公女様は愛されたいと願うのやめました。～態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか？～

67話

   私のプレゼント喜んでくれるかな。

   「お嬢様、こちらを。」

マリアナが持っていてくれたクッキーをティアナに差し出した。

   「喜んで下さいますよ。とっても頑張ってお作りになられたのですから。」

マリアナは優しいから欲しい言葉を常にくれる。

その言葉を聞き、ティアナはマリアナからクッキーを受け取った。

  「ティアナも、私に見せたいものがあるのでしょう？見せてくれないかしら。」

そんな様子を見て、お母様は私に笑顔を向けた。

   「あの、お姉様みたいに上手では無いのですが、クッキーを作ってきました。」

ティアナは自分が作ってきたクッキーを公爵夫人に贈った。

   「あ、でも、お母様の口に合わないかもしれないです。その、だから…」
  
   「そんなこと絶対にないよ！私もこの間貰って食べたのですが、とっても美味しかったです！」

   「お姉様…。」

エリーはティアナの言葉を遮り、勢いよく訂正した。

   「私は、ティアナから貰ったものなら全て嬉しいわ。」

   「お母様…。」

お姉様や、お母様までもが私の負の言葉を否定してくれた。

すると、お母様は私が差し上げたクッキーの袋を開け、その場で食べた。

   「お待ちください、まだ毒味がっ…。」

え？

横で見ていたカミラとは別の侍女が、間に入ってきた。

    「何が入っているか、分からないじゃない、特にこの令嬢は…。」

私の噂は、こちらまで周っているの？絶対に事実とは異なる噂が広まっているわ。

大分イメージ改善されたとしても辺境の地では、まだ払拭されていないということ。

でも、確かにお母様は公爵様の伴侶であるため地位も高いし、体には気をつけないといけないのだわ。特に、免疫も減少しているだろうし。

けど、毒が入ってると思われるのはちょっと悲しくなるけど。

   「失礼よ。訂正しなさい。」

お母様は侍女を睨みつけ、叱責した。

   「いえ、ただこちらの方はお母様のことを思ってのことだろうし、仕事をしただけなので謝らなくても大丈夫ですよ。」

   「ティアナ、そんな甘い考えはいけませんよ。」

(イザベラの行為を聞いた時は、信用していた為驚いたけど、やはり屋敷内で不当な扱いが強いられていたのね。ティアナは仕方がない、と思っているのかしら。後でギオンに手紙を送るしかないわね。)

   「え、はい！」

私が、注意されるとは思っていなかった。
お母様が言う事は、一理ある。"上位の貴族位を持つ者が安易に許してはいけない"ということだろう。

   「先程のあなたの言葉は、娘に対しての侮辱行為として捉えますよ。」

再び、お母様は侍女の方に向いた。

   「ティアナ様、大変申し訳ございませんでした。」

実際、この侍女の言うことは正しい。毒が入っているかもしれないという考慮があった。言い方が悪かったのだ。

    「次からは、気をつけなさい。」

ティアナは、さっきのお母様の言葉を聞き柄にもなく、強めに言った。

ティアナは、侍女の謝罪を受け入れた。