公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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95話

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    「…うん。」
   
 ティアナは、こくりと頷いた。内心、こわかったのだ。涙を堪え、ゆっくりと話し始めた。が、時間が惜しいためリアムはエリーを抱え、外にある広場に向かって歩き出した。その後をティアナ、ステラは着いて歩いた。

  

     「それだとティアナが危険に晒されるだろっ!」

ティアナは、全てを話した。

    「はい。だけど、私なら耐えられる。心強い仲間がいるの。耐えられるの。」

ティアナが、これから何を行うのか全てをリアムに言った頃、ちょうど広場に到着した。

    「そんなの無理だ、俺がティアナの役割を代わる。」

リアムは、そっと抱き抱えていたエリーを優しく降ろし、ティアナに痛い思いをさせるまいとブレスレットに触れようとした。

   バチンっ___ッ!

眩しい光とともに、リアムは弾かれてしまった。

    「イッ___っ」

 案の定、神器に触れようとしたリアムは触れた瞬間稲妻が走った。

     「リアム、大丈夫っ!?」
 
  神器に認められてない人が、触るとこうなっちゃうんだ。迂闊に触れられないように気をつけないと。周りが怪我しちゃうわ。リアムすごく痛そうだし。

    「っ大丈夫だ。」

   「今の通り、ティアナ以外の者が触れると弾かれてしまう。エリーを救うには、ティアナでないといけないのだ。誰も代わることなど出来ん。」

ステラは、ティアナに代わりキッパリと断った。

    「チッ___っ」

リアムは、悔しそうに舌打ちをした。

   「たが、苦しくなったらすぐに言え。無理やりにでも、引き剥がす。俺は、エリーだけの兄じゃない。」

    「ありがと、リアム。」

滅多にリアムに好意を示さないティアナは、感謝の意を述べた。

   これから、私はお姉様を助けるんだ。私にしか出来ない。私だけがお姉様を救えるんだ。

ティアナは、そっとブレスレットに触れ息を思い切り吸い込んだ。そして一気に喉に溜め、声に出した。

     「出てきて、フィーネ!」

ティアナの呼びかけに応えるように、ブレスレットがそれに応じた。宝石が微かにひかり、瞬く間に姿を表した。儚げな姿をした、フィーネが現れたのだ。

     「これが、精霊。初めて見た……。」

リアムは、初めて見る精霊を凝視していた。驚いているリアムをよそに、ティアナはフィーネに頷いた。

      「周囲には、誰もいない。確実に、ティアナは苦しい思いをする。耐えるのだぞ」
 
      「ありがとう、ステラ。」

      「フィーネ、今からお姉様の暴走している神聖力をこのブレスレットに吸収するわ。」

      「分かった」

 (あの小娘の神聖力の量に耐えられるのかは、五分五分だな。せっかく、退屈しなそうな奴を見つけたのにここで無くすわけにはいかないな。)

     「はぁ、はぁ 、うぅ」

エリーは、苦しそうに胸を押さえていた。

 

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