷きます。

我が一族の事業はワインをはじめとする飲料の生産です、いま飲んでいるワインも我が家のもの。
なるほど私もすっかり騙されました、こんな美酒を作れる会社が傾くわけありませんね。

「面白かったよ、融資が出来なくなったと言った時の公爵の顔ときたらプククク」
「私のためにこんな大がかりなことを?」
青くなる私に父は慌てて訂正します。

「公爵は自領の立て直す名目で融資させていたのを裏切っていてね。再興したら返済すると誓ったくせに興遊に散財してたのだよ。これが許せるわけがない!あちらの有責は確定している厳しい取り立てがすぐ始まるだろう」

あらー気の毒、ケツの毛まで毟られても弁済できるかしら?
ケツの毛に価値があるとは思えないけど。あらやだお下品!
愛人と再婚どころか、1週間後には日々のパンも食べられるかわからないわね。

「次の夜会で、わが社は社名変更と新事業を展開すると宣伝するつもりだ。愚鈍共がどう豹変してくるか楽しみだな!」

馬鹿公爵みたいな連中を篩落とせたようね、起死回生ね!
崩壊も敗北もしてないけど。
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