32 / 33
悔しいけれど嫉妬
しおりを挟む
「はっ!? えっ!?・・・臭い? 僕、臭いの!?えっ?」
アレイド様は顔を引き攣らせ、落ち着かない様子で自分の服の臭いを嗅ぐと、その場から数歩後退りしました。
「今だって臭いますよね!? 臭いですよね!?・・・最近は少しかマシにはなりましたが、いつだってあなたからは女性の香りがプンプンしていました。今もとても臭くて不快です! あなたにどんな理由があれど、私以外の女性の体に触れているのは事実です。それは、とてもとても不快です! 他所の女の香りを漂わせて私に近づくのは止めてください! そして! 浮気しまくっているあなたに、他の男と楽しそうにするな、など! 言われたくありません!!」
「浮気って・・・そんな・・・ごめん。そんなつもりはなかったんだよ・・・。え?ユニ?どうし―――」
「言い訳などいりません!! そんな上っ面の謝罪などで許せるものではありません!! 私は怒っています!! 頭から湯気が出るほど!! ・・・こうして涙が出るほど、怒っています!! なぜだかわかりますか!?」
大声を張り上げてアレイド様に怒鳴りつけている間、私の目からは次々と涙が溢れては、床に落ちてゆくのでした。アレイド様は、すぐにそれに気付き、慌ててハンカチを取り出すと、申し訳なさそうにそれを差し出してきました。しかし、私は悔しくてそのハンカチを受け取ることができません。自分の手で乱暴に涙を拭うと、慌ててアレイド様がハンカチを押し付けてきます。
「ユニ、落ち着いて。そんなにゴシゴシこすっては目が腫れてしまうよ。これ、使って。」
「いいえ!いりません!! そんなことより、私の質問に答えてください!!」
「ユニ、ごめん。泣かせるつもりはなかったんだよ。」
「嫉妬ですっ!!」
「えっ?」
私は目を閉じて、胸に手を当てました。なんとか無理やり心を落ち着けると、今度は震える声を抑えてもう一度言いました。
「・・・嫉妬です。・・・私、貴方がお姉様と一緒に居ても不思議と嫉妬は感じませんでした。お姉様には逆立ちしても敵わないと、幼い頃からの経験でわかっていたのでしょう・・・。ですから、貴方からお姉様の香りがしたとしても、私は何も感じなかったでしょう・・・。お姉様が望むなら、私は二人の恋を応援したいとすら思っていましたから。
ですが、他の女性の香りを身にまとったあなたは許せませんでした。私は、大切なお姉様だったからこそ、大好きなあなたを譲ったつもりでいました。あなたのことが大好きだったから。お姉様のことが大好きだったから。私は自分の気持ちを抑えて身を引こうとしていたのです。なのに、あなたときたら、・・・私の気も知らないで・・・。なにが、気が付いたら囲まれていたですか、なにが―――」
しかし私が話終わるのを待たずに、アレイド様が力強く抱きしめてきました。
「ユニ、大好きだよ。大好きだよ。・・・ねえ、ユニ、今日も、今も、嫉妬してくれてるの?今も、僕のこと好きでいてくれてるの?」
「・・・なんですか・・・。悪いですか!?」
「っ!! ユニ!!」
「ん・・・・・。」
抱きしめていたアレイド様の腕の力が少し緩むと、その手が私の頭の後ろに回され、二人の唇が重なりました。
「ユニ、愛してる。大好きだよ。もう絶対離さないからね。」
何度も囁かれる、大好きという言葉の分だけ口づけの回数も増えて行き、段々と息が苦しく頭がぼんやりとしてきた頃、ようやくアレイド様は唇を離してくれました。
「これ以上は、僕も辛くなってしまうからね・・・。」
照れたような可愛らしい笑みを見せたアレイド様に、恥ずかしくて顔を赤くした私は、この甘い空気にいたたまれなくなり、
「だから、香水臭いって言ってます。」
と、ぐいっとアレイド様の胸を押すと、苦笑いを浮かべ困った様子のアレイド様が、私の目元に残った涙を指で優しく拭いながら言いました。
「もう他の女性に触れさせないし、君が隣にいない時は、女性には近づかないようにするよ。」
「本当ですか? この前も同じ言葉を聞いたような気がしますが!!」
私がジロリと疑いの眼差しを向けると、
「ああ、絶対だよ。約束する! 僕はもう、君の香りしか纏わない。」
そう言って、また優しく抱きしめてくれました。
「約束を破った時は、仕返ししますからね。」
「ん? 仕返しって?」
「もちろん、仕返しですから。他の男性の香りを漂わせて、あなたに嫌な思いをさせます。」
アレイド様が抱きしめていた手を離したかと思うと、私の肩を両手で掴みました。
