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第二章 神器
クレーター
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再びやってきた裏世界。
それは、やっぱり来た時と同じようなところだった。
「……やっぱり、ここはちょっと空気が重いんだよな」
赤く、燃え滾るように真っ赤な空からは圧迫感を感じる。
「それもしょうがないですよ。ここは妖魔たちの住まう世界ですから。むしろリラックスされても困りますね。陰陽師であっても、ここであれば圧迫感を覚え、息の詰まるような思いをする者です」
「……なんか、感じて居なさそうな人もいるけど」
この裏世界の中で、美紀はずいぶんと瞳を輝かせていた。
滅茶苦茶元気に柔軟体操をして体をほぐし、ものすごいキラキラとした瞳で周りを見渡している。
なんか、裏世界にいるときの方がキラキラしているような気がする。
「あの子は猟犬。妖魔との戦いにすべての重きを置いているような子です。特殊な事例ですので、あまり考える必要がありません」
「そうなんだ」
「えぇ、そうなんです。それでは、行きましょうか。実戦経験を積みにいきますよ」
「二時の方向に敵多数。五時の方向に強いの一体。二十時の方向は一番おいしい。強いのと弱いの。どっちも一緒になって動いている」
周りを見渡していた美紀は自分の隣に歩佳が立つと共に、索敵の結果を伝え始める。
「今日は索敵しなくて大丈夫です。最初から、戦いに行くべき場所は決まっていますから」
そんな美紀の言葉は歩佳の一言により、あっさりと斬り捨てられた。
「……むぅ」
「膨れないでください。それでは、行きますよ?ついてきてください」
「はーい。了解」
「……」
そして、進み始めた歩佳の後を僕は美紀と共についていく。
しばらく進んでいると、何の影響によって出来たのか、巨大なクレーターが見えてくる。
「いました」
そのクレーターの前で、歩佳は足を止める。
「この中?」
その中を見下ろせば、そこには大量の妖魔たちの姿があった。
「……あれか」
クレーターの中で空より降り注ぐ、空が焼き焦げたかのような光に照らされているのは、無数の妖魔たちの姿だった。
彼らは荒れた岩の間を這うようにして、彼らは一塊となって動き回っている。その体は不定形で、しばしば人間のような形をとりながらも、どこか異質で不安定だ。触手のようなものが岩を這い、冷たく湿った風に揺れながら、時折鋭い爪を空中で鳴らしている。
妖魔たちはその群れの中で、互いにひしめき合いながら、時折低く唸る声を漏らす。骨のように硬い体の一部が動くたびに、岩がきしみ、彼らの間をすり抜ける風が不気味な音を立てる。時折、何かを探しているかのように地面を引っかき回すものもいれば、ただ静かにその場に留まり、周囲を見回している者もいる。
「生理的な嫌悪感を覚えるな。ギチギチで」
崖の下の妖魔たちが見せる動きの中に一貫した意図を感じることはできない。
何か、大きな鳴き声を響かせるわけでも、激しく争うわけでもなく、ただひたすらに這い、動き、繰り返している。
それは虫のようで、僕に生理的な嫌悪感を覚えさせていた。
「えぇ、それではいってらっしゃい」
「……はっ?」
その様子を呑気に見ていた中で、僕はいきなり自分の後ろから美紀に体当たりされ、そのままクレーターへと投げ出される。
「えぇぇぇっ!?ずいぶんといきなりっ!?」
体当たりされ、クレーターの中へと落とされていく僕は驚愕の言葉と共に視線を歩佳と美紀の二人に向ける。
「ほら、獅子は我が子を谷に落とすじゃないですか。それと同じです」
「おぉい!?」
なんという雑な教育方針……っ!?
