公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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115話

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 ステラのおかげで誰にも見つからずに、約束の噴水の場所にたどり着くことができた。集合時刻より少し前に来たが、リアムは私たちよりも先に着いていた。

  「あ、ティアナ!誰にも見つからずにここまで来れたんだな」

  「ここまで来るの、本当に大変たった」

私は、先程のステラの行動をリアムに全て話した。
すると、リアムは目を輝かせ一気に顔つきが明るくなった。

  「先生!俺も、今度乗せてください!」

 あんなに私は怖かったのに、リアムは乗りたそうにしてる。やんちゃな男の子すぎる。

   「よかろう。今度は屋根からでもいいぞ」

   「うわ、めっちゃ面白そう」

  リアムは、好奇心旺盛なためすごく喜んでいるが、私には理解できない。

  「なぁ、父上はどうやって撒いてきたんだ?」

  「それがね、お父様仕事っぽくて夕方まで帰って来れないんだって」

  「それは、チャンスだな!」

  「それにね、もしお父様が私たちより先に帰って、私の部屋に来てもフィーネが私の分身を作り出してくれたから、私は部屋にいることになってるの」

   「分身なんて作れるのか!?」

  「まぁな」

  「魔法ってやっぱりすごいんだな…」

リアムは、あらためて魔法の凄さに感激していた。

  「クックックッ、じゃあ安心して楽しめるな」

 リアムは、悪巧みをしている子供のように笑っていた。リアムも今日を楽しみにしていたっていうことがわかるね。

   「ねぇ、リアムここからどうやって行くの?」

  部屋から抜け出すのにも一苦労だったけど、実際まだ敷地内にいる。門から出ようとするにも、絶対に警備の騎士に阻止されるだろう。どこか、抜け道があるのだろうか。

  リアムに、全て任せちゃったけど私も一緒に考えた方が良かったな。

    「そ・れ・は、秘密の通路から外に出まーす」

 リアムは、楽しそうに隠し通路の存在を伝えた。これって、私に伝えても良かったのかな?

   「隠し通路ってこと!?」

 隠し通路なんて、本当に貴族だ。万が一危険のために用意されたものなのだろうか。

   「んーちょっと違うけど、着いてきたら分かる」

そう言って、リアムは私たちのことを案内してくれた。初めにいた噴水の場所から少し離れた、私が住んでいた別館の方まで歩いてきた。

  別館を見ると、私は過去の事を思い出した。
この1年で、本当に色々なことがあったよね。いつの間にか、家族の仲は完璧とは言えないが修復されつつあるし、お母様も死なずに生きている。

  前まで絶対にありえなかった、リアムとの外出だなんて。しかも、みんなに内緒でこっそりと。やっぱり、世の中何が起きるか分からないな。

 この調子で行けば何事もなく、死の未来を避けれそうだし。順調、順調。

 リアムは別館を通り過ぎ、壁側に沿って歩き始めた。

別館の中に、隠し通路があるのかと思ったけど違うみたい。一体どこまで歩くのかな?リアムに案内されるまま、どんどん奥まで進んで行った。草や気をかき分けて、さらに進んでいく。

別館の奥に来ること自体初めてだったけど、奥の方は人もあまり来ないから手入れされていないな。

  「着いたぞ」

  「え、あ、ここ?」

 もっと奥まで進むかと思ったが、目の前には高く聳える城壁が広がっていた。

   「まさか、ここ登る、の?」

   「いやいや、まさか。俺もそこまでの脚力はないな」

 ほっ__

私は、胸を撫で下ろした。

   「下見ろ、下」

リアムが指さす方に視線を向けた。そこには、ひとり通り抜けられそうな穴があった。




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