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救出へ ~あやかし第五班
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「これは、……恐らくこの異界に棲むあやかしどもだ!妖気を感じる――その数、二十以上?!」
「――何で?!深山のあやかしは普通、群れないでしょう?」
「落ち着け、涙。――来るぞ!」
颯太もまた警告の声を上げ、その情報に狼狽えた女子達をすかさず宥めた湊は、その後の事の次第を高速で頭の中で計算しつつ、何が起きても対応できるようゆっくりと身構えた。
そして、後ろの二人、怜士と喬司もまた油断なく構えた瞬間、その場へだーっという勢いのまま、あやかしどもがなだれ込む。
(おや――?こやつ等、わしどもを待ち構えておったようじゃぞ?)
(おお、それは、重畳、重畳。なかなか見どころのあるやつらじゃの?)
喜々として語り合う異形のあやかしどもの前に、音もなく湊が歩み寄る――
「俺達、――此処にいる四人は、決して深山を荒さず、また其処に棲むモノ達を害さない、と管理者の一族の名において、誓おう」
堂々とした湊の態度に、巫女様を救い手を求め、東へ向かってばく進してきたあやかし第五班は、満足げに頷いた。
(そうか、そうか~~しかし、それは断りもなくいきなりこちらへ踏み込んできた者にとっては、守るべき当然のことじゃろう?)
(然り――――!そのことに対する詫びとして、其方らは何を寄越す?)
目をらんらんと光らせ、対価を寄越せとばかりに威嚇するあやかしどもに怯え、涙と澪は颯太の後ろにそっと廻る。
けれども、湊はいたずらに言質を取られぬよう、逆に冴え冴えとした双眸で眼前のあやかしどもを睥睨する。
「……俺達は、この異界へと紛れ込んでしまった学園の女子生徒を探しにきただけだ。彼女を見つけ次第、速やかに此処から撤退することも、誓おう」
「僕達もだ!……そこの男子が前言で誓った深山を荒さず、また其処に棲むモノ達を害さず、星野美月という女子生徒を見つけ次第此処から撤退するという三つを、僕達二人も誓う!」
別扱いにされてはたまらない、とばかりに、後ろで見守っていた怜士もまた大きな声で、あやかしどもとの交渉に割り込む。
それに対し、湊はちらりと視線を寄越してまた、あやかしどもへと向き直った。
「――人族の女性を案じ行動した俺達の行いが、先程の三つの誓いで釣り合わぬとするならば、もし今後逆に常世、人の世界に迷い込んだあやかしが出たときには、助力も申し出よう」
例え異能者であっても、見慣れぬ深山のあやかしどもに取り囲まれれば取り乱し、迂闊な発言により言質を容易く取られると言うのに、目の前に進み出た若者、湊に臆する気配は微塵も感じられない。
そのことに、逆にあやかし第五班は狼狽えてしまい、仲間同士固まってひそひそと相談しだした……。
(不味いのう……いや、これは、不味い)
(ここまで堂々とされとると、つけ入る隙が見当たらんのう……)
(……我ら、巫女様救い隊の中では、最弱じゃからのう)
あやかし第一班が最強ならば、その次が第六~十、第二班と十一班は特殊能力のため除外として、続きは第三、四、そして最後が第五班なのだ。
(しかし、狭間に落ちられた巫女様を救うためには……!)
(そうだ、そうだ!例え、我が身砕けようとも――――!)
(玉砕、覚悟で――――!!)
とはいえ、見た目はともかく、中身は単純で自らの思うがまま短絡的に行動するあやかし第五班(最弱……)が、不穏な方向へ舵を取ったとき、後ろで怪訝気味に怜士が呟いた。
「巫女様?……狭間に落ちた――?」
それに、湊は目を見開き、問いただす。
「……巫女だと――?しかも、狭間に落ちた……?何のことだ!」
湊らしからぬ剣幕に、怜士はしどろもどろと答える。
「いや、あのあやかし達がそう話し合っていたから……」
怜士の能力は遠耳――能力を抑えられていなければ、人の心の中さえも垣間見れるサトリの系統の能力だった。
それを聞いた湊は眉間にシワをよせ、初めて表情を崩しあやかし第五班に向き直る。
「――狭間に落ちたという、巫女について、語ってもらおうか」
その静かな迫力に、あやかし第五班はすっかりのまれ、ここはもう泣き落とししかない、とばかりに、自分達の巫女様(妖しは思い込みも激しいので、段々と表現もエスカレートしていくのだ)を襲った悲劇を涙ながらに訴える。
その変わりように呆気に取られ、やがてそろそろと颯太の後ろから出てきた涙と澪を見て、あやかし第五班は話の途中で首を傾げた。
(おや、巫女様と同じお召し物じゃ――)
(ほんに、ほんに、珍しい。今時の女子は皆そのような格好なのかえ?)
