公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

文字の大きさ
61 / 122

59話

しおりを挟む
     あれから、少し経ったあとパーティーはお開きになった。

   「お嬢様、お疲れ様でした。今日はすごく疲れましたよね。」

   「凄い疲れたけど楽しかったよ。」

何より会場のご飯がとても美味しかった。
特に"肉"!

   「ミシェル様とは、もうすっかり仲がよろしいですね。」

   「ふふ。一番の友達だからね。」

マリアナと寝る前に今日の楽しかったことを振り返った。

すると、私の部屋に誰かが夜遅くに来客してきた。

  『コンコン。』

夜が遅いということもあってマリアナも警戒していた。

誰が来たんだろう。

   「私が確認してまいります。」

そう言うと、マリアナは扉の向こうを確認した。

   「あら、公爵様。」

   「え、公爵様?中に通して。」

   「かしこまりました。」

   「失礼する。」



公爵様は小さな箱を持って私の側へ歩み寄ってきた。

   「二人にしてくれ。」

マリアナにそう言うと、直ぐに退出した。

何か内密に話したいことでもあるのかな?

   「ティアナ夜遅くすまない。少し話がしたくてな。」

   「話って重要なことなのですか?」

  「私にとっては重要なことだ。」

静かな空間だし、声が響く。
緊張して、心臓の音が部屋内に響き渡りそう。

   「これは、遅くなったが私とフローラからの誕生日プレゼントだ。」

公爵様はそう言うと、手に持っていた小さな箱をティアナに渡した。

フローラというと、私のお母様だ。
二人でプレゼントを用意してくれたの?

   「開けてもいいですか。」

   「あぁ。」

嬉しい気持ちを抑え、箱に着いているリボンを丁寧に解き、開封した。

   「わぁ!ネックレスですか!?」

中に入っていたプレゼントには、ティアナの瞳と同じ色である、赤い石が秘められていた。

   「これは、お前の母と共に作成した魔道具だ。エリーにプレゼントしたネックレスを覚えているな?それと同様の物だ。万が一危険が迫った時に、身を護ってくれるものだ。」

これを作る過程はとても大変なんじゃなかったっけ。

   「でも、これって魔力を込め何重にも魔法をかけないといけないんですよね?お母様のお体は大丈夫なのですか?」

このような高価な物を貰うのはとても嬉しいが、弱っているお母様には酷な事ではなかったのか。

   「大丈夫だ、お前の母親は強いからな。だが、万が一のこともある為私と共に魔力を込めた。」

いや、公爵様はお母様の容態は大丈夫だとは言っているけど本当は良好では無いのだろう。

それでも、私の誕生日に合わせて作ってくれるのは嬉しかった。

公爵様の出入りが最近多くなったのは、頻繁にお母様の元へ訪れていたからなのだろう。

  「でも、私はお母様の体調が優れないにも関わらず、いつもわがままを言いました。それが原因でお母様は、ここにいられないんですよね…。」

元はと言えば私の責任もあった。
今のお母様の様子は分からないが、まだ邸宅にいた頃のお母様はとても辛そうだった。でも、私はわがままを言い続けた。

だから、だから、このような籠った物を貰う権利が私には、無い…。

顔を上げられない。
公爵様は今どんな表情をしているのだろう。
私を恨んでいるのかな。

    「ティアナ…。そんな事は気にしなくていい。フローラもそのような事は気にしていない。誰もお前のせいだとは思ってはいないんだ…。」

なぜか、公爵様は苦しそうな悲しそうな声をしていた。


しおりを挟む
感想 140

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。

木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。 彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。 しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

そんなに嫌いなら、私は消えることを選びます。

秋月一花
恋愛
「お前はいつものろまで、クズで、私の引き立て役なのよ、お姉様」  私を蔑む視線を向けて、双子の妹がそう言った。 「本当、お前と違ってジュリーは賢くて、裁縫も刺繍も天才的だよ」  愛しそうな表情を浮かべて、妹を抱きしめるお父様。 「――あなたは、この家に要らないのよ」  扇子で私の頬を叩くお母様。  ……そんなに私のことが嫌いなら、消えることを選びます。    消えた先で、私は『愛』を知ることが出来た。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

処理中です...