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憧れの学園生活(仮)、開始?! 6
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ぼろぎれのように横たわる特別寮組の面々を見渡した霖雨教師は、いくら発破をかけようとも、もはやピクリとも動けない者達を見ると舌打ちして、渋々と一時休憩を言い渡す。
それに安堵の表情でのろのろと動き出す者もいれば、そのまま屍のように横たわったままの者もいる。
そして、そのどちらにも属さず、平然と構える者が二人――――筆頭秋家の跡取りと目される秋霖 湊と高能力を保持すると名高い夏家次男の神立 光である。
その二人の周りは、同じように高いレベルで鍛えられたらしい幼馴染達によって、囲まれていた。
それら幼馴染達もまた、流石に一族の中枢に位置する春夏秋冬家に属する者といえるだろう。
平然とはしていられないものの、こちらもまた息を乱しながらも通常通り動けており、霖雨教師は密かにその集団に及第点を与えることにした。
秋霖 湊君は、先日の功績もありますから、…………毎年実力試しがてら仮期間中に行われる、この今年度初めの修練者試験のトップは、ほぼ彼に決まりでしょうね。
さて、神立 光君がソレにどれ程追い上げるか、などとまだまだ興味は尽きないところですが…………。
霖雨教師は独り言ちながらも、自らも水分補給等を取るため、その場からしばし立ち去った。
「湊様、どうぞ――――」
「どわっ……!つ、露人、お前どこから出てきたんだよっ?!」
休憩中、いつの間にか湊の側に寄り添い、タオルと冷たい飲み物を差し出す霧雨露人に驚き、颯太はのけぞった。
けれども、涙と澪は動ぜず、相変わらずぐでっとしながら、露人に訴える。
「露兄~~!修練者試練、こんなに厳しいって聞いてないよ~~」
「もうちょっと、攻略的なにか、とか裏口的なにか、とか可愛い妹分にないのかにゃ~~」
それに露人は首を傾げ、いつも通り与えられた課題をこなしていれば、さして問題はない筈ですが……と宣った。
「ひどっ……!もうちょっと、親身になってくれたって――――」
「親身とは?…………ああ、分かりました。修練者試験は、回を増すごとにさらにグレードアップしますよ?」
「なっ……!マジかよ?!」
「…………その情報、今は要らなかった――――!」
心底ガクッと項垂れた三人組には構わず、露人は湊に向き直る。
「湊様。先程、学園生課にて星野さんと会い、クラス編成につき問うことが叶いました」
その言葉に項垂れていた三人がぴくっと反応した。
そして、黙って報告の続きを待つ湊に対し、露人は残りの情報を伝える。
「理事長が星野さんを1-2に入れると明言したそうです」
「――――そうか。ハッキングし、手に入れてもらった今年度の本クラス名簿がかく乱のためだと思っていたのだが、…………本人に伝えたのならば、間違いあるまい。星野美月は恐らく名簿のまま、1-2-Aに入るだろう。しかし、それは好都合――――」
そこで湊は不敵に笑う。
「この学園は実力主義。そして、そのやる気を最大に引き出すため、様々な試みをしていることは知っているな?――――何とこの修練者試験、上位五名までは学園に対し、ある程度の己の希望を伝え、叶えるチャンスをもらえるらしいぞ?」
その言葉にはっと何かに気付いたように顔を上げる涙と澪。
「――――それ、ホント?!」
「例えば、クラス希望も叶うの?!」
物凄い勢いでその話題に食いついた二人に、湊は、その程度ならば、容易いだろうな、と笑って返す。
「けど、……それじゃあ、湊、お前。まさか、自ら1-2-Aを目指すのかよ?!」
驚愕の表情で問いかける颯太に向かって、湊は涼しい顔でああ、と答える。
「伝統だの何だと1-1-Aは、何かと煩わしい。そもそも優秀者は1組だと、誰が決めた?何時の時代の話だ?――――俺は、俺だ。何処に居ようと、変わりはない。…………むしろ、特権意識に凝り固まった奴らがいない分、自由にやれる方が望ましいな」
「…………お前、一番最後がホンネだろ?」
「は~~成程ね~~!1-1-Aは、1-1-Bとの合同授業も多いからね~」
「確かに1-1-Bには、我らが一族との付き合い若しくは玉の輿まで狙った、いわゆる一族外の良家の子女がわんさかいるね~~」
「それに比べて、1-2-Bは成績優秀者が多く、その手の煩わしさはグンと減る――――しかも、美月ちゃんと同じクラス!」
「ずっとずっと一緒に居られるんだよ?!あの美月ちゃんと……!」
「――――と、なれば、やるしかないでしょ?!」
「そうだな、いっちょやってやるか~~!」
「「目指せ、上位5番以内――――!」」