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
僕が歩佳の言葉に引いていると、クレーターの中に落ちてきたコチラを見て、妖魔たちが獲物が来たとばかりに声を上げ始める。
そして、そのまま僕への突進をはじめてきた。
「ふっとべぇぇぇぇ!」
そんな妖魔たちに対し、僕はまず、地面に向かって拳を叩きつける。
僕の拳を受けた大地は大きく揺らいでひび割れ、それに伴って、そこに立っていた妖魔たちも態勢を崩し、吹き飛ばされ始める。
その妖魔たちの中にはクレーターの外にまで飛ばされていく奴もいるのだが、それらはしっかり歩佳と美紀の二人がクレーターの中に戻してきていた。
「……まぁ、いいけどさ」
何か若干理不尽を感じるものの、戦闘経験を得たいと話したのは僕だ。
ここは甘んじて受け入れるとしようか。
「一匹ずつ潰していくか」
とりあえず、一体ずつ叩き潰していくしかないよね。
僕は黒い毛玉の口の中に収納させていた神器を引き抜く。
「行くか」
それを鞘から抜いた僕は鞘を片手に持ったまま、妖魔たちの方へと突っ込んでいった。
それは、やっぱり来た時と同じようなところだった。
「……やっぱり、ここはちょっと空気が重いんだよな」
赤く、燃え滾るように真っ赤な空からは圧迫感を感じる。
「それもしょうがないですよ。ここは妖魔たちの住まう世界ですから。むしろリラックスされても困りますね。陰陽師であっても、ここであれば圧迫感を覚え、息の詰まるような思いをする者です」
「……なんか、感じて居なさそうな人もいるけど」
この裏世界の中で、美紀はずいぶんと瞳を輝かせていた。
滅茶苦茶元気に柔軟体操をして体をほぐし、ものすごいキラキラとした瞳で周りを見渡している。
なんか、裏世界にいるときの方がキラキラしているような気がする。
「あの子は猟犬。妖魔との戦いにすべての重きを置いているような子です。特殊な事例ですので、あまり考える必要がありません」
「そうなんだ」
「えぇ、そうなんです。それでは、行きましょうか。実戦経験を積みにいきますよ」
「二時の方向に敵多数。五時の方向に強いの一体。二十時の方向は一番おいしい。強いのと弱いの。どっちも一緒になって動いている」
周りを見渡していた美紀は自分の隣に歩佳が立つと共に、索敵の結果を伝え始める。
「今日は索敵しなくて大丈夫です。最初から、戦いに行くべき場所は決まっていますから」
そんな美紀の言葉は歩佳の一言により、あっさりと斬り捨てられた。
「……むぅ」
「膨れないでください。それでは、行きますよ?ついてきてください」
「はーい。了解」
「……」
そして、進み始めた歩佳の後を僕は美紀と共についていく。
しばらく進んでいると、何の影響によって出来たのか、巨大なクレーターが見えてくる。
「いました」
そのクレーターの前で、歩佳は足を止める。
「この中?」
その中を見下ろせば、そこには大量の妖魔たちの姿があった。
「……あれか」
クレーターの中で空より降り注ぐ、空が焼き焦げたかのような光に照らされているのは、無数の妖魔たちの姿だった。
彼らは荒れた岩の間を這うようにして、彼らは一塊となって動き回っている。その体は不定形で、しばしば人間のような形をとりながらも、どこか異質で不安定だ。触手のようなものが岩を這い、冷たく湿った風に揺れながら、時折鋭い爪を空中で鳴らしている。
妖魔たちはその群れの中で、互いにひしめき合いながら、時折低く唸る声を漏らす。骨のように硬い体の一部が動くたびに、岩がきしみ、彼らの間をすり抜ける風が不気味な音を立てる。時折、何かを探しているかのように地面を引っかき回すものもいれば、ただ静かにその場に留まり、周囲を見回している者もいる。
「生理的な嫌悪感を覚えるな。ギチギチで」
崖の下の妖魔たちが見せる動きの中に一貫した意図を感じることはできない。
何か、大きな鳴き声を響かせるわけでも、激しく争うわけでもなく、ただひたすらに這い、動き、繰り返している。
それは虫のようで、僕に生理的な嫌悪感を覚えさせていた。
「えぇ、それではいってらっしゃい」
「……はっ?」
その様子を呑気に見ていた中で、僕はいきなり自分の後ろから美紀に体当たりされ、そのままクレーターへと投げ出される。
「えぇぇぇっ!?ずいぶんといきなりっ!?」
体当たりされ、クレーターの中へと落とされていく僕は驚愕の言葉と共に視線を歩佳と美紀の二人に向ける。
「ほら、獅子は我が子を谷に落とすじゃないですか。それと同じです」
「おぉい!?」
なんという雑な教育方針……っ!?
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
「おぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」
僕が歩佳の言葉に引いていると、クレーターの中に落ちてきたコチラを見て、妖魔たちが獲物が来たとばかりに声を上げ始める。
そして、そのまま僕への突進をはじめてきた。
「ふっとべぇぇぇぇ!」
そんな妖魔たちに対し、僕はまず、地面に向かって拳を叩きつける。
僕の拳を受けた大地は大きく揺らいでひび割れ、それに伴って、そこに立っていた妖魔たちも態勢を崩し、吹き飛ばされ始める。
その妖魔たちの中にはクレーターの外にまで飛ばされていく奴もいるのだが、それらはしっかり歩佳と美紀の二人がクレーターの中に戻してきていた。
「……まぁ、いいけどさ」
何か若干理不尽を感じるものの、戦闘経験を得たいと話したのは僕だ。
ここは甘んじて受け入れるとしようか。
「一匹ずつ潰していくか」
とりあえず、一体ずつ叩き潰していくしかないよね。
僕は黒い毛玉の口の中に収納させていた神器を引き抜く。
「行くか」
それを鞘から抜いた僕は鞘を片手に持ったまま、妖魔たちの方へと突っ込んでいった。
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