(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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救出へ ~新特別寮生三十名+教師陣

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 ここで、少し時は遡る――――

 妖し第二班の報告を受ける前、緑雨理事長が異界に落ちたらしい美月捜索のため、一族に属する異能者達のテスト――通常、修練者試験内容の変更を命じ、それが教師達によって、発表された頃――

 今年度の新特別寮生三十人にどよめきが起こった。

「異界に落ちた?……ただの新入生が?」
「おいおい、大丈夫かよ――?!」
「しかも、女子一人――?!ヤバいんじゃね?」

 なかなか収まらないざわめきの中、教師&試験官である術師が声を張り上げる。

「静かに――!君達もお分かりの通り、事は一刻を争います。しかし、異界は広く、手が足りません。――そこで、今年度の修練者試験は行方不明となった、星野美月さんの捜索を兼ねて、異界にて行います。異界は異能者である君達にとっても、危険なところ。故に、今年度は異例のことですが、必ず二人以上のチームを組んで行動してもらいます。なお、異界での行動は基準に合わせ全て採点対象となるので、そのつもりで各自行動してください。……星野さんの手がかりを少しでも入手した場合は直ちにグループごとに張り付かせておく術師の式を通じて連絡を!その場合、そのチームにはボーナスの加点が与えられます。その他、困ったこと、危険に遭遇したときにもそれを使用すること。それでは、チームが確定次第、異界への南門を通って、散開してください。以上」

 術師の話が終わった途端、生徒達は知り合い同士固まる、若しくは少しでも自らの利となるような有望で一緒のチームになりたい者の周りを取り囲むように行動を始めた。

 しかし、それを見越して最も有望な者達、秋霖 湊、飛雨颯太、天泣 涙、澪の四人は早々にチームを立ち上げ、早くも南門へと移動を開始する。

 そして、すぐその後を追うように、氷雨怜士と時雨喬司も連れ立って南門を目指す――

「おい、怜士。……もう少し、間をおいた方がいいんじゃないか?ほら、あいつらとかち合うぞ?」

 目で湊ら四人組を指し示す喬司に、怜士は首を振った。

「駄目だ。秋家の者を見失うわけにはいかない」

 怜士の異能は、術師の話中に交わされた彼らの会話を捉えていた。

「……彼らは、彼女、星野さんの手がかりがあるんだ。先程、そう話し合っているのを聴いた――」
「本当かよ――?!ようし、それならそれで、俺達もそれに便乗させてもらおうか」

 どうせなら、俺達、トップを狙おうぜ~と俄然やる気になって四人組を追い出した喬司に、自信ありげに微笑んで見せた怜士だったが、その外見とは裏腹に、既に美月と面識があり、しかも好意を寄せつつあった怜士の心の中は、美月に突如降りかかった災難を思い荒れ狂っていた。

 


 そうして、時置かずして、ほぼ同時に異界入りした六人だったが、最初は気にしなくとも何処までも同じ方向につかず離れずとついてくる二人組――氷雨家と時雨家の存在に、ついに飛雨颯太が声を上げた。

「オイ、お前ら!いつまでオレ達についてくるつもりだよ!」

 いつかその様な物言いがかかると予測していたのか、対する怜士はにっこりと笑い余裕たっぷりに答える。

「君達、何か当てがあるんだろう?偶然僕は小耳に挟んだものだから、どうせならご一緒しようかと思ってね」
「なっ、何でそれを――――?」
「しっ、このバカ!いちいち相手にするな!」
「そうだよ?今は、時間が惜しいの!変な一族同士の派閥争いをしてる場合か!」

 最初から美月を気に入り、今はその身を案じてイライラしている涙と澪にどつかれた颯太は、それでも嫌々と首を振りながら、チームのリーダーである湊に訴える。

「けどよぉ、……これは、一応、試験だろ?敵に塩を送ることにならね?」

 我関せず、とばかりにひたすら次の方向を探っていた湊は、その問いに淡々と答えた。

「問題ない。涙や澪の言う通り、今は星野美月の安全を確保する方を優先すべきだ。仮に、我々と一緒に来ることで彼らの成績が上がろうとも、実力以上の評価を得ようとも、それは本当の実力がなければただの一時しのぎにしかならない。後ろは、気にするな。今、気にするべき集中するべきものを見誤るなよ?颯太」

 颯太を促すようなその言葉に、颯太はふぅっと息を吐いて、渋々頷く。

「ちぇっ、……分かったよ、分かりました!オレだって、一応、美月ちゃんのことは気にしてるんだぜ?」
「分かれば、いーの!ほら、ぼやぼやしないで、得意の風を操って早く情報収集しなさいよ!」
「へいへい。――――っつか、何で澪が仕切ってるの?!お前は、一週間オレのゲボクだろ?」
「なに勝手なコト言ってるの?!……約束だから、いくつかはお願いをきいてあげなくもないけど、調子に乗るな!さっさとしろ!」

 おかしい、ゲボクは無理でもパシリだろ~?とぶつぶつ言いながらも、風を操った颯太の雰囲気が一変する。
 と、同時に後ろでにこやかにそのやり取りを見守っていた怜士が、鋭く警告の言葉を発した。

「気を付けろ!――何かがこちらへ大勢向かってくる!」

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