8 / 20
脳筋ってどう思う?
しおりを挟む
私がわけてあげたチョコチップクッキーを飲み込んだ後、紅茶で一度喉を潤すと、ヒューゴは「じゃあ、帰るよ」と言い出した。
ちょっと待って!
せっかく貴重な1枚をあげたんだから、もうちょっとだけでも一緒に過ごしたい。
元はヒューゴのお土産なのに恩着せがましいのは百も承知だ。
「待って!ヒュー、一つ訊きたいことがあるの」
「ん?何を?」
キョトン顔のヒューゴはちょっと可愛い。
幼馴染みだからか、ヒューゴはゲームより様々な表情を見せてくれる。
さて、引き留める為だけについ出た言葉だけど、何を訊いてみようか。
せっかくだから気になっていたアレでもぶつけてみちゃう?
ズバリ!「『脳筋』をどう思いますか?」
でも答えが怖いし、とりあえずうちの家族とか『脳筋』についての意見を軽ーく訊いてみよう。
あくまでもさらっと、世間話のノリで。
「あのね、うちの家族ってどう思う?あ、私も含めて、ガルシアの印象について」
「ガルシアの印象?随分抽象的な質問だな。ルーは何が知りたいの?」
う…やっぱり唐突過ぎたよね。
でも言い出しちゃったし、ここはもう少し突っ込んで……
「えーとほら、うちって脳筋でしょ?ヒューは脳筋嫌い?」
って、ちがーーう!やっちまったーーー!!
何がさらっとだ、「脳筋嫌い?」とか核心ついちゃってるじゃん!!
私、ポンコツ化してきてない?
ルイーザの呪いでもかかってるのか!?
こ、怖くて返事が聞けない。
「そうだな、嫌いだな」とか言われたら、地味に落ち込む…
あ、でも前向きにこれから『脱・脳筋』を目指せばきっと……
「ルー」
「はぃぃいい!!」
動揺で変な声が出ちゃったが、ヒューゴは不思議そうな顔をしていた。
「ノーキンって何?どういう意味?」
あれ?ご存じない??
こっちでは使わない言葉だっけ?
「えっと、『脳みそまで筋肉』の略語で、考えるより先に体が動いてしまうタイプの人を指すんだけど、簡単に言っちゃえば『思考が単純でおバカ』……」
何が悲しくて、こんな説明してるんだろ。
一体ヒューゴはどんな顔をしてるやら…と目をやれば。
なんだかヒューゴの様子がおかしい。
あれ?肩が震えてない?と思った直後。
「ふ、ふふっ、あはは、アハハハハハ!!」
ヒューゴが壊れた。
「ルーは面白い言葉を知ってるな。『脳筋』……プッ…すごい言葉だな。いや、言いえて妙というか、ププッ、何を訊きたいのかと思ったら……ハハハハ!アハハハハハ!!」
お腹を抱えて二つ折りになって笑っている。
どうやらツボにはまったらしい。
もしやヒューゴって、クールを装ってるけど案外笑い上戸?
「ヒュー?大丈夫?」
サリーを呼んでお茶のお代わりをもらった。
大事な話の間は出ていてもらっていたのだが、涙を流して笑うヒューゴをサリーが二度見するのをバッチリ見てしまった。
うん、気持ちはわかるよ。
三度見くらいしちゃうよね。
ゲホゲホ咳をして、どうやら落ち着いたらしい。
サリーが淹れたお代わりの紅茶を飲んで…またハハッと笑った。
まだ笑い終わってないんかい!!
「もう!そんなにおかしい?結構真面目に訊いたのに……」
痺れを切らして話しかけたら、少し焦ったような返事があった。
「違うんだ。ガルシアが脳筋だと思って笑った訳ではない。あくまで言葉が興味深くて……いや、テオドールは確かに脳筋だと思う」
ですよねー。
そこは私も否定しようがない。
ヤツは正真正銘の脳筋だ。
「ルーはガルシアが脳筋だから、俺が内心では嫌ってるんじゃないかと思ったのか?」
ヒューゴの優しい瞳に背を押され、私は素直にコクンと頷いた。
「ヒューの家はみんな頭がいいでしょ?裏の顔まで知的で。それに比べてうちは猪突猛進だし、コックス家のおかげで勝ってるのに手柄はもらっちゃうし。嫌われてても当然だなって……」
つい俯いてしまったら、また頬っぺをムニッとされた。
初めて気付いたけど、ヒューゴの手はペンだこだけでなく、剣だこもある。
やっぱり日々鍛えているのだと思った。
「ルー、俺はむしろガルシアの人間が好きだ。俺だけじゃない、代々コックスの者はガルシアだけには好意的だった」
そうなの?