「はっ!? なんで? 誰と触れ合う気なの? ねえ、誰?どんな奴なの!?」
焦りと怒りのまじったような顔で、アレイド様が早口でまくし立ててきました。
(え?突然なに? いや、誰って・・・ライナー? リョシューとか・・・。あと、スワルス様もいるわね。こうして数えると、協力してくれる人が何人かいるのね。最悪、お父様もいるけど・・・お父様の香りは嫌だわ。)
「駄目だよ!!ユニも僕以外の男に触れたりしたら駄目だからね!!絶対駄目!!ユニ!約束して!!」
「・・・・。」
「ユニ!?」
「そんなことは、自分がちゃんと守ってから言ってください。」
「うっ・・・うん。わかったよ・・・。」
アレイド様は顔を引き攣らせ、落ち着かない様子で自分の服の臭いを嗅ぐと、その場から数歩後退りしました。
「今だって臭いますよね!? 臭いですよね!?・・・最近は少しかマシにはなりましたが、いつだってあなたからは女性の香りがプンプンしていました。今もとても臭くて不快です! あなたにどんな理由があれど、私以外の女性の体に触れているのは事実です。それは、とてもとても不快です! 他所の女の香りを漂わせて私に近づくのは止めてください! そして! 浮気しまくっているあなたに、他の男と楽しそうにするな、など! 言われたくありません!!」
「浮気って・・・そんな・・・ごめん。そんなつもりはなかったんだよ・・・。え?ユニ?どうし―――」
「言い訳などいりません!! そんな上っ面の謝罪などで許せるものではありません!! 私は怒っています!! 頭から湯気が出るほど!! ・・・こうして涙が出るほど、怒っています!! なぜだかわかりますか!?」
大声を張り上げてアレイド様に怒鳴りつけている間、私の目からは次々と涙が溢れては、床に落ちてゆくのでした。アレイド様は、すぐにそれに気付き、慌ててハンカチを取り出すと、申し訳なさそうにそれを差し出してきました。しかし、私は悔しくてそのハンカチを受け取ることができません。自分の手で乱暴に涙を拭うと、慌ててアレイド様がハンカチを押し付けてきます。
「ユニ、落ち着いて。そんなにゴシゴシこすっては目が腫れてしまうよ。これ、使って。」
「いいえ!いりません!! そんなことより、私の質問に答えてください!!」
「ユニ、ごめん。泣かせるつもりはなかったんだよ。」
「嫉妬ですっ!!」
「えっ?」
私は目を閉じて、胸に手を当てました。なんとか無理やり心を落ち着けると、今度は震える声を抑えてもう一度言いました。
「・・・嫉妬です。・・・私、貴方がお姉様と一緒に居ても不思議と嫉妬は感じませんでした。お姉様には逆立ちしても敵わないと、幼い頃からの経験でわかっていたのでしょう・・・。ですから、貴方からお姉様の香りがしたとしても、私は何も感じなかったでしょう・・・。お姉様が望むなら、私は二人の恋を応援したいとすら思っていましたから。
ですが、他の女性の香りを身にまとったあなたは許せませんでした。私は、大切なお姉様だったからこそ、大好きなあなたを譲ったつもりでいました。あなたのことが大好きだったから。お姉様のことが大好きだったから。私は自分の気持ちを抑えて身を引こうとしていたのです。なのに、あなたときたら、・・・私の気も知らないで・・・。なにが、気が付いたら囲まれていたですか、なにが―――」
しかし私が話終わるのを待たずに、アレイド様が力強く抱きしめてきました。
「ユニ、大好きだよ。大好きだよ。・・・ねえ、ユニ、今日も、今も、嫉妬してくれてるの?今も、僕のこと好きでいてくれてるの?」
「・・・なんですか・・・。悪いですか!?」
「っ!! ユニ!!」
「ん・・・・・。」
抱きしめていたアレイド様の腕の力が少し緩むと、その手が私の頭の後ろに回され、二人の唇が重なりました。
「ユニ、愛してる。大好きだよ。もう絶対離さないからね。」
何度も囁かれる、大好きという言葉の分だけ口づけの回数も増えて行き、段々と息が苦しく頭がぼんやりとしてきた頃、ようやくアレイド様は唇を離してくれました。
「これ以上は、僕も辛くなってしまうからね・・・。」
照れたような可愛らしい笑みを見せたアレイド様に、恥ずかしくて顔を赤くした私は、この甘い空気にいたたまれなくなり、
「だから、香水臭いって言ってます。」
と、ぐいっとアレイド様の胸を押すと、苦笑いを浮かべ困った様子のアレイド様が、私の目元に残った涙を指で優しく拭いながら言いました。
「もう他の女性に触れさせないし、君が隣にいない時は、女性には近づかないようにするよ。」
