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お仕置き
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その四人組を見て、体中の血液が沸騰したかのように熱くなったが、こんなところで揉めるわけにもいかない。俺は心を鎮めるために、息を深く吸って吐いた。
俺が突っ立って視線を送っていると、向こうも俺に気が付いたのか、こちらを見て何やらコソコソ話をしている。そして彼女たちは近づいてきて、赤髪リーダー格が俺の前に立った。
「オジサン、生きていたのね」
「ああ、おかげさんで」
俺がにやりと笑ってみせると、彼女は一瞬、顔を引きつらせた。
「それで、ギルドには報告したの?」
「いや、してない。証拠が何もないからなぁ」
俺が首を横に振ると、赤髪リーダー格は髪を払って嘲笑う。
「ふっ、でしょうね。報告したところで、オジサンに襲われたから返り討ちにした。そう言えばいいだけだし」
「それはさすがに無理があるだろ。俺の金も持ち物も全部盗っていったくせに。調べたらすぐに分かるさ」
赤髪リーダー格は、余裕の笑みから一転して険しい目つきになるが、俺は構わず続けた。
「証拠がないってのは、俺の体の方だよ。強力な魔法を喰らって瀕死になったって訴えても、傷の一つもなく完治しているからな。あり金全部持っていかれたら、瀕死の重傷を完治できる高額な治癒魔法なんて受けられないし」
俺の言葉に紫髪が首を傾げている。ああ、アイツは俺にストーンブラストを撃ち込んだやつだな。
「あの魔法を至近距離で受けて、生きているだけでも驚きなのに、もう動けるなんて……。ヒールポーションも盗ったし、どうやったの?」
「ひ・み・つ」
以前赤髪リーダー格がしたようにおどけて見せると、彼女の切れ長の目がキッと鋭くなった。おぉ、怖い怖い。俺は赤髪リーダー格に向き直る。
「それよりも、俺から盗んだ金を返してくれないか? そうすれば許してやるし、ギルドにも内緒にしておいてやるよ」
「ええ、分かったわ。でも今は持っていないから、明日私たちの家まで取りに来てくれる? これ、住所よ」
赤髪リーダー格は素敵に微笑むと、紙切れを俺に差し出した。
「いいだろう」
俺が頷いて、その紙切れを受け取ると、彼女たちは去っていった。四人組の姿が見えなくなると、体に巻き付いているベネットの念話が聞こえてきた。
「アイツら、ウィルを殺す気」
「んなこたぁ分かってるよ。前は油断してたし、一人だったからやられたけど、今はお前がいるだろ? 頼りにしてるぜ、相棒」
「任せて! ベネット、頑張る!」
気合の入ったベネットの返事を聞いて、俺はほくそ笑むのだった。
* * *
翌日、紙切れに書かれた住所へ行くと、そこは貧民街にあるぼろい建物の一つだった。
あの身なりがいい美少女ちゃんたちが、こんなところに住んでるわけないよなぁ……。殺る気満々じゃねぇか、まいったね。
その建物の中に入っていくと、あの美少女四人組がいたので、俺は片手をあげて声を掛けた。
「ちわー、集金に来ましたー」
赤髪リーダー格は、煩わしそうに長い髪を手で払うと、俺に視線を向けた。
「怖気づいてここまで来ないと思っていたのに、よく来たわね?」
「こんなんでビビってたら、冒険者なんてやってられるか」
「まぁ、いいわ。あなたはここで殺す」
赤髪リーダー格が冷たい声を出すと、ぞろぞろと武装した男たちが奥から出てきた。
お、アイツは強姦殺人で指名手配中のボウジャック。あっちは強盗殺人のジャーアク。他にもいっぱい賞金首の奴がいるな。俺を殺すために、わざわざ雇ったのか。ご苦労なこった。
得物を構えて、俺を取り囲む五人の男たち。少し離れたところで、笑みを浮かべる美少女四人組。
「なぁベネット。こいつらまとめて行動不能にできないか?」
「お安い、御用」
俺の体に巻き付いていたベネットは、元のキノコの姿に戻って胞子をばらまいた。
すると、この場にいる俺以外の大半がバタバタと倒れていき、身動きが取れなくなった。
