結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ

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第1章~2人の奇妙な関係~

俺と一緒に寝ろよ

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「ちゃんとこれ着てこいよ」



出かける支度をする学くん。



「わかってるよ……嫌だけど」


「お前の普段の格好だとこっちが恥ずかしいんだよ」


「……失礼な」




学くんとあたしの関係はいたって普通だ。
普通に暮らしている。



「あ、昼ぐらいにベッドがくるから」


「ベッド?」


「うん。親父がキングサイズのベッドを送ってきた」


「キ……キング!?」



頭の中に描かれたのは、部屋がベッドで埋めれそうなぐらいでかいベッド。



「届いたら俺の寝室のベッドと取り替えるから、業者に任せといて」


「うん。わかった」


「今夜からは一緒だからな……覚悟しとけよ?」


「……っ」



顔を近づけて、そんなことを言われて顔がカーッと熱くなる。

いままで、ベッドが小さいからという理由で同じベッドには寝ていなかった。



「俺さ、寝れないんだよ。お前がいないと」


「……え?」



そんな言葉にもあたしの胸はとくんと高鳴る。



「はじめてだったんだ、薬なしであんなに寝れたの」



たぶん、あの時のことだ。
薬をやめて欲しいって言ったとき。



「俺だっていい加減、薬を飲まないで寝れるようになりたい」


「最近は……?」


「寝る前だけ。それ以外には使わないようにしてる」



最初は、イライラした時にも飲むと言っていた学くん。



「そうなんだね……」


「だから、俺と一緒に寝ろよ。お前が横にいてくれれば俺は寝れる」


「……うん」



好きな人の頼みを断れるわけなんてない。
それに、あたしだって学くんに必要とされたい。

たぶん学くんには、見てるだけじゃ分からないくらいの苦悩がある。
それをあたしに言うつもりなんてないだろう。

言われなくてもいい。
少しでも学くんがあたしのことを必要としてくれるならば。



「やべ、もう行かなきゃ」



時計を見て、慌ててジャケットを着てあたしの頭にぽんっと手を乗せる。



「日曜なのに大変だね」


「しゃーない。これも副社長の仕事だ。18時にホテルの前で。遅れんなよ?」


「うん、わかって……っ」



返事をしようと顔を上に上げると、チュッと軽く口付けをされた。



「も、もう……」


「休みなのにいないお詫び?じゃあマジでいくわ」



そう言うと、学くんはドアを開けて出ていった。



「もう……」



熱くなった頬を両手で覆いながら、リビングへ戻る。

今日は、日曜しか空いていない人への接待がはいってしまったとかで学くんは休日出勤。

5LDKもあるこのマンション。
二人でも広いのに、1人だとなんだか寂しく感じる。

こんな暮らしずっとしていなかったあたしにとって、このマンションはなんだか落ち着かない。

学くんにとっては普通であって、しかも狭いほうだとかいってる。



〝でも、将来子供が生まれた時のためにこのくらいの部屋数は必要だろう〟
なんてことをあっさりと言ってくるからあたしの心臓は常に騒がしい。



自分の寝室に入って、ふと見上げた先にある1着の服。

プリーツが胸元は縦ギャザーになっている。
上の羽織の下にはキャミソールのようになって胸元ははっきりとしている。

普段のあたしではお目にかかれないようなドレスだ。
特段胸が大きいわけでもないから、普段は胸元がはっきりとしているようなドレスは着ない。

今日の夜、あたしは学くんの妻として初お披露目されるのだ。

あたしは普段から持っているようなドレスでよかったのだが、学くんが〝幼稚園のお遊戯会みたいなドレスは見る気が失せる〟とか言って、昨日無理やり連れていかれたセレクトショップ。

値段をみたら震えてしまいそうな洋服がたくさんあるなか、学くんが選んでくれたドレス。

学くんの見立てはとてもよくて。
幼児体型のあたしでもエレガントに着こなせた。


〝馬子にも衣装だな〟なんて言ってたけど、目を細めて嬉しそうな学くんにあたしも嬉しくなった。

今日はこの服を着て、正式にお披露目される。
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