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お姉様には敵わない
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「やめてくださいっ!!私は、あなたの所有物をやめたいと言っているのです!!」
私の大声で、婚約者様の動きが止まりました。同時にライナーと他の二人の動きもピタリと止まりました。
「婚約者様、私にはもう利用価値はありません。いくらあなたが頑張ったところで、姉はもう結婚してしまいます。・・・もう無理なのです。ですから、お願いですから、もう私を解放してください。」
気が付くと、辺りが静まり返っていました。ゾンビ令嬢達も真っ青な顔で固まっています。
遠くから、騒ぎを聞きつけた先生達が何人も駆けてきました。
「ユニーナ!! 違うから、誤解だから!お願いだ!こっちを見て、ちゃんと話を聞いて!! ユニーナ!! ねえ、ユニーナ!! 嫌だ!!離れないで!」
そして、先生に両脇を抱えられながら婚約者様は連れて行かれたのでした。同時にライナーと、止めに入った二人も連れて行かれました。
私に手を上げた令嬢が、先生に付き添われて私の目の前まで来ました。彼女は、目に涙を浮かべて口元を振るえる手で押さえながら謝ってきたのです。
「あの・・・ごめんなさい。私・・・知らなくって。利用とか、役目とか・・・、そんな・・・そんなこと。ただ、アレイド様はいつもあなたのことを見ていたから、でも私、そんな理由だったなんて、考えもしなくて・・・。ごめんなさい・・・私・・・・あなたに酷いこと、たくさん・・・ごめんなさい。 うっ・・・」
普段から高圧的な彼女が、ポロポロと涙を零しながら謝っている姿を見た私は、どこか過去の自分と重なるような気がして、先ほどまでの怒りや頬の痛みも忘れてしまうほど、痛々しいものに見えたのでした。
(この人は、本当に彼のことが好きだったのでしょうね・・・。でもね、あなたの恋は決して実りはしない。だって、私のお姉様には敵わないのですから・・・。)
「いいです。もう、何もおっしゃらないでください。もう、いいんです。誰のことも恨んでいません。ただ、この後は、どうか何事もなかったように静かに過ごさせてください。私の望みはそれだけです。」
私は、軽く頭を下げるとその場を離れました。
帰宅後、まるで何事もなかったように家族は普通でした。ただ、私の腫れた頬を見た瞬間、母の顔が強張り、あからさまに目を逸らすと、急いで濡れたタオルを持ってきてくれました。
「本当はもっと早くに冷やせばよかったのにね・・・。」
(やはり、もう我が家にも連絡が届いていたのね・・・。何から何まで私が至らないばかりに、周りに嫌な思いばかりさせてしまう。なぜいつも私はこうなのかしら・・・。本当に情けないわ・・・。)
私は、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、俯いたまま、お母様に謝りました。
「お母様・・・。ごめんなさい。やはり私では、ここまでが限界でした。こんな騒ぎを起こしてしまってすみませんでした。」
すると、お母様は俯いている私の背中を優しく擦りながら話始めたのです。
「いいえ。いいのよ。今回の学園でのことは・・・あなたが謝ることではないわ。ただ、これからどうするのか、お父様とちゃんとお話した方がいいわね。
あとね、ユニ、少し話を聞いてほしいんだけど。貴族だからって、家の為に結婚してほしいなんて、私もお父様も考えていないのは分かってくれているのよね?ミズリーはたまたま良縁に恵まれて侯爵家へ嫁ぐことになっているけれど、家柄より何より、あの子は本当に好きな人と結婚するのよ。だから、あなたにもリョシューにも、本当に好きな人と一緒になってほしいって思っているわ。私達はね・・・アレイドと一緒になることが、あなたにとって一番の幸せだと思っていたの。でも、もしかしたらそれは違っていたのかもしれないわね・・・。お互いの誤解が解けたなら、きっと良い方向に進むと勝手に思い込んでしまっていたの・・・。だから、あなたの気持ちに気付かない振りをしてここまで来てしまった。ごめんなさい・・・。あなたの気持ちを無視して私達が決めていいことではなかったのにね。ユニーナ、これから少し大変になるかもしれないけれど、決して後悔のない道に進みなさい。こらからは、あなたが選んだ道を私達は全力で応援しますから。」
