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another story②~彼らの長女の小話~
あたしのことを見てよ
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「航!」
「光架!」
あたしを笑顔で出迎えてくれるのは、大好きな笑顔。
「今日さ、実家に来ない?」
「え?航の実家?」
「うん、母親がずっと光架に会ってみたがってて」
「うん、行く!」
航とは、付き合いが長いけど彼は高校生のときにはすでに一人暮らしをしていて。
お父さんとの折り合いが合わないとかで、離れていたから実家には1度も行ったことがなかった。
「お父さんはいるの?」
「んー、どうなんだろ。いても、まぁ俺のことなんて眼中にないだろ」
吐きすてるようにそう言う。
ずっと昔からお父さんとは仲が悪かったらしく、航自身あまりお父さんのことが好きではないみたい。
「.......航?」
実家の前にたどり着いて、航がドアノブに手をかけようとした瞬間、後ろから声がかかる。
「父さん.......」
「久しぶりだな、帰ってきてたのか」
優しそうなその雰囲気は、航が言っていたよりもずっと暖かい感じがした。
「.......っと、こちらは?」
「彼女」
「へぇ.......航の彼女が出来るような年になったんだな。お名前は?」
「あ、遊佐光架です。よろしくお願いします」
ぺこりとお父さんに向かって頭を下げる。
「遊佐.......?」
「あ.......」
そんなに珍しい苗字でもないから、大丈夫だと思っていたけど、考えが甘かったのだろうか。
ライバル会社の娘だと知ったら、うちみたいに交際を反対されてしまう。
「もしかしてだけど、遊佐とちとせの.......?」
「え.......あ、はい」
お母さんもこの人のことを知っていたことを思い出す。
「ちとせって.......光架のお母さん、ちとせっていうのか?」
「え?あ、うん.......?」
なんでそんなことを聞くのか不思議に思いながらもそう返事をする。
「ふーん、入ろう。光架」
「うん」
航のあとについて、家の中へとはいっていく。
そして、お父さんもその後に続く。
「光架ちゃん、お母さんは元気かな?」
「あ、はい.......母と知り合いなんですか?」
「あぁ、高校が一緒だったんだよ」
「そうなんですね.......」
お母さんと航のお母さんが高校が一緒だなんて、あたしと航が知り合うずっと前にふたりが知り合っていたことになんだか運命のようなものを感じる。
「光架、こっち行こう」
あたしとお父さんが話している間も、1度もお父さんとは話そうとしていなかった航。
あたしの手を握って、階段を上へのぼる。
「あいつと話さなくていいから」
「でも、航のお父さんだし無視なんてできないよ」
やっぱり好きな人のお父さんだもん。
あたしにも大切な人だ。
「なぁ、光架」
「ん?」
「俺が別れたいって言ったらどうする?」
「.......え?」
いままでこんなことを言われたことがなくて、ドキマギしてしまう。
「俺たち、結婚は無理だろうな」
「.......なんの話ししてるの?」
結婚だって、お互いの家のことがあるから難しいのはわかってるし、でも徐々に解決していこうって話していたはずだった。
「光架の母親がちとせさんなら、無理だよ」
「.......どうして?」
どうして、あたしのお母さんだからって無理なのか。
家柄のせいで結婚できないといわれるならまだわかるけど、そんなことで無理だなんて言われるなんて、思ってもいなかった。
「俺が光架の母さんを嫌いだからだよ」
「.......え?」
頭をなにかハンマーのようなもので、殴られたような感覚が走って、目の前が真っ白になる。
あたしが大好きなお母さんのことを目の前の好きな人は嫌いだと話す。
「でも、光架のことは好き」
「そんなの、わからないよ.......」
あたしは、好きな人の家族は大事にしたいって思ってる。
でも、航にとって、それは違うみたいで。
考え方の違いにショックを受ける。
「今日、母さんにあわせるために連れてきたけど、やめよう」
「う、うん.......」
航がそうした方がいいと思うなら、そうした方がいいんだろう。
「でも、どうして?どうして、お母さんのことが嫌いなの?」
どうしてもこれだけは聞いておきたかった。
「父さんが、昔から好きな女だからだよ」
「.......え?」
「俺が小さい頃かな、父さんの引き出しに大事にしまわれていた写真をみたのは。幼い俺はなんもわかんねぇで、母親に見せたんだよ」
「うん」
「引き出しには、たくさん光架のお母さんの写真があった。あとあと、その写真を見て母さんが泣いているのを見てから俺はずっと恨んでんだよ」
あたしに目を合わせず、淡々と出来事を話していく航。
「航、こっちみてよ!」
航の顔をグイッとあたしの方へと向かせる。
「あたしのことが好きっていうなら、あたしの事をみてよ!お母さんのこと含めて、あたしのことをちゃんと見れないなら、ここで終わらせてよ」
終わるなんて嫌だった。
でも、どうしても航がお母さんのことを憎いというなら、そうするしかない。