胞子が効かないやつには、先端を刃にした菌糸を伸ばして、脚の腱を切り動けなくした。とんでもない早技だ。
「ベネット、あの四人以外は全部喰ってもいいぞ」
ベネットからさらに菌糸が伸び、次々と男たちに絡みつく。彼らは繭状に包まれて少しの間藻掻いていたが、すぐに動かなくなった。
菌糸が解かれた後には、装備品と衣服を残して消滅していた。
ベネットを見ると、高さ1mほどの大きさになっていた。いっぱい食べて、大きくなったのね……。
残された美少女たちは、恐怖で顔が引きつっている。赤髪リーダー格は、震える手でベネットを指差した。
「その、キノコ型モンスター、まさか……」
「ああ、ブラッディマッシュだ。丸っこくて、意外とかわいらしい見た目をしてるだろ?」
俺がドヤ顔で笑って見せると、赤髪サイドテールが青ざめた顔で口を開く。
「厄災級モンスターがなんでこんなところに……? まさかテイムしたとでも言うの!?」
「俺、テイマーじゃないからテイムとかはできないんだけどね。なんか懐かれたんだ、いいだろ?」
俺がニタリと笑うと、四人組は歯を食いしばって俺を睨んでいる。
「さて、どうしようかな?」
俺はさらに悪人っぽく笑って、大きくなった相棒の傘の上に手を乗せる。ベネットが菌糸を伸ばして触手のように揺らすと、彼女たちは「ヒィッ!」と悲鳴を上げた。
「この通り、謝るから許して! お金もきちんと返すから!」
「ごめんなさい! 私たち脅されて仕方なくあなたを襲ったの!」
「お願いだから殺さないでぇ!」
「助けてくださいぃー」
彼女達は涙ながらに訴えてる。かわいい子っていいよなぁ、こんな姿を見せられると、つい許したくなってしまう。でも、強盗殺人未遂なんだからしっかりお仕置きしないとね。楽しんでなんかいないからな!
「おじさんさぁ、あの魔法喰らった時、すごく痛かったんだよね」
俺が紫髪の前に立って見下すと、彼女は顔を上げて目を吊り上げる。
「怪我ならもう治っているじゃない!」
「あれれー? そんなこと言っちゃうわけ? おじさん、ちょっと腹立つなぁ」
紫髪は口を閉じて俯く。彼女たちは視線こそ落としているが、悔しそうに唇を噛み締めて、抵抗の意思が見て取れる。おそらくこいつらは、反省なんてする気もないし、金を返す気もないだろう。
とはいえ、無抵抗の女を暴行したり、殺したりなんてのはしたくない。
「いいよ。許してやるよ。でも次は無いからな。俺の気が変わらないうちに失せろ。金も全額きちんと返せよ?」
四人組はベネットの胞子の影響でふらつきながらも、そそくさと去っていった。
ため息を吐いて、転がっている木箱に腰かけると、ベネットの念話が聞こえてきた。
「アイツら、まだウィルを殺す気だよ。殺しておけば良かったのに」
「だろうな。次にあいつらが俺を殺しに来たら、喰っていいからな。ってか、お前、なんか話し方が流暢になってないか?」
「たくさんの人間を喰って吸収したから、多くの人間の知識を得たし、僕の言語理解能力も向上したみたい」
「そっかー、体も大きくなったしなぁ。そのサイズだと菌糸の状態で、俺に巻き付いても誤魔化せないぞ」
「それなら心配ないよ。人間に擬態出来るようになったから」
ベネットはそう言うと、ずんぐりとしたキノコスタイルがみるみる細くなって、天使かと思えるほどの美しい少年に変身した。
「この姿なら人間に見えるでしょ?」
「人相の悪い奴ばっかり吸収したのに、美形になるのは解せんな」
「吸収した人間の平均値で顔を作ったら、こうなったんだよ。それと、新人冒険者を名乗るために若い容姿にしたんだ。どうかな?」
ベネットは念話じゃなくて、口を動かして話した。
あー、美醜に関して、どっかでそんな話を聞いたことあるな。究極の美形ってのは最も平均的な顔だとかなんとか。まぁどうでもいいか。これならモンスターに見えないし、堂々と街も歩ける。
「その設定でいいぞ。だが素っ裸で街を歩くわけにもいかん、そこらへんに散らばってる適当な服を着てくれ」
しかし、ギルドへの報告はどうするか。賞金首の重罪人を五人殺したから賞金が貰えるだろうが、血を一滴も残さず殺したとなれば、どうやったのかしつこく追及されるだろう。そうなればベネットの存在に気付かれるかもしれない。