これからは、私の気持ちを優先すると言ったお母様でしたが、なぜかその表情が、少し寂しそうに見えるのは気のせいなのでしょうか・・・。
「ありがとう、お母様。・・・本当は私も、お姉様のように好きな人に愛されて幸せになりたいです。 ですが、こんな私を必要としてくれる人が、この先本当に現れるのでしょうか・・・。私なんかを好きになってくれる人がいるのでしょうか・・・。情けない話ですが、いつも他のご令嬢達に自分の悪い所をたくさん指摘されていました。ですが、全部その通りに思えて、私には反論することができませんでした。足りないものばかりなのです・・・。私には、誇れるものが何もありません・・・。」
「ユニ、そんなことないわ。あなたはそのままでもとても素敵なのよ。ミズリーも、ユニもリョシューも、三人とも私達夫婦の自慢なのよ? 大丈夫!ユニの良いところはたくさんあります。あなただけを愛してくれる人が必ず現れます。たとえ、あなたが気付かなかったとしても、その時は私達に任せなさい。私達が、ちゃんとあなたを特別に思ってくれる人を見極めます。あなたを幸せに導くように努力しますから。困った時は頼りなさいね。私達はユニの味方なのですから。」
(え・・・?私の気持ちを優先してくれるのではなかったのですか?家族が導くの・・・また? それって今までと何も変わっていないように思えるんですけど・・・。)
「・・・はい。ありがとう・・・お母様。」
慰めて貰っていたはずが、いつの間にか追い打ちをかけられたような形で会話が終わると、玄関の方で大きな声が聞こえて来ました。お母様と二人で顔を見合わせ、急いで一階へ降りて行くと、珍しいことにお姉様とスワルス様が激しく言い争いをしていました。
私の大声で、婚約者様の動きが止まりました。同時にライナーと他の二人の動きもピタリと止まりました。
「婚約者様、私にはもう利用価値はありません。いくらあなたが頑張ったところで、姉はもう結婚してしまいます。・・・もう無理なのです。ですから、お願いですから、もう私を解放してください。」
気が付くと、辺りが静まり返っていました。ゾンビ令嬢達も真っ青な顔で固まっています。
遠くから、騒ぎを聞きつけた先生達が何人も駆けてきました。
「ユニーナ!! 違うから、誤解だから!お願いだ!こっちを見て、ちゃんと話を聞いて!! ユニーナ!! ねえ、ユニーナ!! 嫌だ!!離れないで!」
そして、先生に両脇を抱えられながら婚約者様は連れて行かれたのでした。同時にライナーと、止めに入った二人も連れて行かれました。
私に手を上げた令嬢が、先生に付き添われて私の目の前まで来ました。彼女は、目に涙を浮かべて口元を振るえる手で押さえながら謝ってきたのです。
「あの・・・ごめんなさい。私・・・知らなくって。利用とか、役目とか・・・、そんな・・・そんなこと。ただ、アレイド様はいつもあなたのことを見ていたから、でも私、そんな理由だったなんて、考えもしなくて・・・。ごめんなさい・・・私・・・・あなたに酷いこと、たくさん・・・ごめんなさい。 うっ・・・」
普段から高圧的な彼女が、ポロポロと涙を零しながら謝っている姿を見た私は、どこか過去の自分と重なるような気がして、先ほどまでの怒りや頬の痛みも忘れてしまうほど、痛々しいものに見えたのでした。
(この人は、本当に彼のことが好きだったのでしょうね・・・。でもね、あなたの恋は決して実りはしない。だって、私のお姉様には敵わないのですから・・・。)
「いいです。もう、何もおっしゃらないでください。もう、いいんです。誰のことも恨んでいません。ただ、この後は、どうか何事もなかったように静かに過ごさせてください。私の望みはそれだけです。」
