公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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31話

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   ギルバートを待たせるよりは、少し早めに馬車の前で待っていた方がいいよね。
そう思い、少し早めに馬車の所に向かった。

すると、ギルバートが私よりも先に待っていたのだ。私待ち合わせ時間、間違えちゃったのかな、時間合ってるはずなんだけどな。

  「お待たせ致しました。遅れてしまって申し訳ございません。」

私は一応謝った。

もしかしたら、私が時間を勘違いしてた可能性がある。

  「いいや、ティアナは時間に遅れてないよ。最近のティアナを言動を見て、きっと時間より早くこちらに来るだろうな、って思っただけだからね。」

ギルバートは、私が速く来る事を見越して先に待っていたのだ。

   「そうなんですね。待っていて下さりありがとうございます。」

  些細な言動も見逃さない彼は、私の最近の行動に怪しさを覚えているはずだ。

   「紹介するね、今日僕達の護衛をしてくれるルクシオンだ。」

  「初めましてティアナお嬢様。ギルバート様の護衛騎士を任されておりますルクシオンと申します。」

  「私はティアナ・アステール。本日はよろしくお願いします。」

私は、敵意のない笑顔で言った。

ギルバートの護衛騎士ともなれば、信頼されているはず。仲良くなって損は無い。

   「では、ギルバート様とのお買い物楽しんで行ってらっしゃいませ。」

   『行ってらっしゃいませ。』

私の専属侍女である三人が口々に見送ってくれた。

   「ありがとう。楽しんで来るね。」
私は三人に手を振った。

馬車に乗ろうとしたその時、ギルバートが手を差し伸べてくれた。

   「お手をどうぞ。」

一瞬手を重ねるか迷ったが、差し伸べてくれた手を振りほどく訳にもいかず、有難く手を取った。

   「ありがとうございます。」

ギルバートが手を差し伸べてくれるなんて思わなかったな。

   「何かございましたら、馬車の直ぐ傍で馬を走らせておりますのでお呼びください。」
とルクシオンが言った。

   「あぁ。」ギルバートは返事をした。

移動している時、しばらくの間沈黙が続いた。
何も話すことないし、少し気まずい。話題を作ろうにも共通した話しがないしな。

   「ティアナはアクセサリーが欲しいそうだね。どんな物が欲しいのかな。」

私が気まずそうにしていたからだろうか、ギルバートが気を利かせて話しかけてきてくれた。

   「最近、侍女のルーシーが可愛い髪型にしてくれるので、ヘアアクセサリーを付けたいと思ったんです。」

   「そうなんだね。じゃあ今日の髪も侍女のルーシーにやってもらったのかな。」
とギルバートが聞いてくれた。

   「はい。」
   「今日も凄く可愛いよ。」

ギルバートに直接そんなこと言われると、返答に困っちゃうよ。今まで、そんなこと言ってこなかったから社交辞令か。

   「…ありがとうございます。」

(あ、目線外した。照れてるんだな。)
ギルバートは心の中でそう思った。

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