だって、あたしはお母さんが好きだから。
お母さんのことが大事だから。
「光架!」
あたしを笑顔で出迎えてくれるのは、大好きな笑顔。
「今日さ、実家に来ない?」
「え?航の実家?」
「うん、母親がずっと光架に会ってみたがってて」
「うん、行く!」
航とは、付き合いが長いけど彼は高校生のときにはすでに一人暮らしをしていて。
お父さんとの折り合いが合わないとかで、離れていたから実家には1度も行ったことがなかった。
「お父さんはいるの?」
「んー、どうなんだろ。いても、まぁ俺のことなんて眼中にないだろ」
吐きすてるようにそう言う。
ずっと昔からお父さんとは仲が悪かったらしく、航自身あまりお父さんのことが好きではないみたい。
「.......航?」
実家の前にたどり着いて、航がドアノブに手をかけようとした瞬間、後ろから声がかかる。
「父さん.......」
「久しぶりだな、帰ってきてたのか」
優しそうなその雰囲気は、航が言っていたよりもずっと暖かい感じがした。
「.......っと、こちらは?」
「彼女」
「へぇ.......航の彼女が出来るような年になったんだな。お名前は?」
「あ、遊佐光架です。よろしくお願いします」
ぺこりとお父さんに向かって頭を下げる。
「遊佐.......?」
「あ.......」
そんなに珍しい苗字でもないから、大丈夫だと思っていたけど、考えが甘かったのだろうか。
ライバル会社の娘だと知ったら、うちみたいに交際を反対されてしまう。
「もしかしてだけど、遊佐とちとせの.......?」
「え.......あ、はい」
お母さんもこの人のことを知っていたことを思い出す。
「ちとせって.......光架のお母さん、ちとせっていうのか?」
「え?あ、うん.......?」
なんでそんなことを聞くのか不思議に思いながらもそう返事をする。
「ふーん、入ろう。光架」
「うん」
航のあとについて、家の中へとはいっていく。
そして、お父さんもその後に続く。
「光架ちゃん、お母さんは元気かな?」
「あ、はい.......母と知り合いなんですか?」
「あぁ、高校が一緒だったんだよ」
「そうなんですね.......」
お母さんと航のお母さんが高校が一緒だなんて、あたしと航が知り合うずっと前にふたりが知り合っていたことになんだか運命のようなものを感じる。
「光架、こっち行こう」
あたしとお父さんが話している間も、1度もお父さんとは話そうとしていなかった航。
あたしの手を握って、階段を上へのぼる。
「あいつと話さなくていいから」
「でも、航のお父さんだし無視なんてできないよ」
やっぱり好きな人のお父さんだもん。
あたしにも大切な人だ。
「なぁ、光架」
「ん?」
「俺が別れたいって言ったらどうする?」
「.......え?」
いままでこんなことを言われたことがなくて、ドキマギしてしまう。
「俺たち、結婚は無理だろうな」
「.......なんの話ししてるの?」
結婚だって、お互いの家のことがあるから難しいのはわかってるし、でも徐々に解決していこうって話していたはずだった。
「光架の母親がちとせさんなら、無理だよ」
「.......どうして?」
どうして、あたしのお母さんだからって無理なのか。
家柄のせいで結婚できないといわれるならまだわかるけど、そんなことで無理だなんて言われるなんて、思ってもいなかった。
「俺が光架の母さんを嫌いだからだよ」
「.......え?」
頭をなにかハンマーのようなもので、殴られたような感覚が走って、目の前が真っ白になる。
あたしが大好きなお母さんのことを目の前の好きな人は嫌いだと話す。
「でも、光架のことは好き」
「そんなの、わからないよ.......」
あたしは、好きな人の家族は大事にしたいって思ってる。
でも、航にとって、それは違うみたいで。
考え方の違いにショックを受ける。
「今日、母さんにあわせるために連れてきたけど、やめよう」
「う、うん.......」
航がそうした方がいいと思うなら、そうした方がいいんだろう。
「でも、どうして?どうして、お母さんのことが嫌いなの?」
どうしてもこれだけは聞いておきたかった。
「父さんが、昔から好きな女だからだよ」
「.......え?」
「俺が小さい頃かな、父さんの引き出しに大事にしまわれていた写真をみたのは。幼い俺はなんもわかんねぇで、母親に見せたんだよ」
「うん」
「引き出しには、たくさん光架のお母さんの写真があった。あとあと、その写真を見て母さんが泣いているのを見てから俺はずっと恨んでんだよ」
あたしに目を合わせず、淡々と出来事を話していく航。
「航、こっちみてよ!」
航の顔をグイッとあたしの方へと向かせる。
「あたしのことが好きっていうなら、あたしの事をみてよ!お母さんのこと含めて、あたしのことをちゃんと見れないなら、ここで終わらせてよ」
終わるなんて嫌だった。
でも、どうしても航がお母さんのことを憎いというなら、そうするしかない。
だって、あたしはお母さんが好きだから。
お母さんのことが大事だから。
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