私は、軽く頭を下げるとその場を離れました。
帰宅後、まるで何事もなかったように家族は普通でした。ただ、私の腫れた頬を見た瞬間、母の顔が強張り、あからさまに目を逸らすと、急いで濡れたタオルを持ってきてくれました。
「本当はもっと早くに冷やせばよかったのにね・・・。」
(やはり、もう我が家にも連絡が届いていたのね・・・。何から何まで私が至らないばかりに、周りに嫌な思いばかりさせてしまう。なぜいつも私はこうなのかしら・・・。本当に情けないわ・・・。)
私は、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、俯いたまま、お母様に謝りました。
「お母様・・・。ごめんなさい。やはり私では、ここまでが限界でした。こんな騒ぎを起こしてしまってすみませんでした。」
すると、お母様は俯いている私の背中を優しく擦りながら話始めたのです。
「いいえ。いいのよ。今回の学園でのことは・・・あなたが謝ることではないわ。ただ、これからどうするのか、お父様とちゃんとお話した方がいいわね。
あとね、ユニ、少し話を聞いてほしいんだけど。貴族だからって、家の為に結婚してほしいなんて、私もお父様も考えていないのは分かってくれているのよね?ミズリーはたまたま良縁に恵まれて侯爵家へ嫁ぐことになっているけれど、家柄より何より、あの子は本当に好きな人と結婚するのよ。だから、あなたにもリョシューにも、本当に好きな人と一緒になってほしいって思っているわ。私達はね・・・アレイドと一緒になることが、あなたにとって一番の幸せだと思っていたの。でも、もしかしたらそれは違っていたのかもしれないわね・・・。お互いの誤解が解けたなら、きっと良い方向に進むと勝手に思い込んでしまっていたの・・・。だから、あなたの気持ちに気付かない振りをしてここまで来てしまった。ごめんなさい・・・。あなたの気持ちを無視して私達が決めていいことではなかったのにね。ユニーナ、これから少し大変になるかもしれないけれど、決して後悔のない道に進みなさい。こらからは、あなたが選んだ道を私達は全力で応援しますから。」
これからは、私の気持ちを優先すると言ったお母様でしたが、なぜかその表情が、少し寂しそうに見えるのは気のせいなのでしょうか・・・。
「ありがとう、お母様。・・・本当は私も、お姉様のように好きな人に愛されて幸せになりたいです。 ですが、こんな私を必要としてくれる人が、この先本当に現れるのでしょうか・・・。私なんかを好きになってくれる人がいるのでしょうか・・・。情けない話ですが、いつも他のご令嬢達に自分の悪い所をたくさん指摘されていました。ですが、全部その通りに思えて、私には反論することができませんでした。足りないものばかりなのです・・・。私には、誇れるものが何もありません・・・。」
「ユニ、そんなことないわ。あなたはそのままでもとても素敵なのよ。ミズリーも、ユニもリョシューも、三人とも私達夫婦の自慢なのよ? 大丈夫!ユニの良いところはたくさんあります。あなただけを愛してくれる人が必ず現れます。たとえ、あなたが気付かなかったとしても、その時は私達に任せなさい。私達が、ちゃんとあなたを特別に思ってくれる人を見極めます。あなたを幸せに導くように努力しますから。困った時は頼りなさいね。私達はユニの味方なのですから。」
(え・・・?私の気持ちを優先してくれるのではなかったのですか?家族が導くの・・・また? それって今までと何も変わっていないように思えるんですけど・・・。)
「・・・はい。ありがとう・・・お母様。」
慰めて貰っていたはずが、いつの間にか追い打ちをかけられたような形で会話が終わると、玄関の方で大きな声が聞こえて来ました。お母様と二人で顔を見合わせ、急いで一階へ降りて行くと、珍しいことにお姉様とスワルス様が激しく言い争いをしていました。
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