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another story②~彼らの長女の小話~
お互いの家族
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「終わりにって.......」
「だって、そうでしょ?あたしはお母さんが好きだもん。航があたしのお母さんのことを憎むのだって、航のお母さんのことが好きだからでしょ?それと同じだよ」
「ごめん、そうだよな.......」
あたしの言葉に反省したのか、ガクリと肩を落とす。
「航があたしのお母さんのことを嫌うのは勝手だけど、お母さんはお父さんのことが大好きだし、何も悪いことはしてないと思うけど?」
本当なら、好きな人の言うことにこんなふうに歯向かうべきではないのかもしれない。
なだめておけばいいのかもしれない。
でも、あたしは言いたいことも言えない関係は求めてないから。
「わかってるよ、ちとせさんは何も悪くないってことくらい。でも、そのことで泣く母さんはもう見たくないんだよ」
すごく苦しそうな顔になる航。
お母さんのことが大切で、悩んでいるんだ。
「航はそのことで、お父さんとは話した?その後お母さんとは?」
「どっちとも話してない」
あたしの言葉に首を横に振る。
「じゃあ、今から2人に話そう!」
「は?今から?」
立ち上がったあたしに呆気に取られている航。
「だって、早いうちのほうがいいでしょ?航の勘違いかもしれないし。それに、航とこれからも一緒にいるために、あたしもはやく解決させて欲しい」
「光架.......」
航の手があたしに伸びて来て、頬に触れる。
「航のことが好きだから、一緒にいたい」
「光架は、本当に俺にはもったいないくらいのいい女だな」
そのまま、あたしの唇に自分の唇を重ねる。
この、航と1番距離が近くなる瞬間が好きだ。
航と触れ合っている時間が大好きだ。
「よし、行くか」
航の顔はもう前を向いていた。
「母さん」
1階に降りていき、少し細長い廊下を、通って、リビングへと入っていく。
「航.......あ、光架ちゃんね!」
お母さんがあたしをみて、目を輝かせる。
「はい、いつもお世話になってます」
ペコッと頭を下げる。
「航からいつも話聞いていて、光架ちゃんにずっと会ってみたかったの」
「あたしもです」
航がお母さんのことをいつも楽しそうに話していたから。
だから、きっといいお母さんなんだろうなって思ってた。
「燿くん、航の彼女の光架ちゃん」
「あぁ、さっき外であったよ」
「なんだー、先に会ってたのー?」
自分より先に会ったことに頬を膨らますお母さんは、可愛い人だ。
「母さん、俺話があるんだ」
航があたしの手をぎゅっと握る。
「ん?なぁに?まさか、結婚?赤ちゃん?」
だなんて、あたしと航の顔を交互にみる。
「ばっ、ちげぇよ!いいから聞けって!」
顔を赤くして、焦ったように否定する航。
「なーんだ。で、なんなの?話って」
「母さんが昔、ある写真を見て泣いてるのを俺見たんだ」
「写真.......?」
お母さんが首を傾げる。
「父さんが大事にしてた写真」
「俺が?」
お父さんもキョトンと首を傾げている。
「光架のお母さんの写真」
「ちとせの写真をみて、泣いていたのか?」
お父さんがお母さんに目を向ける。
「さぁ.......?ちとせちゃんの写真をみて泣いた記憶はないけど.......あ!もしかして、燿くんが事業をはじめて、ライバル関係になっちゃって、ちとせちゃんに会えないのが寂しくて泣いたときかな?」
「.......は?」
お母さんの言葉に目を見開く航。
「燿くんと結婚した頃から、ちとせちゃんとは仲良くしてもらってて、よくご飯行ってたけど.......どうしても、男二人が仲良くなくてね」
苦笑いしながらお父さんを見る。
「やめてくれよ。昔から仲は悪いんだよ」
そんなお母さんをみて、お父さんが苦笑いする。
「父さんの好きな女がちとせさんだから、母さん泣いてたわけじゃないのか.......?」
お母さんから聞いた事実に驚きを隠せない航。
「なにそれ、どういうこと?」
「だって、母さん泣いてたから.......てっきり、父さんが写真を隠し持ってて、ショックを受けたのかと思って」
「あんた、もしかしてそれで燿くんと距離置いてたの?」
お母さんが呆れたように航のことをみる。
「うん。なんだよ、俺の勘違い.......」
ヘナヘナとその場にしゃがみこむ航。
「航、大丈夫?」
「あー、安心したら力抜けた」
フッと笑う航。
「安心?」
「母さんがちとせさんのことで悲しんでて、それなら俺はちとせさんのことを嫌うしかできなくて.......でも、このままじゃ光架と結婚もできないって思って.......」
ポツリポツリと話し出す航の頭を撫でる。
「あたしは、ずっと航のそばにいるよ」
「ま、あの遊佐を説得できるかが見ものだな」
お父さんが近づいてきて、ポンっと航の頭を撫でる。
「もう、すでに交際すら反対されてますけどね」
「は?そうなのか?.......てか、話したのか?」
航があたしを心配そうに見る。
「航と写っているプリクラを見られて、お母さんが航に気がついて.......それでライバル会社の息子と付き合うなんて、何考えてんだって」
「まぁ、そうなるかぁ」
航が眉を潜める。
「でも、諦めないよ。俺は」
「.......航」
「光架のおかげでこうして、俺と家族にある溝が消えたんだよ。次は俺の番だから」
「.......ありがとう」