顔を上げてみれば、困ったように微笑むヒューゴの顔があった。
「コックスは昔から力を持っているから、権力にすり寄る者、蹴落とそうとする者が後を絶たない」
そりゃそうだよね。
力を持つ家のさだめってやつだよね。
「対等に下心なく接してくれる家など、代々ガルシアくらいのものだ」
まあうちは権力とか興味ない家だからね。
「ガルシアはやろうとおもえばアカネイルを手中に収められるだけの力を持ちながらその欲もなく、情報を伝えれば疑うことなく信じてくれる」
いや、そもそも乗っ取りとか考えつきもしないだけだし、疑うほど賢くないだけじゃ……
「コックスにとってガルシアはかけがえのない家で、唯一無二の信頼出来る相手だと思っている」
まじかー。
嫌われてるどころか、めっちゃ好かれてるじゃん!!
明らかに過大評価されてるし……
確かに心根はいいけどね?
結局、人間にとって心を許せる相手というものは非常に貴重で、何にも代え難いものなのかもしれない。
ヒューゴは思いがけず「脳筋嫌い」では無かったが、「知的なルイーザ大作戦」は続行しようと心に誓った。
ちょっと待って!
せっかく貴重な1枚をあげたんだから、もうちょっとだけでも一緒に過ごしたい。
元はヒューゴのお土産なのに恩着せがましいのは百も承知だ。
「待って!ヒュー、一つ訊きたいことがあるの」
「ん?何を?」
キョトン顔のヒューゴはちょっと可愛い。
幼馴染みだからか、ヒューゴはゲームより様々な表情を見せてくれる。
さて、引き留める為だけについ出た言葉だけど、何を訊いてみようか。
せっかくだから気になっていたアレでもぶつけてみちゃう?
ズバリ!「『脳筋』をどう思いますか?」
でも答えが怖いし、とりあえずうちの家族とか『脳筋』についての意見を軽ーく訊いてみよう。
あくまでもさらっと、世間話のノリで。
「あのね、うちの家族ってどう思う?あ、私も含めて、ガルシアの印象について」
「ガルシアの印象?随分抽象的な質問だな。ルーは何が知りたいの?」
う…やっぱり唐突過ぎたよね。
でも言い出しちゃったし、ここはもう少し突っ込んで……
「えーとほら、うちって脳筋でしょ?ヒューは脳筋嫌い?」
って、ちがーーう!やっちまったーーー!!
何がさらっとだ、「脳筋嫌い?」とか核心ついちゃってるじゃん!!
私、ポンコツ化してきてない?
ルイーザの呪いでもかかってるのか!?
こ、怖くて返事が聞けない。
「そうだな、嫌いだな」とか言われたら、地味に落ち込む…
あ、でも前向きにこれから『脱・脳筋』を目指せばきっと……
「ルー」
「はぃぃいい!!」
動揺で変な声が出ちゃったが、ヒューゴは不思議そうな顔をしていた。
「ノーキンって何?どういう意味?」
あれ?ご存じない??
こっちでは使わない言葉だっけ?
「えっと、『脳みそまで筋肉』の略語で、考えるより先に体が動いてしまうタイプの人を指すんだけど、簡単に言っちゃえば『思考が単純でおバカ』……」
何が悲しくて、こんな説明してるんだろ。
一体ヒューゴはどんな顔をしてるやら…と目をやれば。
なんだかヒューゴの様子がおかしい。
あれ?肩が震えてない?と思った直後。
「ふ、ふふっ、あはは、アハハハハハ!!」
ヒューゴが壊れた。
「ルーは面白い言葉を知ってるな。『脳筋』……プッ…すごい言葉だな。いや、言いえて妙というか、ププッ、何を訊きたいのかと思ったら……ハハハハ!アハハハハハ!!」
お腹を抱えて二つ折りになって笑っている。
どうやらツボにはまったらしい。
もしやヒューゴって、クールを装ってるけど案外笑い上戸?