そのやり取りを聞いた湊は、顔色を変えた。
「――やっぱりか!猶予はもはやさほどないな。今すぐ、その狭間へと案内してもらおうか」
――斯くして、湊ら六人は新特別寮生達の中で唯一狭間へと向かうチーム(厳密には二チームだが)となった。
「――何で?!深山のあやかしは普通、群れないでしょう?」
「落ち着け、涙。――来るぞ!」
颯太もまた警告の声を上げ、その情報に狼狽えた女子達をすかさず宥めた湊は、その後の事の次第を高速で頭の中で計算しつつ、何が起きても対応できるようゆっくりと身構えた。
そして、後ろの二人、怜士と喬司もまた油断なく構えた瞬間、その場へだーっという勢いのまま、あやかしどもがなだれ込む。
(おや――?こやつ等、わしどもを待ち構えておったようじゃぞ?)
(おお、それは、重畳、重畳。なかなか見どころのあるやつらじゃの?)
喜々として語り合う異形のあやかしどもの前に、音もなく湊が歩み寄る――
「俺達、――此処にいる四人は、決して深山を荒さず、また其処に棲むモノ達を害さない、と管理者の一族の名において、誓おう」
堂々とした湊の態度に、巫女様を救い手を求め、東へ向かってばく進してきたあやかし第五班は、満足げに頷いた。
(そうか、そうか~~しかし、それは断りもなくいきなりこちらへ踏み込んできた者にとっては、守るべき当然のことじゃろう?)
(然り――――!そのことに対する詫びとして、其方らは何を寄越す?)
目をらんらんと光らせ、対価を寄越せとばかりに威嚇するあやかしどもに怯え、涙と澪は颯太の後ろにそっと廻る。
けれども、湊はいたずらに言質を取られぬよう、逆に冴え冴えとした双眸で眼前のあやかしどもを睥睨する。
「……俺達は、この異界へと紛れ込んでしまった学園の女子生徒を探しにきただけだ。彼女を見つけ次第、速やかに此処から撤退することも、誓おう」
「僕達もだ!……そこの男子が前言で誓った深山を荒さず、また其処に棲むモノ達を害さず、星野美月という女子生徒を見つけ次第此処から撤退するという三つを、僕達二人も誓う!」
別扱いにされてはたまらない、とばかりに、後ろで見守っていた怜士もまた大きな声で、あやかしどもとの交渉に割り込む。
それに対し、湊はちらりと視線を寄越してまた、あやかしどもへと向き直った。
「――人族の女性を案じ行動した俺達の行いが、先程の三つの誓いで釣り合わぬとするならば、もし今後逆に常世、人の世界に迷い込んだあやかしが出たときには、助力も申し出よう」
例え異能者であっても、見慣れぬ深山のあやかしどもに取り囲まれれば取り乱し、迂闊な発言により言質を容易く取られると言うのに、目の前に進み出た若者、湊に臆する気配は微塵も感じられない。
そのことに、逆にあやかし第五班は狼狽えてしまい、仲間同士固まってひそひそと相談しだした……。
(不味いのう……いや、これは、不味い)
(ここまで堂々とされとると、つけ入る隙が見当たらんのう……)
(……我ら、巫女様救い隊の中では、最弱じゃからのう)
あやかし第一班が最強ならば、その次が第六~十、第二班と十一班は特殊能力のため除外として、続きは第三、四、そして最後が第五班なのだ。
(しかし、狭間に落ちられた巫女様を救うためには……!)
(そうだ、そうだ!例え、我が身砕けようとも――――!)
(玉砕、覚悟で――――!!)
とはいえ、見た目はともかく、中身は単純で自らの思うがまま短絡的に行動するあやかし第五班(最弱……)が、不穏な方向へ舵を取ったとき、後ろで怪訝気味に怜士が呟いた。
「巫女様?……狭間に落ちた――?」
それに、湊は目を見開き、問いただす。
「……巫女だと――?しかも、狭間に落ちた……?何のことだ!」
湊らしからぬ剣幕に、怜士はしどろもどろと答える。
「いや、あのあやかし達がそう話し合っていたから……」
怜士の能力は遠耳――能力を抑えられていなければ、人の心の中さえも垣間見れるサトリの系統の能力だった。
それを聞いた湊は眉間にシワをよせ、初めて表情を崩しあやかし第五班に向き直る。
「――狭間に落ちたという、巫女について、語ってもらおうか」
その静かな迫力に、あやかし第五班はすっかりのまれ、ここはもう泣き落とししかない、とばかりに、自分達の巫女様(妖しは思い込みも激しいので、段々と表現もエスカレートしていくのだ)を襲った悲劇を涙ながらに訴える。
その変わりように呆気に取られ、やがてそろそろと颯太の後ろから出てきた涙と澪を見て、あやかし第五班は話の途中で首を傾げた。
(おや、巫女様と同じお召し物じゃ――)
(ほんに、ほんに、珍しい。今時の女子は皆そのような格好なのかえ?)
そのやり取りを聞いた湊は、顔色を変えた。
「――やっぱりか!猶予はもはやさほどないな。今すぐ、その狭間へと案内してもらおうか」
――斯くして、湊ら六人は新特別寮生達の中で唯一狭間へと向かうチーム(厳密には二チームだが)となった。
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