(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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……おはようって、どういうこと?!

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 果たして、……美月は栄養を欲する身体の本能の赴くまま、「食」グループが心を込めて作り上げた少し遅めの朝食・・を幸せそうに全て平らげてしまった。

 隣のツキも満足そうに、食後の毛並みのお手入れに余念がない。

 その様子を嬉しそうににこにこしながら、見守る山姫らと「食」グループのメンバー。

 其処へ、慌ただしく血相を変えて、緑雨理事長が飛び込んできた――――

「山姫殿!……して、星野美月さんは今、どの様な容態で――――?!」

 それに、眉をひそめ、応える山姫。

「――何じゃ、其方は。騒々しい……!」

 しかし、そこで何を思ったのか、山姫は満面の笑顔となる。

「――美月殿は、ほら其処じゃ!…………其方がようやく使える人材を寄越した故、ほれ、この通りじゃ!」

 山姫が指し示す先を見れば、飛び込んだ部屋の先の小部屋には、布団にちょこんと座りこんだ美月とツキの姿が――――!

「おおーーー!!ほ、星野さん、良かった、本当に良かった…………!」

 美月の方を向き、涙ぐまんばかりに喜ぶ緑雨理事長を見て、美月は思わずぎょっとする。

「り、理事長さん?!どうかされたのですか?…………ひょっとして、御気分が――――?」

 緑雨理事長の言動と青ざめて血色の良くない顔色、そして目の下にくっきりと刻まれた隈を見て、美月は慌てて立ち上がり、心配して駆け寄った。

 それを見て、今度は周り全てが涙ぐまんばかりに、喜ぶ。

「おおーーー!!美月殿が元気になられた――!……いやはや、「食」グループとは、大したものよな!」
「美月様――!ツキ様――!……ほんに、ほんによろしゅうございました」
「……いや、俺達、けっこうすごい研究してたんだ」
「――私、感動しました!こんなにやりがいを感じたのは、初めてです!」
「大森チーフ、大喜びですね――――!」
「……そういや、チーフ、何処行ったんだ?」

 周りの声には取り合わず、自分を心配して真っすぐに駆け寄り、見上げる美月の姿に、この悲惨な一週間を過ごした緑雨理事長は、ほろりとくる……。

 何て、……何て良い娘なんだ――――!

「理事長さん?……顔色が悪いですよ?きちんとご飯、食べてますか?」
「――――いや、少し食欲がなくてね……」

 何故かと言えば、……美月関連のせいなのだが、疲れ切った心に染み渡るような美月の心遣いに、緑雨理事長は、束の間の安らぎを感じる。

「――――それは!大変です。しっかり食べないと、力が出ませんよ?」

 美月の言葉に、うんうんと頷く「食」メンバー達。

 そこへ、お任せあれ!との掛け声と共に、大森チーフが登場した。

「チーフ――!どちらへ行かれていたのですか?」
「ちょっとな。デザートを仕込んできた。……お前達、手伝ってくれ」

 手際よく、大部屋の方にお茶とデザートの支度を並べる、「食」メンバー。
 いきなり現れた、今度は打って変わって洋風の数々の小菓子とティーセットを見て、目を輝かせる美月……。

「さあ、どうぞ召し上がれ。星野さんは、新入生歓迎会の時・・・・・・・・のメニューをかなり気に入ってくれていたから、デザートはこちらでどうか、と思ってね。遠慮せず、どんどんどうぞ――――もちろん、理事長も。お疲れの理事長には、特製ハーブティーを御用意しましたよ?」

 得意げに胸を張る大森チーフをきらきら輝く瞳で見上げ、

「本当ですか――――?わあ、嬉しい!」

 とはしゃぐ美月を見て、

「…………そのように、いきなり沢山食べて、其方は大丈夫なのかえ?」

 と、今度は心配そうに問う山姫に、美月はきっぱりとデザートは別腹です、と言い切る……。

「理事長さんには、わたしがお茶を淹れましょうか?」

 といそいそと用意する美月につい和み、ほっこりしてしまう緑雨理事長。

 そのまま、今度は和やかにティーブレイクタイムが始まってしばらく経った頃、部屋の隅の方からう~ん、と声がして、のっそりと三つ目達が現れた――――

(やや――!我ら、少々休みすぎましたかな…………申し訳ない、美月殿)
「三つ目さん――――!おおひとさん?さんきちおにさん?一つ目さん?……少しは休めた?良かった――!」
(おはようございます、美月様)
(良い朝ですね!)
(おはよー!)(はよ)(おはよ~)

 三つ目達を視て、やはり夢じゃなかった……と呟いていた美月は、あやかし達の挨拶に首を傾げる。

「――――おはよう?…………朝?」
(ああ、おはようございます、美月殿。朝?……いや、もうどちらかと言えば、昼近いか?我らあやかしは、割と正確な体内時計を持っておりますからな――!)

 今度は三つ目が得意げに胸を張る――――しかし、衝撃的なその言葉の内容を理解した美月は、それどころではない。

「……おはようって、どういうこと?もう、昼近くだなんて、……ウソでしょーーーーー!!」

 辺りには、美月の魂の叫びが響き渡った………。

 
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