【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ

文字の大きさ
7 / 20

公爵家の秘密とは

しおりを挟む
大人しくお土産に貰ったクッキーをモソモソ食べた。
もちろん一番好きなチョコチップのやつだ。
というか、箱を開けてみたらなんと3分の2がチョコチップだった!
さすがヒューゴ、わかってらっしゃる。
そして今日も安定の美味しさだよ、カステラおばさん!!

1枚食べ終わったところで、向かいに座っていた私にヒューゴが話しかけてきた。
正面から見られると、彼から放たれる隙のないインテリオーラで固まってしまいそうだ。

「ルーはコックス家についてどれくらい知っている?」

ほえ?コックス公爵家について?
なんでそんなことを急に訊くんだろ?

アカネイルにおいて、我がガルシア家が『武力の要』なら、コックス家は『知力の要』と認識されている。
『知のコックス、武のガルシア』と呼ばれ、その影響力と発言力でこの国を支えている二大勢力なのだ。
コックス家は先祖代々アカネイルの宰相を輩出し、その手腕で国を発展させてきた。

「コックス家はアカネイルの宰相を代々務める由緒正しい家柄で、その知性で国と国民を導いている……っていうことなら知ってるけど」

私の返事に、ヒューゴがグレーの瞳を丸くした。
昨日は暗くて黒に見えていた髪色も、今は明るいお陰で綺麗なダークブルーなのがよくわかる。

「予想外だな。優等生の解答だ。以前のルーなら、『ヒューのおうち?頭が良くてみんなマジメ~』とか言ってそうなのに」

真顔でとんでもないことを言うな、ヒューゴめ。
その私の真似らしき台詞と、凛々しいお顔のギャップが激し過ぎる……。
そして何より、やっぱり私っておバカだと思われてたじゃん!
いや、仕方ないけどさ。
実際過去の私、おバカ発言乱発してたしさ。

「私も日々成長してるんですー!いつまでもおバカで可愛いルイーザではないの。これからは、かしこ可愛い私になるの!!」

ビシッと決めたつもりだったが、今のもかなりのおバカ発言ではなかろうか?
何が『かしこ可愛い私』だ。
『賢い私』だけでいいのに、ルイーザの顔が前世より可愛いからつい浮ついたことを言ってしまった。

「あはは!悪かったよ。おバカだなんて思ってないさ。可愛いとは確かに思っているけど。そうではなくて、ルーにもうちの『裏の顔』について話しておきたくてね」

ヒューゴ様が笑ったーー!!
しかも、今すごいこと言われたんでないかい?
ああ、笑顔が尊い……無理……。

しかし、衝撃が大き過ぎて全部は処理仕切れないと咄嗟に判断した私は、一旦スルーして会話を進めることにした。
最後にとても重要なことを聞いてしまった気もしたからだ。

「『裏の顔』?コックス家にそんなものがあるの?」

「ああ。うちの表の顔は宰相として政治を司っているが、裏ではこの国の暗部組織を率いている」

え?暗部組織?
サラッと言われたけど、それってかなりの国家機密的事項なのでは!?
乙ゲーの世界が一気にきな臭くなってしまった!
そんな事実、ゲームのストーリーには出て来なかったよね?

「暗部組織って、諜報機関ってこと?情報収集とか、情報操作したりする……」

「ルー!まさにその通りだ!!話が早くて助かる。テオドールには昔、『なんだそれ?そんなもの必要あるのか?』と言われたよ」

感嘆したように目を輝かせて言われると、推しに褒められて照れ臭くなってしまう。

えへへ、それほどでも。
それにしても兄よ!「なんだそれ?」はないだろう。
仮にも騎士団長の息子が情報の価値を理解出来ないとは、致命的ではないか。
だからお前は脳筋なんじゃーっ!!

「お兄ちゃんはともかく、だから昨日ヒューは私に心配するなって言ったんだね。謎が解けたよ」

「そうだ。グレモナの戦力はうちが調べた情報だからな。出所も確かだから負けるなど考えられないし、テオドールもすぐに帰ってくるだろう」

「ありがとう。私を安心させる為にそんな大切なことを教えてくれたの?でもそんな裏の顔を持ってたら、ヒューは常に危険と隣り合わせなんだね。大丈夫?」

私が不安そうに尋ねたら、ヒューゴは右の口角を上げながら不敵に笑ってみせた。

「簡単にやられるほどやわではない。普段からテオドールと手合わせをしているしな」

そうか、だからヒューゴ様は細マッチョなのか!
宰相の息子で文官なくせにいい体してると思ってたんだよねー。
あ、あくまでゲーム内のスチルのヒューゴ様の話ね。
もちろん服も着てるから、ほぼ私の妄想なんだけど。

「無茶はしないでね。あ!私気付いちゃったかも……。もしかしてガルシアはコックス家からの情報のおかげで勝ち続けてこられたんじゃない?そうだよ、おかしいとは思ってたの!!ヒューの家が情報を操作して、うちが有利に戦えるようにしてくれてたんじゃないの?」

絶対そうだ!
きっと父や兄に正確な情報を伝えつつ、陰で暗躍してくれてたに違いない。
さすがにやる気だけで連勝出来るほど甘くはないはずだ。

「参ったな……よくそこまで考えたな。確かに裏で動くこともあるけれど、実際に戦い、勝利をもぎ取ってきたのは紛れもなくガルシア率いる騎士団だ。彼らの努力と強さの賜物だよ」

なんて謙虚!!
さすが私の推し!!

「ヒュー、今までガルシアを助けてくれてありがとう。これからもあんな父と兄だけど、よろしくお願いします!!」

ガバっと頭を下げたら、また頭をポンポンされてしまった。

「当たり前だ。任せてくれ」

ヒューゴの優しい口調と手付きが恥ずかしくなって、「いい子のヒューには私のチョコチップクッキーを1枚授けよう!」なんてわざと偉そうに言いながら、ヒューゴの口に突っ込んでみたら、「独り占めしないなんてルーも大人になったな」って笑われてしまった。

ヒューゴが笑ってくれるなら、ま、いっか。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~

くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」  幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。  ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。  それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。  上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。 「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」  彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく…… 『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

処理中です...