お互いの家族に対し、逃げないで向かっていく。
それができれば、きっとあたしたちは大丈夫。
「だって、そうでしょ?あたしはお母さんが好きだもん。航があたしのお母さんのことを憎むのだって、航のお母さんのことが好きだからでしょ?それと同じだよ」
「ごめん、そうだよな.......」
あたしの言葉に反省したのか、ガクリと肩を落とす。
「航があたしのお母さんのことを嫌うのは勝手だけど、お母さんはお父さんのことが大好きだし、何も悪いことはしてないと思うけど?」
本当なら、好きな人の言うことにこんなふうに歯向かうべきではないのかもしれない。
なだめておけばいいのかもしれない。
でも、あたしは言いたいことも言えない関係は求めてないから。
「わかってるよ、ちとせさんは何も悪くないってことくらい。でも、そのことで泣く母さんはもう見たくないんだよ」
すごく苦しそうな顔になる航。
お母さんのことが大切で、悩んでいるんだ。
「航はそのことで、お父さんとは話した?その後お母さんとは?」
「どっちとも話してない」
あたしの言葉に首を横に振る。
「じゃあ、今から2人に話そう!」
「は?今から?」
立ち上がったあたしに呆気に取られている航。
「だって、早いうちのほうがいいでしょ?航の勘違いかもしれないし。それに、航とこれからも一緒にいるために、あたしもはやく解決させて欲しい」
「光架.......」
航の手があたしに伸びて来て、頬に触れる。
「航のことが好きだから、一緒にいたい」
「光架は、本当に俺にはもったいないくらいのいい女だな」
そのまま、あたしの唇に自分の唇を重ねる。
この、航と1番距離が近くなる瞬間が好きだ。
航と触れ合っている時間が大好きだ。
「よし、行くか」
航の顔はもう前を向いていた。
「母さん」
1階に降りていき、少し細長い廊下を、通って、リビングへと入っていく。
「航.......あ、光架ちゃんね!」
お母さんがあたしをみて、目を輝かせる。
「はい、いつもお世話になってます」
ペコッと頭を下げる。
「航からいつも話聞いていて、光架ちゃんにずっと会ってみたかったの」
「あたしもです」
航がお母さんのことをいつも楽しそうに話していたから。
だから、きっといいお母さんなんだろうなって思ってた。
「燿くん、航の彼女の光架ちゃん」
「あぁ、さっき外であったよ」
「なんだー、先に会ってたのー?」
自分より先に会ったことに頬を膨らますお母さんは、可愛い人だ。
「母さん、俺話があるんだ」
航があたしの手をぎゅっと握る。
「ん?なぁに?まさか、結婚?赤ちゃん?」
だなんて、あたしと航の顔を交互にみる。
「ばっ、ちげぇよ!いいから聞けって!」
顔を赤くして、焦ったように否定する航。
「なーんだ。で、なんなの?話って」
「母さんが昔、ある写真を見て泣いてるのを俺見たんだ」
「写真.......?」
お母さんが首を傾げる。
「父さんが大事にしてた写真」
「俺が?」
お父さんもキョトンと首を傾げている。
「光架のお母さんの写真」
「ちとせの写真をみて、泣いていたのか?」
お父さんがお母さんに目を向ける。
「さぁ.......?ちとせちゃんの写真をみて泣いた記憶はないけど.......あ!もしかして、燿くんが事業をはじめて、ライバル関係になっちゃって、ちとせちゃんに会えないのが寂しくて泣いたときかな?」
「.......は?」
お母さんの言葉に目を見開く航。
「燿くんと結婚した頃から、ちとせちゃんとは仲良くしてもらってて、よくご飯行ってたけど.......どうしても、男二人が仲良くなくてね」
苦笑いしながらお父さんを見る。
「やめてくれよ。昔から仲は悪いんだよ」
そんなお母さんをみて、お父さんが苦笑いする。
「父さんの好きな女がちとせさんだから、母さん泣いてたわけじゃないのか.......?」
お母さんから聞いた事実に驚きを隠せない航。
「なにそれ、どういうこと?」
「だって、母さん泣いてたから.......てっきり、父さんが写真を隠し持ってて、ショックを受けたのかと思って」
「あんた、もしかしてそれで燿くんと距離置いてたの?」
お母さんが呆れたように航のことをみる。
「うん。なんだよ、俺の勘違い.......」
ヘナヘナとその場にしゃがみこむ航。
「航、大丈夫?」
「あー、安心したら力抜けた」
フッと笑う航。
「安心?」
「母さんがちとせさんのことで悲しんでて、それなら俺はちとせさんのことを嫌うしかできなくて.......でも、このままじゃ光架と結婚もできないって思って.......」
ポツリポツリと話し出す航の頭を撫でる。
「あたしは、ずっと航のそばにいるよ」
「ま、あの遊佐を説得できるかが見ものだな」
お父さんが近づいてきて、ポンっと航の頭を撫でる。
「もう、すでに交際すら反対されてますけどね」
「は?そうなのか?.......てか、話したのか?」
航があたしを心配そうに見る。
「航と写っているプリクラを見られて、お母さんが航に気がついて.......それでライバル会社の息子と付き合うなんて、何考えてんだって」
「まぁ、そうなるかぁ」
航が眉を潜める。
「でも、諦めないよ。俺は」
「.......航」
「光架のおかげでこうして、俺と家族にある溝が消えたんだよ。次は俺の番だから」
「.......ありがとう」
お互いの家族に対し、逃げないで向かっていく。
それができれば、きっとあたしたちは大丈夫。
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