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新たな芽生え 1
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別れを告げた、満足げな三つ目の顔を見た途端、美月の瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
涙はあとからあとからと途切れなく零れ落ちてきて、美月の頬を伝って下へと流れ落ちる――――
(――――巫女様、どうか、こちらへ)
(……我らと共に、参りましょう)
(一刻も早う、我らと共に此処から抜け出しましょうぞ)
闇の凝りの外から、三つ目の仲間らしいあやかし達が、美月とツキを必死で呼ぶ。
――――けれども、…………美月の足は、どうしても、動かない。
美月の心が、そんなのはイヤだ、ダメだと叫ぶのだ。
追いかけられて、……怖かった。だけど、三つ目さん達には、悪気はなくて――――それに、ここでは、ツキに会えた。
美月は、左手で抱え込んだツキをぎゅっと抱きしめる。
どこか自分と同じ痛みを抱えた小さな獣を、美月は無意識化で既に大切なものと認識していた。
それに、それに、あれは本当にただの鬼ごっこで、――――三つ目さん達は、わたしをここまで助けに来てくれた。
そして、今度はわたしとツキの身代わりに――――?
…………どうすれば、良かったの?わたしは、どうすれば――――?!
此処に至るまでの流れを何度思い返してみても、美月には正解が分からない。
――――例え、正解が分かったとしても今更のことなのだが、それでも美月の心はぐるぐると回り、何とかこの事態を回避する道を探そうとしていた。
今やもう外聞もなく、美月は泣きじゃくりながらも、ツキを抱きしめたまま、懸命に道を探し願う。
そうしているうちに、段々と美月の心と身体は、様々な想いと共に熱くなっていく――――
何か、――――何か、あるはず。どうか、お願い――――!
知る人ぞ知る、美月の自他認める、超集中力――――その能力を遺憾なく発揮し、この土壇場でも諦めることなく、道を探し続ける、美月。
その美月には、もちろん、
(――――巫女様)
(巫女様、……後生ですから、早う――――!)
控えめに、けれども、耐えきれず漏らした悲鳴のようなあやかし達の声は、届いていない。
超集中に入った美月は、たった一つのことしか、……三つ目や他のモノ達、もちろんツキも含めた全てで此処から脱出することしか、考えられなかった。
時間の流れがないとされる狭間内だが、それでも、刻一刻とリミットは迫ってくる。
その中で、美月がおぼろげにやっと何かを掴みかけたとき、――――
「――星野さん!いつまでそうしているつもりですか?……あなたがそうしていればいるほど、三つ目殿や周りの方々に負担をかけているのです――!これ以上、此処の闇の浸食が進めば、彼らもまた戻れなくなるのですよ?!」
美月の集中を上回る激しさで、大きく響く霖雨教師の声で遮られた。
いきなり頭に響いたその言葉に、美月は細い肩をビクッと震わせ、のろのろと霖雨教師の方を向く。
霖雨教師の、厳しいけれど痛みをこらえるような労りのこもった眼差しを受けた美月は、身体を大きく震わせ、次に周りのあやかし達の様子を見まわす。
すると、どのあやかし達も身体のあちらこちらが既に黒く変色し始めている――――
――――最後にもう一度、三つ目を振り返った美月に、三つ目は穏やかに笑いながら、大きく頷いた。
(…………最後まで我を想うてくれた、巫女殿のお気持ちは、嬉しかった。じゃが、……我も悔しい事じゃが、………………そろそろ限界じゃ。巫女殿、どうか、どうかお達者で――――!)
