花言葉は「私のものになって」

岬 空弥

文字の大きさ
33 / 33

四葉のクローバーを身に着けて

しおりを挟む
 それからも、眉目秀麗なアレイド様は、その見た目のみで、数多くのご令嬢を魅了し続けましたが、これまでのアレイド様とは違い、私への惜しげもない愛情表現に加え、他の女性の香水を極端に気にするようになってしまったせいか、それはもう、神経質に思える程、女性との距離を取るようになったのでした。あんなに隙だらけだった彼が、今では一瞬たりとも女性に近づかぬよう、ピリピリと神経を張り巡らせているのですから、そんな姿を見かける度に、頑張ればできるのねと、密かに感心するのでした。

しかし、アレイド様の口下手は相変わらずで、無理して会話をしようとするたびに様々な問題を引き起こすので、側に居る私とライナーは、アレイド様とは別の意味で、ピリピリと神経を尖らせなくてはいけないのでした。

「アレイド、女性に対して臭いから近づくな、とか言ったら駄目だ。いつも言ってるだろう、思ったことをそのまま口にするんじゃない!! なんでお前はわからないんだ!」

「ライナーの言う通りです!今の人、泣いてましたよ!?自分が言われて嫌なことは、人に言ってはいけません!!」

「なんだよ、二人して、僕は彼女の香りが移るから近寄らないでくれと言っただけだ。 僕は、もう、二度とユニに誤解されたくないんだ。仕方がないだろう!!」

「香りって・・・、いや、お前、彼女にクサイってはっきり言ってたぞ!!いくらなんでも、臭いは、可哀想だぞ!」

「なんだよ・・・僕だってユニに、臭いって言われたぞ・・・。」

「だからって、お前も言うな!!」

「もう、アレイド様は、お義兄様にお願いして人間関係の勉強をした方がいいと思いますよ。」

「・・・でも、義兄上は、この前行った時に、僕の顔を見て嫌な顔をしたんだ・・・。」

「え? そんなのいつもですよね? 今更それを気にするのですか?」

「は!?」

「え?」


そんなアレイド様ですが、あの事件以来、私への気持ちだけは、包み隠さず伝えてくれるようになったので、意地っ張りで思い込みの激しい私との関係も、今までのように変に拗れることもなく、仲良く過ごせるようになったのでした。



 私とアレイド様は、卒業後すぐに結婚しました。
その後、三人の子宝にも恵まれ、幸せに暮らしています。数年に一度、辺境地からジャスティン様が家族とお見えになります。ジャスティン様は、あれ以来、私との約束をきちんと守ってくれているのです。
夫のアレイド様は、私が約束のダンスを踊るたびに機嫌を損ね、悪酔いしてジャスティン様に絡んで周りから呆れられていますが、ジャスティン様がお帰りになる際には、ふて腐れるアレイド様を尻目に、また二人で次の約束を交わすのです。

(次も生きてお会い致しましょう。)



 子供達の手が離れたら、アレイド様と一緒に、リヴェル辺境地に旅行に行く計画を立てています。 
そう、この四葉のクローバーのブローチを身に着けて。

それが、今、私の一番の楽しみなのです。


四葉のクローバーの花言葉は 

「私のものになって」




END
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。 幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。 一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。 ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。

とある伯爵の憂鬱

如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

私のブルースター

くびのほきょう
恋愛
家で冷遇されてるかわいそうな侯爵令嬢。そんな侯爵令嬢を放って置けない優しい幼馴染のことが好きな伯爵令嬢のお話。

名も無き伯爵令嬢の幸運

ひとみん
恋愛
私はしがない伯爵令嬢。巷ではやりの物語のように義母と義妹に虐げられている。 この家から逃げる為に、義母の命令通り国境を守る公爵家へと乗り込んだ。王命に物申し、国外追放されることを期待して。 なのに、何故だろう・・・乗り込んだ先の公爵夫人が決めたという私に対する処罰がご褒美としか言いようがなくて・・・ 名も無きモブ令嬢が幸せになる話。まじ、名前出てきません・・・・ *「転生魔女は国盗りを望む」にチラッとしか出てこない、名も無きモブ『一人目令嬢』のお話。 34話の本人視点みたいな感じです。 本編を読まなくとも、多分、大丈夫だと思いますが、本編もよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/novel/618422773/930884405

幸せな結婚生活に妻が幼馴染と不倫関係、夫は許すことができるか悩み人生を閉じて妻は後悔と罪の意識に苦しむ

佐藤 美奈
恋愛
王太子ハリー・アレクサンディア・テオドール殿下と公爵令嬢オリビア・フランソワ・シルフォードはお互い惹かれ合うように恋に落ちて結婚した。 夫ハリー殿下と妻オリビア夫人と一人娘のカミ-ユは人生の幸福を満たしている家庭。 ささいな夫婦喧嘩からハリー殿下がただただ愛している妻オリビア夫人が不倫関係を結んでいる男性がいることを察する。 歳の差があり溺愛している年下の妻は最初に相手の名前を問いただしてもはぐらかそうとして教えてくれない。夫は胸に湧き上がるものすごい違和感を感じた。 ある日、子供と遊んでいると想像の域を遥かに超えた出来事を次々に教えられて今までの幸せな家族の日々が崩れていく。 自然な安らぎのある家庭があるのに禁断の恋愛をしているオリビア夫人をハリー殿下は許すことができるのか日々胸を痛めてぼんやり考える。 長い期間積み重ねた愛情を深めた夫婦は元の関係に戻れるのか頭を悩ませる。オリビア夫人は道ならぬ恋の相手と男女の関係にピリオドを打つことができるのか。

隣の芝生は青いのか 

夕鈴
恋愛
王子が妻を迎える日、ある貴婦人が花嫁を見て、絶望した。 「どうして、なんのために」 「子供は無知だから気付いていないなんて思い上がりですよ」 絶望する貴婦人に義息子が冷たく囁いた。 「自由な選択の権利を与えたいなら、公爵令嬢として迎えいれなければよかった。妹はずっと正当な待遇を望んでいた。自分の傍で育てたかった?復讐をしたかった?」 「なんで、どうして」 手に入らないものに憧れた貴婦人が仕掛けたパンドラの箱。 パンドラの箱として育てられた公爵令嬢の物語。

処理中です...