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第二章~悪魔のことが好きなあたし~
捕まえておけ
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「ちょ……んっ」
エレベーターに乗り込むやいなや、あたしに自分の唇を押し付けてくる。
「なに、ほかの男に告られそうになってんの?」
「……っ、そんなことになってなんか!」
「いや、俺が来なかったら完全に告られてたよ?」
あたしをエレベーターの壁に押し付けて、上から見下ろす。
「そんなのわかんな……「わかる。お前はもっと警戒心をもて、すきがありすぎ」
あたしの言葉を遮られるのはもう慣れた。
「とにかく、俺以外になんてなびかなくていいから」
「……なびいてないし」
音哉になびこうと思ったことなんてない。
まぁ、前は体の関係もあったりしたけど。
「あとさ」
「え?」
「尾行はもう少しうまくやろうね、心海ちゃん」
にっこりと笑う。
でも、笑顔の奥は絶対に笑ってない。
「……っ」
気づかれていたことが恥ずかしくて、顔がかぁっと赤くなる。
「ほら、ついたよ」
チーンというエレベーターの音がして、ドアがあいたとおもったら、悪魔に腕を引かれる。
「まぁ、相手の女の子にお前の友達がいたし、あの子、俺ら3人の写真とったあとスマホいじってたし。たぶんくるんだろーなって思ってたけど」
家について、ジャケットを脱ぎながらそう話す。
「ずっと知って……?」
「うん。きた時も気づいた。だからタクシー乗った」
「どういうこと……目の前で浮気してたってこと」
「あれのどこが……」
あたしがいるのを知ってながら、堂々とほかの女の子と手を繋ぐこの悪魔の心境が理解できない。
「……だって、手つないでた」
「酔ってたからね」
「二人きりになるとこ行こうとしてた」
「家までタクシーで送っただけだよ」
あたしの訴えをサラリと交わしてくるこの悪魔。
「普通、あたしがいるのわかってるならあたしの方にくるでしょ!?」
「いやー、誰かさん隠れようと頑張ってたから気づかないふりしてあげたんだよ。……にしてもへったクソだったけど。ふはっ」
思い出したように笑ってる悪魔にふつふつと怒りがこみ上げる。
「もういいっ」
「心海?」
「そんなにあたしのことバカににしたいなら、すればいいでしょ!もう知らない!」
「何を怒ってるんだよ?」
あたしの腕を掴んで、悪魔のほうを向かせる。
「……っ」
目の前にある悪魔の顔はどうしたってかっこよくて。
どんなふうに見たらいいかわかんない。
「なぁ、心海」
「……え?」
あたしの腕を掴んだまま、上からあたしを見下ろす姿。
その目から逸らすことができない。
とくんとくんと、うるさいほどに鳴り響く心臓。
「あの女の名前なんてわかんない」
「……へ?」
突然何を言い出すのかわからなくて、首を傾げる。
「お前が見てるから……焦る姿がなんか面白くて手を繋いだ。タクシーに乗せた。でも、二人きりになるつもりなんて一切なかった」
静かに、そう話す姿に目が釘付けになる。
この人は何をしててもやっぱり様になるんだ。
「でも、優しかった」
「え?」
「あたしに対する時なんかとは全然違って……あの人には優しかった」
「あぁ……」
納得したような顔になる。
「あたしにはくれたことのない優しさだった」
「そりゃそうだろ。あれ演技だもん」
「……演技?」
なにが演技だと言うのだろうか。
なぜかゴクリと喉が鳴った。
「俺の本性は普段、心海が見てるほう」
「え?」
「俺は自分が認めた人間にしか本性は見せないよ。それでもまだ疑う?」
「……っ」
悪魔がなぜかすごく優しい顔をしてて。
言葉がでなかった。
「なぁ、心海」
「ん?」
「ほかの女にとられたくなかったら、ちゃんと捕まえておけよ。とられないように」