闇の鎖は、もはや三つ目の胸の辺りにまで達している。
気丈に振る舞う三つ目の態度の裏にある、焦燥や疲れを感じ取った美月は、深く項垂れた。
先程つかんだと思った何かは霧散し、もはや影も形も感じ取れない……。
周りのあやかし達も疲労の色が濃く、限界に近い――――どうにもならない周囲の状況に美月は意を決し、涙でぬれた視界をぐいっと右手で拭った。
波打つ感情と身体の震えで声を出すこともままならなかった美月は、三つ目に深く深く頭を下げる。
そして、その一歩を踏み出そうとした途端、
「――――待て!もうしばらく、そのままで――!」
ずっと黙っていた秋霖 湊から、鋭い制止の言葉が放たれた。
「何を言い出すのです?!もはや、一刻の猶予もありませんよ?!」
仰天して、湊を振り返った霖雨教師に構わず、湊は美月に問いただす。
「星野さん、君は、そのカバンに、一体何を入れている――――?」
湊は美月の身体の後ろに回った、肩から斜めに下げられているカバンをすっと指さした――――
涙はあとからあとからと途切れなく零れ落ちてきて、美月の頬を伝って下へと流れ落ちる――――
(――――巫女様、どうか、こちらへ)
(……我らと共に、参りましょう)
(一刻も早う、我らと共に此処から抜け出しましょうぞ)
闇の凝りの外から、三つ目の仲間らしいあやかし達が、美月とツキを必死で呼ぶ。
――――けれども、…………美月の足は、どうしても、動かない。
美月の心が、そんなのはイヤだ、ダメだと叫ぶのだ。
追いかけられて、……怖かった。だけど、三つ目さん達には、悪気はなくて――――それに、ここでは、ツキに会えた。
美月は、左手で抱え込んだツキをぎゅっと抱きしめる。
どこか自分と同じ痛みを抱えた小さな獣を、美月は無意識化で既に大切なものと認識していた。
それに、それに、あれは本当にただの鬼ごっこで、――――三つ目さん達は、わたしをここまで助けに来てくれた。
そして、今度はわたしとツキの身代わりに――――?
…………どうすれば、良かったの?わたしは、どうすれば――――?!
此処に至るまでの流れを何度思い返してみても、美月には正解が分からない。
――――例え、正解が分かったとしても今更のことなのだが、それでも美月の心はぐるぐると回り、何とかこの事態を回避する道を探そうとしていた。
今やもう外聞もなく、美月は泣きじゃくりながらも、ツキを抱きしめたまま、懸命に道を探し願う。
そうしているうちに、段々と美月の心と身体は、様々な想いと共に熱くなっていく――――
何か、――――何か、あるはず。どうか、お願い――――!
知る人ぞ知る、美月の自他認める、超集中力――――その能力を遺憾なく発揮し、この土壇場でも諦めることなく、道を探し続ける、美月。
その美月には、もちろん、
(――――巫女様)
(巫女様、……後生ですから、早う――――!)
控えめに、けれども、耐えきれず漏らした悲鳴のようなあやかし達の声は、届いていない。
超集中に入った美月は、たった一つのことしか、……三つ目や他のモノ達、もちろんツキも含めた全てで此処から脱出することしか、考えられなかった。
時間の流れがないとされる狭間内だが、それでも、刻一刻とリミットは迫ってくる。
その中で、美月がおぼろげにやっと何かを掴みかけたとき、――――
「――星野さん!いつまでそうしているつもりですか?……あなたがそうしていればいるほど、三つ目殿や周りの方々に負担をかけているのです――!これ以上、此処の闇の浸食が進めば、彼らもまた戻れなくなるのですよ?!」
美月の集中を上回る激しさで、大きく響く霖雨教師の声で遮られた。
いきなり頭に響いたその言葉に、美月は細い肩をビクッと震わせ、のろのろと霖雨教師の方を向く。
霖雨教師の、厳しいけれど痛みをこらえるような労りのこもった眼差しを受けた美月は、身体を大きく震わせ、次に周りのあやかし達の様子を見まわす。
すると、どのあやかし達も身体のあちらこちらが既に黒く変色し始めている――――
――――最後にもう一度、三つ目を振り返った美月に、三つ目は穏やかに笑いながら、大きく頷いた。
(…………最後まで我を想うてくれた、巫女殿のお気持ちは、嬉しかった。じゃが、……我も悔しい事じゃが、………………そろそろ限界じゃ。巫女殿、どうか、どうかお達者で――――!)
闇の鎖は、もはや三つ目の胸の辺りにまで達している。
気丈に振る舞う三つ目の態度の裏にある、焦燥や疲れを感じ取った美月は、深く項垂れた。
先程つかんだと思った何かは霧散し、もはや影も形も感じ取れない……。
周りのあやかし達も疲労の色が濃く、限界に近い――――どうにもならない周囲の状況に美月は意を決し、涙でぬれた視界をぐいっと右手で拭った。
波打つ感情と身体の震えで声を出すこともままならなかった美月は、三つ目に深く深く頭を下げる。
そして、その一歩を踏み出そうとした途端、
「――――待て!もうしばらく、そのままで――!」
ずっと黙っていた秋霖 湊から、鋭い制止の言葉が放たれた。
「何を言い出すのです?!もはや、一刻の猶予もありませんよ?!」
仰天して、湊を振り返った霖雨教師に構わず、湊は美月に問いただす。
「星野さん、君は、そのカバンに、一体何を入れている――――?」
湊は美月の身体の後ろに回った、肩から斜めに下げられているカバンをすっと指さした――――
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