「ヒュー?大丈夫?」
サリーを呼んでお茶のお代わりをもらった。
大事な話の間は出ていてもらっていたのだが、涙を流して笑うヒューゴをサリーが二度見するのをバッチリ見てしまった。
うん、気持ちはわかるよ。
三度見くらいしちゃうよね。
ゲホゲホ咳をして、どうやら落ち着いたらしい。
サリーが淹れたお代わりの紅茶を飲んで…またハハッと笑った。
まだ笑い終わってないんかい!!
「もう!そんなにおかしい?結構真面目に訊いたのに……」
痺れを切らして話しかけたら、少し焦ったような返事があった。
「違うんだ。ガルシアが脳筋だと思って笑った訳ではない。あくまで言葉が興味深くて……いや、テオドールは確かに脳筋だと思う」
ですよねー。
そこは私も否定しようがない。
ヤツは正真正銘の脳筋だ。
「ルーはガルシアが脳筋だから、俺が内心では嫌ってるんじゃないかと思ったのか?」
ヒューゴの優しい瞳に背を押され、私は素直にコクンと頷いた。
「ヒューの家はみんな頭がいいでしょ?裏の顔まで知的で。それに比べてうちは猪突猛進だし、コックス家のおかげで勝ってるのに手柄はもらっちゃうし。嫌われてても当然だなって……」
つい俯いてしまったら、また頬っぺをムニッとされた。
初めて気付いたけど、ヒューゴの手はペンだこだけでなく、剣だこもある。
やっぱり日々鍛えているのだと思った。
「ルー、俺はむしろガルシアの人間が好きだ。俺だけじゃない、代々コックスの者はガルシアだけには好意的だった」
そうなの?
顔を上げてみれば、困ったように微笑むヒューゴの顔があった。
「コックスは昔から力を持っているから、権力にすり寄る者、蹴落とそうとする者が後を絶たない」
そりゃそうだよね。
力を持つ家のさだめってやつだよね。
「対等に下心なく接してくれる家など、代々ガルシアくらいのものだ」
まあうちは権力とか興味ない家だからね。
「ガルシアはやろうとおもえばアカネイルを手中に収められるだけの力を持ちながらその欲もなく、情報を伝えれば疑うことなく信じてくれる」
いや、そもそも乗っ取りとか考えつきもしないだけだし、疑うほど賢くないだけじゃ……
「コックスにとってガルシアはかけがえのない家で、唯一無二の信頼出来る相手だと思っている」
まじかー。
嫌われてるどころか、めっちゃ好かれてるじゃん!!
明らかに過大評価されてるし……
確かに心根はいいけどね?
結局、人間にとって心を許せる相手というものは非常に貴重で、何にも代え難いものなのかもしれない。
ヒューゴは思いがけず「脳筋嫌い」では無かったが、「知的なルイーザ大作戦」は続行しようと心に誓った。
221
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」
この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。
けれど、今日も受け入れてもらえることはない。
私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。
本当なら私が幸せにしたかった。
けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。
既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。
アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。
その時のためにも、私と離縁する必要がある。
アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!
推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。
全4話+番外編が1話となっております。
※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
気づいたら悪役令嬢でしたが、破滅フラグは全力で避けます!
腐ったバナナ
恋愛
目を覚ますと、乙女ゲームの世界で悪役令嬢として転生していた私――リリナ・フォン・ヴァルデン。
ゲームでは、王子への婚約破棄やヒロインへの嫌がらせが原因で破滅する役回り。
でも、私はもう一度人生をやり直せる!
フラグを確認し、全力で回避して、自由に、そして自分らしく生きると決めた。
「嫌なイベントは全部避けます。無理に人を傷つけない、そして……自分も傷つかない!」
だけど、自由奔放に行動する私のせいで、王子もヒロインも周囲も大混乱。
気づけば、破滅するはずの悪役令嬢が、いつの間にか一目置かれる存在になってしまった!?
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』
ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。
現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。
【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。
第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。
「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。
「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。
だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。
全43話+番外編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる