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黄色いアネモネ
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あれから五回目の茶会は開かれなかった、ディアナが体調不良を起こし”そちらに伺えそうもありません”と詫び状が届きレスリー家にアネモネの花束贈られて来た、その意味を知れば恋心が拗れつつある事を知れただろう。だが、ブラッドは花には無頓着な男子で「花は綺麗ならば良い」と言う考えだった。
其れゆえに方向違いの返事をしてしまうのだ、『キミの心は受け取った、ありがとう』というメッセージを綴ってしまった。そのカードを受け取ったディアナは悲しみに暮れる。
「貴方は花言葉を知らないの?それとも……あぁ、なんて悲しい」
その日は一日寝て過ごした、起きればまた嫌な考えに陥るからだ。寝不足を理由に睡眠薬を処方して貰いただぐっすりと惰眠を貪るのであった。
そんな彼女を見兼ねたパースデン夫人は「このままではいけないわ」と諭す。
「貴女はどうしたいのかしら?彼の真意を知り婚約を見合わせたいのかしら、それとも距離を置く?」
「……お母様、私はどうにもグチャグチャで考えが纏まりません。どれがブラッド・レスリー様の本当の姿なのか」
力なく微笑む我が子を見て「恋しちゃったのねぇ」とむず痒い気持ちになった。
***
「貴方、あの子は恋を知らないまま嫁に行くべきでした。ですが、恋とは素晴らしいもの。身を焦がし不安に揺れるものですわ。私はなんて助言すべき?」
「え?ううむ……そうだなぁ」
反応の薄い卿に苛立った夫人は「貴方」と絶対零度の冷たい声を出した。すると「ひっ」と小さい悲鳴を上げる、卿は夫人に頭が上がらないようだ。
貴族同士の結婚は契約に過ぎない、わかっていて結婚する。それでも極稀に恋愛に発達する場合もあるが、ほとんどの夫婦は寝室も別で、生活も分けていて対話することもほとんどしないのだ。
二人の交流はメッセージカードだけのやり取りが続き、やがてそれが当たり前になりつつあった。何とかせねばと頭を悩ませるブラッドだったが肝心のディアナが『会いたくない』と頑なに拒否をする。
「どうしてだい、あんなにも愛を語り合ったというのに」
何か拙い事をしただろうかと、あのアネモネの押し花のしおりをクルクルと指で弄ぶ。
そこに招かれざる客がやってきた、ブリタニーである。彼は凄く嫌そうに顔を顰めたがブリタニーはどこ吹く風である。今日も商談に訪れたロベル卿にくっついて来たらしい。
「あらぁ、不穏な花だことねブラッドぉ。黄色いアネモネだなんて」
「え?それはどういう……」
「知らないの?これだから男子は困るわ、花言葉よ花言葉!”はかない恋”というのがアネモネの意味よぉ」
それを聞いたブラッドはガタリと音を立てて椅子を倒した。
「なんてこと……あぁ私はどれほど彼女を傷つけたのだろう」
其れゆえに方向違いの返事をしてしまうのだ、『キミの心は受け取った、ありがとう』というメッセージを綴ってしまった。そのカードを受け取ったディアナは悲しみに暮れる。
「貴方は花言葉を知らないの?それとも……あぁ、なんて悲しい」
その日は一日寝て過ごした、起きればまた嫌な考えに陥るからだ。寝不足を理由に睡眠薬を処方して貰いただぐっすりと惰眠を貪るのであった。
そんな彼女を見兼ねたパースデン夫人は「このままではいけないわ」と諭す。
「貴女はどうしたいのかしら?彼の真意を知り婚約を見合わせたいのかしら、それとも距離を置く?」
「……お母様、私はどうにもグチャグチャで考えが纏まりません。どれがブラッド・レスリー様の本当の姿なのか」
力なく微笑む我が子を見て「恋しちゃったのねぇ」とむず痒い気持ちになった。
***
「貴方、あの子は恋を知らないまま嫁に行くべきでした。ですが、恋とは素晴らしいもの。身を焦がし不安に揺れるものですわ。私はなんて助言すべき?」
「え?ううむ……そうだなぁ」
反応の薄い卿に苛立った夫人は「貴方」と絶対零度の冷たい声を出した。すると「ひっ」と小さい悲鳴を上げる、卿は夫人に頭が上がらないようだ。
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「どうしてだい、あんなにも愛を語り合ったというのに」
何か拙い事をしただろうかと、あのアネモネの押し花のしおりをクルクルと指で弄ぶ。
そこに招かれざる客がやってきた、ブリタニーである。彼は凄く嫌そうに顔を顰めたがブリタニーはどこ吹く風である。今日も商談に訪れたロベル卿にくっついて来たらしい。
「あらぁ、不穏な花だことねブラッドぉ。黄色いアネモネだなんて」
「え?それはどういう……」
「知らないの?これだから男子は困るわ、花言葉よ花言葉!”はかない恋”というのがアネモネの意味よぉ」
それを聞いたブラッドはガタリと音を立てて椅子を倒した。
「なんてこと……あぁ私はどれほど彼女を傷つけたのだろう」
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