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156話 イザベラの恋心
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さらに一か月程の時が経過した。
今は二月。
寒さが一段と厳しくなってきた頃だ。
この世界は現代日本で発売された乙女ゲーム『恋の学園ファンタジー ~ドキドキ・ラブリー・ラブ~』――通称『ドララ』に準拠している。
在校生の卒業式を三月に控えている上、バレンタインデーのイベントがあるため、ゲーム内でもこの時期はイベント目白押しとなっている。
「ふん……。羽虫達が色めき立っていますわね。目障りな……」
イザベラは小声でそんなことを呟きつつ、廊下を歩く。
彼女の視界には、男子生徒達の姿があった。
その誰もが、イザベラのことを熱い視線で見つめていた。
「はぁ……。どうして私がこんな目に遭わなければならないのかしら?」
イザベラは小さくため息を吐いた。
イザベラ・アディントン。
侯爵家の令嬢である。
ゲーム内の彼女は傲慢な悪役令嬢であり、平民出身のヒロインを虐めては嘲笑っていた。
そんなヒロインを、攻略対象達は庇い、守る。
そうして愛を育んでいくのだ。
攻略ルートにもよるが、悪役令嬢のイザベラが断罪され処刑されるエンディングも存在する。
「ちっ! 忌々しい……」
そんな悪役令嬢の彼女に、現代の日本人女性の魂が宿った。
ゲーム知識を持つ彼女は、バッドエンドを回避するべく動いてきた。
時には考えなしの行動で思いもよらない方向に事態が進んだこともあったが、概ね順調に進んでいると言えるだろう。
いや、正確に言えば、ほんの少し前までは順調に進んでいたのだ。
彼女の計画が狂い始めたのは、秋祭りの頃からである。
闇の瘴気を全身に浴びてしまったイザベラは、本来の自分を見失ってしまった。
その結果、本来であれば絶対にしないはずの行動を取るようになった。
それが今の状況なのだ。
「早くエドワード殿下に会いたいわね……」
イザベラは呟く。
エドワードとの婚約は、アディントン家にとって大きなメリットをもたらす。
アディントン家は侯爵家で、王族と繋がりを持つことで更なる発展が期待できるからだ。
その上、エドワードは一人の男としても非常に魅力的である。
生まれの高貴さは言うまでもないが、文武両道で人望もある。
さらにはイケメンだ。
彼は第一王子であり順当に行けば次期国王であるが、侯爵家令嬢イザベラと婚約したことによってその座はさらに揺るぎないものになった。
「今までの私はどうかしていたわ。あんな優良物件を放置していたなんてね」
エドワードが男として優れているのは事実である。
イザベラがそんな彼からの婚約を先延ばししていたのは、バッドエンドのことが頭にあったからだ。
しかし闇の瘴気により侵された今の彼女は、そのような理知的な判断ができる状態ではない。
彼女は前世の頃からの面食い気質も相まって、エドワードにぞっこんであった。
「ああ……エドワード殿下。早くお会いしたいですわ」
イザベラはうっとりとした表情を浮かべながら、廊下を進む。
そして、そのまま階段に差し掛かったところで、とある光景を目撃するのだった。
今は二月。
寒さが一段と厳しくなってきた頃だ。
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在校生の卒業式を三月に控えている上、バレンタインデーのイベントがあるため、ゲーム内でもこの時期はイベント目白押しとなっている。
「ふん……。羽虫達が色めき立っていますわね。目障りな……」
イザベラは小声でそんなことを呟きつつ、廊下を歩く。
彼女の視界には、男子生徒達の姿があった。
その誰もが、イザベラのことを熱い視線で見つめていた。
「はぁ……。どうして私がこんな目に遭わなければならないのかしら?」
イザベラは小さくため息を吐いた。
イザベラ・アディントン。
侯爵家の令嬢である。
ゲーム内の彼女は傲慢な悪役令嬢であり、平民出身のヒロインを虐めては嘲笑っていた。
そんなヒロインを、攻略対象達は庇い、守る。
そうして愛を育んでいくのだ。
攻略ルートにもよるが、悪役令嬢のイザベラが断罪され処刑されるエンディングも存在する。
「ちっ! 忌々しい……」
そんな悪役令嬢の彼女に、現代の日本人女性の魂が宿った。
ゲーム知識を持つ彼女は、バッドエンドを回避するべく動いてきた。
時には考えなしの行動で思いもよらない方向に事態が進んだこともあったが、概ね順調に進んでいると言えるだろう。
いや、正確に言えば、ほんの少し前までは順調に進んでいたのだ。
彼女の計画が狂い始めたのは、秋祭りの頃からである。
闇の瘴気を全身に浴びてしまったイザベラは、本来の自分を見失ってしまった。
その結果、本来であれば絶対にしないはずの行動を取るようになった。
それが今の状況なのだ。
「早くエドワード殿下に会いたいわね……」
イザベラは呟く。
エドワードとの婚約は、アディントン家にとって大きなメリットをもたらす。
アディントン家は侯爵家で、王族と繋がりを持つことで更なる発展が期待できるからだ。
その上、エドワードは一人の男としても非常に魅力的である。
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さらにはイケメンだ。
彼は第一王子であり順当に行けば次期国王であるが、侯爵家令嬢イザベラと婚約したことによってその座はさらに揺るぎないものになった。
「今までの私はどうかしていたわ。あんな優良物件を放置していたなんてね」
エドワードが男として優れているのは事実である。
イザベラがそんな彼からの婚約を先延ばししていたのは、バッドエンドのことが頭にあったからだ。
しかし闇の瘴気により侵された今の彼女は、そのような理知的な判断ができる状態ではない。
彼女は前世の頃からの面食い気質も相まって、エドワードにぞっこんであった。
「ああ……エドワード殿下。早くお会いしたいですわ」
イザベラはうっとりとした表情を浮かべながら、廊下を進む。
そして、そのまま階段に差し掛かったところで、とある光景を目撃するのだった。
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