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一緒に
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こちらへおいで、と屈託なく誘う美月の声と言葉に、闇の中でうずくまっていた小さな獣は、弾かれたようにピンと耳を立てながら、頭を上げた。
長いそのしっぽはゆらゆらと忙しなく揺れている。
明らかにこちらへと心惹かれているその姿に、美月は無邪気にふふふっと笑い、さらに手を指し伸ばした。
「一緒に行こう?……大丈夫。わたしのお家は山にあるから、きみもきっと退屈はしないと思う。おっきいお家でね、……おじいちゃんが建てたんだ」
クロと祖母の待っている、山の上の家を思い出して、美月は嬉しそうに笑う。
「おじいちゃんがおばあちゃんや家族のために建てたお家。とっても素敵なお家だよ?」
一緒に行こう?そして、一緒に住もう?と手を伸ばし続ける美月によって、小さな獣の目に光が灯る――闇の中で灯ったその光は、金色でまるで月の光のようだった。
「……君の瞳、お月様みたいでとってもキレイ――――わたしの名前、美月っていうの。美しい月って書くんだよ?……あのね、君の名前は何ていうの?」
美月の問いに、小さな獣は首を振る。
(……なまえ?――ぼくはいちばんちいさかったから、みんなからはちいさいのってよばれてた)
その答えに美月はちょっと首を傾げて、提案する。
「そっか~……でも、山の上のお家で一緒に住む、星野家の子になるんなら、――わたしが名前を付けても良い?」
美月の提案を聞き、期待のこもった金の瞳で見つめてくる獣に、美月はそっと頭に閃いた名前を告げる。
「――お月様みたいにキレイな瞳を持つきみ。ね、わたしの名前の一部をあげる。ツキ――きみのこと、ツキって呼んでもいい?」
その瞬間、美月と小さな獣――ツキの周りを柔らかな風が吹き抜けた。
その風に吹きはらわれたのか、美月の視界がさらにクリアになる――――
「…………なに、それ――――?!」
ツキの身体は真っ黒な闇におおわれ、懸命にもがいて美月の方へ行こうとするツキを縛り付けていた。
美月は咄嗟に距離を詰め、震える指先でツキをそこから解き放とうと闇の中へと手を差し入れた――――
「…………小さい」
初めて触れたツキの身体はとても小さくて、軽かった。
まるで骨と皮だけのように、痩せて小さな小さなその身体――それを美月はぎゅっと抱きしめる。
あの、美月が辛かった三年と少し前に、クロとおばあちゃんが温めてくれたように。
辛くて悲しいことがあっても、独りじゃないんだよ、と伝えるように。
闇の中で、ツキの二つの瞳が美しい金色の光を放つ。
その瞳を覗き込んだ美月は、クロと出会った時と同じように、この子を絶対にお家へ連れて帰ろう、と思った。
――――けれども、…………
「う、動けない――――どうなってるの?この中は……?」
小さなツキを抱き上げた美月の足は、ピクリとも動かない。
そして、何故か弾かれるように、しばらくの間美月の身体には近寄って来なかった周囲の闇だったが、やがてじわじわと美月の足元へと迫ってくるようになる。
そのことに気付いた美月はイヤな予感に焦り、何とか早く此処から脱出しようと身体を無茶苦茶に捻り、とにかく少しでも動かそうと格闘していた。
しかし、どれ程美月が頑張ろうと、ツキを抱えた美月の身体は一歩もその場から動くことはなかった。
それを見て、諦めと共にツキが哀し気にミャーミャーと鳴いた時、
(み、巫女殿が、闇に――?!た、大変だ――!すぐに、お助け申す――!!)
物凄い大音声と共に、その場へとあやかしどもがなだれ込んできた――――
長いそのしっぽはゆらゆらと忙しなく揺れている。
明らかにこちらへと心惹かれているその姿に、美月は無邪気にふふふっと笑い、さらに手を指し伸ばした。
「一緒に行こう?……大丈夫。わたしのお家は山にあるから、きみもきっと退屈はしないと思う。おっきいお家でね、……おじいちゃんが建てたんだ」
クロと祖母の待っている、山の上の家を思い出して、美月は嬉しそうに笑う。
「おじいちゃんがおばあちゃんや家族のために建てたお家。とっても素敵なお家だよ?」
一緒に行こう?そして、一緒に住もう?と手を伸ばし続ける美月によって、小さな獣の目に光が灯る――闇の中で灯ったその光は、金色でまるで月の光のようだった。
「……君の瞳、お月様みたいでとってもキレイ――――わたしの名前、美月っていうの。美しい月って書くんだよ?……あのね、君の名前は何ていうの?」
美月の問いに、小さな獣は首を振る。
(……なまえ?――ぼくはいちばんちいさかったから、みんなからはちいさいのってよばれてた)
その答えに美月はちょっと首を傾げて、提案する。
「そっか~……でも、山の上のお家で一緒に住む、星野家の子になるんなら、――わたしが名前を付けても良い?」
美月の提案を聞き、期待のこもった金の瞳で見つめてくる獣に、美月はそっと頭に閃いた名前を告げる。
「――お月様みたいにキレイな瞳を持つきみ。ね、わたしの名前の一部をあげる。ツキ――きみのこと、ツキって呼んでもいい?」
その瞬間、美月と小さな獣――ツキの周りを柔らかな風が吹き抜けた。
その風に吹きはらわれたのか、美月の視界がさらにクリアになる――――
「…………なに、それ――――?!」
ツキの身体は真っ黒な闇におおわれ、懸命にもがいて美月の方へ行こうとするツキを縛り付けていた。
美月は咄嗟に距離を詰め、震える指先でツキをそこから解き放とうと闇の中へと手を差し入れた――――
「…………小さい」
初めて触れたツキの身体はとても小さくて、軽かった。
まるで骨と皮だけのように、痩せて小さな小さなその身体――それを美月はぎゅっと抱きしめる。
あの、美月が辛かった三年と少し前に、クロとおばあちゃんが温めてくれたように。
辛くて悲しいことがあっても、独りじゃないんだよ、と伝えるように。
闇の中で、ツキの二つの瞳が美しい金色の光を放つ。
その瞳を覗き込んだ美月は、クロと出会った時と同じように、この子を絶対にお家へ連れて帰ろう、と思った。
――――けれども、…………
「う、動けない――――どうなってるの?この中は……?」
小さなツキを抱き上げた美月の足は、ピクリとも動かない。
そして、何故か弾かれるように、しばらくの間美月の身体には近寄って来なかった周囲の闇だったが、やがてじわじわと美月の足元へと迫ってくるようになる。
そのことに気付いた美月はイヤな予感に焦り、何とか早く此処から脱出しようと身体を無茶苦茶に捻り、とにかく少しでも動かそうと格闘していた。
しかし、どれ程美月が頑張ろうと、ツキを抱えた美月の身体は一歩もその場から動くことはなかった。
それを見て、諦めと共にツキが哀し気にミャーミャーと鳴いた時、
(み、巫女殿が、闇に――?!た、大変だ――!すぐに、お助け申す――!!)
物凄い大音声と共に、その場へとあやかしどもがなだれ込んできた――――
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