クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト

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第三章 同棲生活

訓練場

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 始まってしまった同棲生活に文句を言ってもどうしようもない。
 色々と言いたいことはあるが、あの陰陽頭はしっかりとお姉ちゃんの看病をしているようだったし、何も言わぬことにした。元々、僕も生活があって四六時中見てあげることは物理的に不可能だったからね。
 それを陰陽頭の手筈で可能なようにしてくれているし、気を使って看病する人間は全員女性にまでしてもらっている。
 そこまでしてもらって、文句を言うのも少し違うだろう。
 というわけで、僕は色々と思いながらも同棲生活を受け入れていた。
 
「シャワー浴びるか」

 そんな僕はある朝、日課の早朝ランニングを終えて家へと帰ってきていた。いつものように流した汗を流す為、僕は風呂場へと向かって行く。

「ハッ!ハッ!ハッ!」

 その道中で、僕は素振りの掛け声を耳にした。
 何となくそちらのほうに興味が引かれた僕は足を踏み出し、その声がしてきた方へと向かう。
 声の発生源。そこはこの馬鹿みたいに広い家の中に用意されている地下の方からのようだった。確か、地下には訓練場が作られていたはずだ。
 僕はあまりに行くことのない地下へと向かう。訓練場に入るための扉は開かれていた。

「……」

 扉を覗き込むと、そこには鬼気迫る表情で素振りを行っている涼音の姿があった。
 ただ、そのやる気とは裏腹に、その素振りはかなり不格好だった。それなりに見れるようにはなっているが、完璧とは程遠い。無駄を多く見つけることが出来る。

「……酷いな」

 それを見て、僕は思わずぼそりと独り言を漏らしてしまう。

「……誰?」

 その僕の独り言に反応し、涼音が扉の方にその視線を向ける。

「……ッ。輝夜じゃない。どうしたの?」

「ランニングの帰り。シャワーでも浴びようと思ったら、涼音の声が聞こえてくる」

「……ランニング?貴方、そんなことをしているの?」

「うん、そうだね。毎日欠かさずしているよ。良い運動になるし、体力もつく」

「へぇー。貴方でも、そこら辺の努力は行うのね……てっきり何の努力もしないのかと」

「いやいや、どんな才能があったとしても、努力を怠るのは駄目だよ。努力はすべてにおける大前提だからね。努力の上にじゃないと、何も積めないさ」

「……ッ」
 
 僕は涼音と言葉を交わしながら訓練場へと足を踏み入れる。
 コンクリートで作られたその訓練場は裸足だとちょっとばかり冷たかった。

「せっかくなのだし、僕もやっていていい?」

「……えぇ、良いわよ」

 涼音もやっているのだ。
 ランニングの延長戦として、僕がやってみてもいいだろう。

「ありがと」

 僕は木刀を持って涼音の隣に立って木刀を振り上げる。

「ふっ」

「……ッ」

 そして、とりあえず振り下ろしてみた。

「……いや、こっちかな?」

 だが、その感触は僕にとって最善と言えるような代物ではなく、調整を入れていく。

「あまり武器の扱いは慣れないんだよなぁ」

 僕の習う古武術の基礎にあるのは呼吸法と身体操作。
 受け身であったり、徒手空拳であったりが主なので、あまり武器をメインに学ぶようなところではなかった。一応、すべての武器における最低限の基礎は学んでいるけど……それで十分なわけもない。
 しかし、これから僕のメイン武器はあの神器になるだろうし、

「……そういえば、優斗は何処で戦い方を学んだの?陰陽師であることを隠していた私が言うのも何だけど、貴方が戦える、っているのも驚きだったわ」

「んっ?あぁ……同じクラスではあったけど、そんなに仲良くはなかった小学二年生くらいまで古武術を習っていてね。そこで基礎的なものを身に着けたんだよ。まぁ……武器術とかはあまり習っていなくて、かなり不格好だと思うけど」

「……もう既に、私の素振りよりも綺麗よ」

「んっ?何か言った?」

「……いえ、何も」

 僕の言葉に対し、涼音はそっと視線を逸らす。

「……いや、やっぱり何かあるわ」

「んっ?何?別に何か遠慮する必要はないからね?これでも幼馴染。そんな気を使うような間柄じゃないでしょ?」

「えぇ。そうね。だから、聞かせて頂戴。貴方はさっき『どんな才能があったとしても、努力を怠るのは駄目だよ』……そう、話したはね?」

「うん。そうだね」

 別に間違えていないよね?どんな天才であっても、磨かなければただの原石のままだ。

「こうも、言ったわ。『努力の上にじゃないと、何も積めないさ』、と。まるで、努力がすべての前提にあるよな発言……ならっ。努力以外に、努力以外に積めるものがない私はどうするべきかしら?最低限度の、ただの土台でしかないようなもの以外何もない私は」

「う、うぅんっ?」

 急に顔を伏せる涼音から弱音を吐かれた僕は困惑の言葉を漏らす。

「え、えーっと、そもそも、何の才能もない人なんていないと思うよ?」

 そして、その次に僕はその困惑のまま、とりあえず思ったことを口にするのだった。
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