少しだけ考えたが、ギルドに報告しないと決めて、この場所から離れた。
俺が突っ立って視線を送っていると、向こうも俺に気が付いたのか、こちらを見て何やらコソコソ話をしている。そして彼女たちは近づいてきて、赤髪リーダー格が俺の前に立った。
「オジサン、生きていたのね」
「ああ、おかげさんで」
俺がにやりと笑ってみせると、彼女は一瞬、顔を引きつらせた。
「それで、ギルドには報告したの?」
「いや、してない。証拠が何もないからなぁ」
俺が首を横に振ると、赤髪リーダー格は髪を払って嘲笑う。
「ふっ、でしょうね。報告したところで、オジサンに襲われたから返り討ちにした。そう言えばいいだけだし」
「それはさすがに無理があるだろ。俺の金も持ち物も全部盗っていったくせに。調べたらすぐに分かるさ」
赤髪リーダー格は、余裕の笑みから一転して険しい目つきになるが、俺は構わず続けた。
「証拠がないってのは、俺の体の方だよ。強力な魔法を喰らって瀕死になったって訴えても、傷の一つもなく完治しているからな。あり金全部持っていかれたら、瀕死の重傷を完治できる高額な治癒魔法なんて受けられないし」
俺の言葉に紫髪が首を傾げている。ああ、アイツは俺にストーンブラストを撃ち込んだやつだな。
「あの魔法を至近距離で受けて、生きているだけでも驚きなのに、もう動けるなんて……。ヒールポーションも盗ったし、どうやったの?」
「ひ・み・つ」
以前赤髪リーダー格がしたようにおどけて見せると、彼女の切れ長の目がキッと鋭くなった。おぉ、怖い怖い。俺は赤髪リーダー格に向き直る。
「それよりも、俺から盗んだ金を返してくれないか? そうすれば許してやるし、ギルドにも内緒にしておいてやるよ」
「ええ、分かったわ。でも今は持っていないから、明日私たちの家まで取りに来てくれる? これ、住所よ」
赤髪リーダー格は素敵に微笑むと、紙切れを俺に差し出した。
「いいだろう」
俺が頷いて、その紙切れを受け取ると、彼女たちは去っていった。四人組の姿が見えなくなると、体に巻き付いているベネットの念話が聞こえてきた。
「アイツら、ウィルを殺す気」
「んなこたぁ分かってるよ。前は油断してたし、一人だったからやられたけど、今はお前がいるだろ? 頼りにしてるぜ、相棒」
「任せて! ベネット、頑張る!」
気合の入ったベネットの返事を聞いて、俺はほくそ笑むのだった。
* * *
翌日、紙切れに書かれた住所へ行くと、そこは貧民街にあるぼろい建物の一つだった。
あの身なりがいい美少女ちゃんたちが、こんなところに住んでるわけないよなぁ……。殺る気満々じゃねぇか、まいったね。
その建物の中に入っていくと、あの美少女四人組がいたので、俺は片手をあげて声を掛けた。
「ちわー、集金に来ましたー」
赤髪リーダー格は、煩わしそうに長い髪を手で払うと、俺に視線を向けた。
「怖気づいてここまで来ないと思っていたのに、よく来たわね?」
「こんなんでビビってたら、冒険者なんてやってられるか」
「まぁ、いいわ。あなたはここで殺す」
赤髪リーダー格が冷たい声を出すと、ぞろぞろと武装した男たちが奥から出てきた。
お、アイツは強姦殺人で指名手配中のボウジャック。あっちは強盗殺人のジャーアク。他にもいっぱい賞金首の奴がいるな。俺を殺すために、わざわざ雇ったのか。ご苦労なこった。
得物を構えて、俺を取り囲む五人の男たち。少し離れたところで、笑みを浮かべる美少女四人組。
「なぁベネット。こいつらまとめて行動不能にできないか?」
「お安い、御用」
俺の体に巻き付いていたベネットは、元のキノコの姿に戻って胞子をばらまいた。
すると、この場にいる俺以外の大半がバタバタと倒れていき、身動きが取れなくなった。
胞子が効かないやつには、先端を刃にした菌糸を伸ばして、脚の腱を切り動けなくした。とんでもない早技だ。
「ベネット、あの四人以外は全部喰ってもいいぞ」
ベネットからさらに菌糸が伸び、次々と男たちに絡みつく。彼らは繭状に包まれて少しの間藻掻いていたが、すぐに動かなくなった。