「本当ですか? この前も同じ言葉を聞いたような気がしますが!!」
私がジロリと疑いの眼差しを向けると、
「ああ、絶対だよ。約束する! 僕はもう、君の香りしか纏わない。」
そう言って、また優しく抱きしめてくれました。
「約束を破った時は、仕返ししますからね。」
「ん? 仕返しって?」
「もちろん、仕返しですから。他の男性の香りを漂わせて、あなたに嫌な思いをさせます。」
アレイド様が抱きしめていた手を離したかと思うと、私の肩を両手で掴みました。
「はっ!? なんで? 誰と触れ合う気なの? ねえ、誰?どんな奴なの!?」
焦りと怒りのまじったような顔で、アレイド様が早口でまくし立ててきました。
(え?突然なに? いや、誰って・・・ライナー? リョシューとか・・・。あと、スワルス様もいるわね。こうして数えると、協力してくれる人が何人かいるのね。最悪、お父様もいるけど・・・お父様の香りは嫌だわ。)
「駄目だよ!!ユニも僕以外の男に触れたりしたら駄目だからね!!絶対駄目!!ユニ!約束して!!」
「・・・・。」
「ユニ!?」
「そんなことは、自分がちゃんと守ってから言ってください。」
「うっ・・・うん。わかったよ・・・。」
60
あなたにおすすめの小説
こんな婚約者は貴女にあげる
如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。
初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
とある伯爵の憂鬱
如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
名も無き伯爵令嬢の幸運
ひとみん
恋愛
私はしがない伯爵令嬢。巷ではやりの物語のように義母と義妹に虐げられている。
この家から逃げる為に、義母の命令通り国境を守る公爵家へと乗り込んだ。王命に物申し、国外追放されることを期待して。
なのに、何故だろう・・・乗り込んだ先の公爵夫人が決めたという私に対する処罰がご褒美としか言いようがなくて・・・
名も無きモブ令嬢が幸せになる話。まじ、名前出てきません・・・・
*「転生魔女は国盗りを望む」にチラッとしか出てこない、名も無きモブ『一人目令嬢』のお話。
34話の本人視点みたいな感じです。
本編を読まなくとも、多分、大丈夫だと思いますが、本編もよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/618422773/930884405
幸せな結婚生活に妻が幼馴染と不倫関係、夫は許すことができるか悩み人生を閉じて妻は後悔と罪の意識に苦しむ
佐藤 美奈
恋愛
王太子ハリー・アレクサンディア・テオドール殿下と公爵令嬢オリビア・フランソワ・シルフォードはお互い惹かれ合うように恋に落ちて結婚した。
夫ハリー殿下と妻オリビア夫人と一人娘のカミ-ユは人生の幸福を満たしている家庭。
ささいな夫婦喧嘩からハリー殿下がただただ愛している妻オリビア夫人が不倫関係を結んでいる男性がいることを察する。
歳の差があり溺愛している年下の妻は最初に相手の名前を問いただしてもはぐらかそうとして教えてくれない。夫は胸に湧き上がるものすごい違和感を感じた。
ある日、子供と遊んでいると想像の域を遥かに超えた出来事を次々に教えられて今までの幸せな家族の日々が崩れていく。
自然な安らぎのある家庭があるのに禁断の恋愛をしているオリビア夫人をハリー殿下は許すことができるのか日々胸を痛めてぼんやり考える。
長い期間積み重ねた愛情を深めた夫婦は元の関係に戻れるのか頭を悩ませる。オリビア夫人は道ならぬ恋の相手と男女の関係にピリオドを打つことができるのか。
隣の芝生は青いのか
夕鈴
恋愛
王子が妻を迎える日、ある貴婦人が花嫁を見て、絶望した。
「どうして、なんのために」
「子供は無知だから気付いていないなんて思い上がりですよ」
絶望する貴婦人に義息子が冷たく囁いた。
「自由な選択の権利を与えたいなら、公爵令嬢として迎えいれなければよかった。妹はずっと正当な待遇を望んでいた。自分の傍で育てたかった?復讐をしたかった?」
「なんで、どうして」
手に入らないものに憧れた貴婦人が仕掛けたパンドラの箱。
パンドラの箱として育てられた公爵令嬢の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる