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33話
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部屋に移動すると、オーナーの方が靴を取りに行った。近くにあった椅子に、ギルバートが私を座らせてくれた。
奥の部屋に案内してくれるって事はいわゆる、VIPルームということだよね。やっぱり、公爵家ってすごいんだな。
私は、あらためて貴族の世界にいるのだと思った。
「ティアナ、靴を脱いでもらえるかな。」
「…はい。」
ギルバートに言われ、少し疑問に思ったがティアナは直ぐに靴を脱いだ。
あ。靴擦れして皮がむけていたところから血が出ている。さっきの転んだ拍子に血が出ちゃったのかな。
新しい靴履いたら、血で滲んじゃう。
「ルクシオン。」
ギルバートはルクシオンに向かい手を差し出した。
「はい。」
そう言うと、ルクシオンは何やら紙のようなものをギルバートに渡した。
「少し、足を上げてくれないか」
私はそう言われると、ギルバートに向かって少し足を上げた。
え?
すると、ギルバートが私の血が出ている足に絆創膏をつけ新しい靴下をはかせてくれた。
「…ありがとうございます。」
ギルバート今日、どうしちゃったんだろう。絆創膏だって自分でつけられるし、靴下だって自分で履けるのにわざわざしてくれるなんて。
まさか、さっき抱っこされたままここに来たのって私の足を労わって?
もしかして、ルクシオンの用事って絆創膏と靴下のこと?私ですら、血が出ていることに気づかなかったのに。
「ルクシオンさっきの用事って、絆創膏と靴下のことだよね。取ってきてくれてありがとう。」
靴下なんて運良く、私のサイズに合うものが馬車にある訳がない。きっと買ってきてくれたのだろう。
「いえいえ、ギルバート様が持ってくるように仰っていたので。」
「えそうなの?」
でも、私が見た時頷いていただけなのに。
「さっき転んだ時に、少し見えたんだ。足が傷ついているのを知らずに歩かせてごめんね。」
(公爵家が愛用している靴はオーダーメイドだ。靴擦れを起こすことは滅多にない。リリーやイザベラがティアナの身体が成長しても、靴を与えることはなかったのだろう。あいつらが盗んだ物の中には、靴も含まれていた。お金にすればいい値段にはなるからな。)
「いえ。私、自分の足で街を歩いて周りを見たかったので…。」
「お嬢様、我慢しなくてもいいのですよ。」
ルクシオンが悲しい表情をしていた。
私が我慢しているように見えたのだろう。
実際、少し我慢はしていたが迷惑になるだろうと思い言えなかった。
「・・・ちょっと足が、痛いかも。」
「よく言えましたね。」
ルクシオンが笑顔で褒めてくれた。
ここで座ってまっていると、オーナーが戻ってきた。
奥の部屋に案内してくれるって事はいわゆる、VIPルームということだよね。やっぱり、公爵家ってすごいんだな。
私は、あらためて貴族の世界にいるのだと思った。
「ティアナ、靴を脱いでもらえるかな。」
「…はい。」
ギルバートに言われ、少し疑問に思ったがティアナは直ぐに靴を脱いだ。
あ。靴擦れして皮がむけていたところから血が出ている。さっきの転んだ拍子に血が出ちゃったのかな。
新しい靴履いたら、血で滲んじゃう。
「ルクシオン。」
ギルバートはルクシオンに向かい手を差し出した。
「はい。」
そう言うと、ルクシオンは何やら紙のようなものをギルバートに渡した。
「少し、足を上げてくれないか」
私はそう言われると、ギルバートに向かって少し足を上げた。
え?
すると、ギルバートが私の血が出ている足に絆創膏をつけ新しい靴下をはかせてくれた。
「…ありがとうございます。」
ギルバート今日、どうしちゃったんだろう。絆創膏だって自分でつけられるし、靴下だって自分で履けるのにわざわざしてくれるなんて。
まさか、さっき抱っこされたままここに来たのって私の足を労わって?
もしかして、ルクシオンの用事って絆創膏と靴下のこと?私ですら、血が出ていることに気づかなかったのに。
「ルクシオンさっきの用事って、絆創膏と靴下のことだよね。取ってきてくれてありがとう。」
靴下なんて運良く、私のサイズに合うものが馬車にある訳がない。きっと買ってきてくれたのだろう。
「いえいえ、ギルバート様が持ってくるように仰っていたので。」
「えそうなの?」
でも、私が見た時頷いていただけなのに。
「さっき転んだ時に、少し見えたんだ。足が傷ついているのを知らずに歩かせてごめんね。」
(公爵家が愛用している靴はオーダーメイドだ。靴擦れを起こすことは滅多にない。リリーやイザベラがティアナの身体が成長しても、靴を与えることはなかったのだろう。あいつらが盗んだ物の中には、靴も含まれていた。お金にすればいい値段にはなるからな。)
「いえ。私、自分の足で街を歩いて周りを見たかったので…。」
「お嬢様、我慢しなくてもいいのですよ。」
ルクシオンが悲しい表情をしていた。
私が我慢しているように見えたのだろう。
実際、少し我慢はしていたが迷惑になるだろうと思い言えなかった。
「・・・ちょっと足が、痛いかも。」
「よく言えましたね。」
ルクシオンが笑顔で褒めてくれた。
ここで座ってまっていると、オーナーが戻ってきた。
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