菌糸が解かれた後には、装備品と衣服を残して消滅していた。
ベネットを見ると、高さ1mほどの大きさになっていた。いっぱい食べて、大きくなったのね……。
残された美少女たちは、恐怖で顔が引きつっている。赤髪リーダー格は、震える手でベネットを指差した。
「その、キノコ型モンスター、まさか……」
「ああ、ブラッディマッシュだ。丸っこくて、意外とかわいらしい見た目をしてるだろ?」
俺がドヤ顔で笑って見せると、赤髪サイドテールが青ざめた顔で口を開く。
「厄災級モンスターがなんでこんなところに……? まさかテイムしたとでも言うの!?」
「俺、テイマーじゃないからテイムとかはできないんだけどね。なんか懐かれたんだ、いいだろ?」
俺がニタリと笑うと、四人組は歯を食いしばって俺を睨んでいる。
「さて、どうしようかな?」
俺はさらに悪人っぽく笑って、大きくなった相棒の傘の上に手を乗せる。ベネットが菌糸を伸ばして触手のように揺らすと、彼女たちは「ヒィッ!」と悲鳴を上げた。
「この通り、謝るから許して! お金もきちんと返すから!」
「ごめんなさい! 私たち脅されて仕方なくあなたを襲ったの!」
「お願いだから殺さないでぇ!」
「助けてくださいぃー」
彼女達は涙ながらに訴えてる。かわいい子っていいよなぁ、こんな姿を見せられると、つい許したくなってしまう。でも、強盗殺人未遂なんだからしっかりお仕置きしないとね。楽しんでなんかいないからな!
「おじさんさぁ、あの魔法喰らった時、すごく痛かったんだよね」
俺が紫髪の前に立って見下すと、彼女は顔を上げて目を吊り上げる。
「怪我ならもう治っているじゃない!」
「あれれー? そんなこと言っちゃうわけ? おじさん、ちょっと腹立つなぁ」
紫髪は口を閉じて俯く。彼女たちは視線こそ落としているが、悔しそうに唇を噛み締めて、抵抗の意思が見て取れる。おそらくこいつらは、反省なんてする気もないし、金を返す気もないだろう。
とはいえ、無抵抗の女を暴行したり、殺したりなんてのはしたくない。
「いいよ。許してやるよ。でも次は無いからな。俺の気が変わらないうちに失せろ。金も全額きちんと返せよ?」
四人組はベネットの胞子の影響でふらつきながらも、そそくさと去っていった。
ため息を吐いて、転がっている木箱に腰かけると、ベネットの念話が聞こえてきた。
「アイツら、まだウィルを殺す気だよ。殺しておけば良かったのに」
「だろうな。次にあいつらが俺を殺しに来たら、喰っていいからな。ってか、お前、なんか話し方が流暢になってないか?」
「たくさんの人間を喰って吸収したから、多くの人間の知識を得たし、僕の言語理解能力も向上したみたい」
「そっかー、体も大きくなったしなぁ。そのサイズだと菌糸の状態で、俺に巻き付いても誤魔化せないぞ」
「それなら心配ないよ。人間に擬態出来るようになったから」
ベネットはそう言うと、ずんぐりとしたキノコスタイルがみるみる細くなって、天使かと思えるほどの美しい少年に変身した。
「この姿なら人間に見えるでしょ?」
「人相の悪い奴ばっかり吸収したのに、美形になるのは解せんな」
「吸収した人間の平均値で顔を作ったら、こうなったんだよ。それと、新人冒険者を名乗るために若い容姿にしたんだ。どうかな?」
ベネットは念話じゃなくて、口を動かして話した。
あー、美醜に関して、どっかでそんな話を聞いたことあるな。究極の美形ってのは最も平均的な顔だとかなんとか。まぁどうでもいいか。これならモンスターに見えないし、堂々と街も歩ける。
「その設定でいいぞ。だが素っ裸で街を歩くわけにもいかん、そこらへんに散らばってる適当な服を着てくれ」
しかし、ギルドへの報告はどうするか。賞金首の重罪人を五人殺したから賞金が貰えるだろうが、血を一滴も残さず殺したとなれば、どうやったのかしつこく追及されるだろう。そうなればベネットの存在に気付かれるかもしれない。
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