いきなりやる気に満ち溢れて、えいえいおーー!と叫び出した三人組に、周りの屍組は慄きながらずりずりと身体を引きずり、必死に距離を取ったとか…………。
それに安堵の表情でのろのろと動き出す者もいれば、そのまま屍のように横たわったままの者もいる。
そして、そのどちらにも属さず、平然と構える者が二人――――筆頭秋家の跡取りと目される秋霖 湊と高能力を保持すると名高い夏家次男の神立 光である。
その二人の周りは、同じように高いレベルで鍛えられたらしい幼馴染達によって、囲まれていた。
それら幼馴染達もまた、流石に一族の中枢に位置する春夏秋冬家に属する者といえるだろう。
平然とはしていられないものの、こちらもまた息を乱しながらも通常通り動けており、霖雨教師は密かにその集団に及第点を与えることにした。
秋霖 湊君は、先日の功績もありますから、…………毎年実力試しがてら仮期間中に行われる、この今年度初めの修練者試験のトップは、ほぼ彼に決まりでしょうね。
さて、神立 光君がソレにどれ程追い上げるか、などとまだまだ興味は尽きないところですが…………。
霖雨教師は独り言ちながらも、自らも水分補給等を取るため、その場からしばし立ち去った。
「湊様、どうぞ――――」
「どわっ……!つ、露人、お前どこから出てきたんだよっ?!」
休憩中、いつの間にか湊の側に寄り添い、タオルと冷たい飲み物を差し出す霧雨露人に驚き、颯太はのけぞった。
けれども、涙と澪は動ぜず、相変わらずぐでっとしながら、露人に訴える。
「露兄~~!修練者試練、こんなに厳しいって聞いてないよ~~」
「もうちょっと、攻略的なにか、とか裏口的なにか、とか可愛い妹分にないのかにゃ~~」
それに露人は首を傾げ、いつも通り与えられた課題をこなしていれば、さして問題はない筈ですが……と宣った。
「ひどっ……!もうちょっと、親身になってくれたって――――」
「親身とは?…………ああ、分かりました。修練者試験は、回を増すごとにさらにグレードアップしますよ?」
「なっ……!マジかよ?!」
「…………その情報、今は要らなかった――――!」
心底ガクッと項垂れた三人組には構わず、露人は湊に向き直る。
「湊様。先程、学園生課にて星野さんと会い、クラス編成につき問うことが叶いました」
その言葉に項垂れていた三人がぴくっと反応した。
そして、黙って報告の続きを待つ湊に対し、露人は残りの情報を伝える。
「理事長が星野さんを1-2に入れると明言したそうです」
「――――そうか。ハッキングし、手に入れてもらった今年度の本クラス名簿がかく乱のためだと思っていたのだが、…………本人に伝えたのならば、間違いあるまい。星野美月は恐らく名簿のまま、1-2-Aに入るだろう。しかし、それは好都合――――」
そこで湊は不敵に笑う。
「この学園は実力主義。そして、そのやる気を最大に引き出すため、様々な試みをしていることは知っているな?――――何とこの修練者試験、上位五名までは学園に対し、ある程度の己の希望を伝え、叶えるチャンスをもらえるらしいぞ?」
その言葉にはっと何かに気付いたように顔を上げる涙と澪。
「――――それ、ホント?!」
「例えば、クラス希望も叶うの?!」
物凄い勢いでその話題に食いついた二人に、湊は、その程度ならば、容易いだろうな、と笑って返す。
「けど、……それじゃあ、湊、お前。まさか、自ら1-2-Aを目指すのかよ?!」
驚愕の表情で問いかける颯太に向かって、湊は涼しい顔でああ、と答える。
「伝統だの何だと1-1-Aは、何かと煩わしい。そもそも優秀者は1組だと、誰が決めた?何時の時代の話だ?――――俺は、俺だ。何処に居ようと、変わりはない。…………むしろ、特権意識に凝り固まった奴らがいない分、自由にやれる方が望ましいな」
「…………お前、一番最後がホンネだろ?」
「は~~成程ね~~!1-1-Aは、1-1-Bとの合同授業も多いからね~」
「確かに1-1-Bには、我らが一族との付き合い若しくは玉の輿まで狙った、いわゆる一族外の良家の子女がわんさかいるね~~」
「それに比べて、1-2-Bは成績優秀者が多く、その手の煩わしさはグンと減る――――しかも、美月ちゃんと同じクラス!」
「ずっとずっと一緒に居られるんだよ?!あの美月ちゃんと……!」
「――――と、なれば、やるしかないでしょ?!」
「そうだな、いっちょやってやるか~~!」
「「目指せ、上位5番以内――――!」」
いきなりやる気に満ち溢れて、えいえいおーー!と叫び出した三人組に、周りの屍組は慄きながらずりずりと身体を引きずり、必死に距離を取ったとか…………。
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