「……とられたく、ない」
それは本音だった。
悪魔の隣にいるのはあたしがいい。
「じゃあ、捕まえておけよ。わかった?」
「……うん」
「いい子」
悪魔があたしの頭を撫でて、その後顔が近づいてくる。
きゅっと目を瞑ると、重なる唇。
偉そうな命令なのに。
どうしてか、従いたくなる。
だって、あたしはこの人に飼われてるから。
だって、あたしはこの人がすきだから。
今日も、悪魔の中に溺れていく。
エレベーターに乗り込むやいなや、あたしに自分の唇を押し付けてくる。
「なに、ほかの男に告られそうになってんの?」
「……っ、そんなことになってなんか!」
「いや、俺が来なかったら完全に告られてたよ?」
あたしをエレベーターの壁に押し付けて、上から見下ろす。
「そんなのわかんな……「わかる。お前はもっと警戒心をもて、すきがありすぎ」
あたしの言葉を遮られるのはもう慣れた。
「とにかく、俺以外になんてなびかなくていいから」
「……なびいてないし」
音哉になびこうと思ったことなんてない。
まぁ、前は体の関係もあったりしたけど。
「あとさ」
「え?」
「尾行はもう少しうまくやろうね、心海ちゃん」
にっこりと笑う。
でも、笑顔の奥は絶対に笑ってない。
「……っ」
気づかれていたことが恥ずかしくて、顔がかぁっと赤くなる。
「ほら、ついたよ」
チーンというエレベーターの音がして、ドアがあいたとおもったら、悪魔に腕を引かれる。
「まぁ、相手の女の子にお前の友達がいたし、あの子、俺ら3人の写真とったあとスマホいじってたし。たぶんくるんだろーなって思ってたけど」
家について、ジャケットを脱ぎながらそう話す。
「ずっと知って……?」
「うん。きた時も気づいた。だからタクシー乗った」
「どういうこと……目の前で浮気してたってこと」
「あれのどこが……」
あたしがいるのを知ってながら、堂々とほかの女の子と手を繋ぐこの悪魔の心境が理解できない。
「……だって、手つないでた」
「酔ってたからね」
「二人きりになるとこ行こうとしてた」
「家までタクシーで送っただけだよ」
あたしの訴えをサラリと交わしてくるこの悪魔。
「普通、あたしがいるのわかってるならあたしの方にくるでしょ!?」
「いやー、誰かさん隠れようと頑張ってたから気づかないふりしてあげたんだよ。……にしてもへったクソだったけど。ふはっ」
思い出したように笑ってる悪魔にふつふつと怒りがこみ上げる。
「もういいっ」
「心海?」
「そんなにあたしのことバカににしたいなら、すればいいでしょ!もう知らない!」
「何を怒ってるんだよ?」
あたしの腕を掴んで、悪魔のほうを向かせる。
「……っ」
目の前にある悪魔の顔はどうしたってかっこよくて。
どんなふうに見たらいいかわかんない。
「なぁ、心海」
「……え?」
あたしの腕を掴んだまま、上からあたしを見下ろす姿。
その目から逸らすことができない。
とくんとくんと、うるさいほどに鳴り響く心臓。
「あの女の名前なんてわかんない」
「……へ?」
突然何を言い出すのかわからなくて、首を傾げる。
「お前が見てるから……焦る姿がなんか面白くて手を繋いだ。タクシーに乗せた。でも、二人きりになるつもりなんて一切なかった」
静かに、そう話す姿に目が釘付けになる。
この人は何をしててもやっぱり様になるんだ。
「でも、優しかった」
「え?」
「あたしに対する時なんかとは全然違って……あの人には優しかった」
「あぁ……」
納得したような顔になる。
「あたしにはくれたことのない優しさだった」
「そりゃそうだろ。あれ演技だもん」
「……演技?」
なにが演技だと言うのだろうか。
なぜかゴクリと喉が鳴った。
「俺の本性は普段、心海が見てるほう」
「え?」
「俺は自分が認めた人間にしか本性は見せないよ。それでもまだ疑う?」
「……っ」
悪魔がなぜかすごく優しい顔をしてて。
言葉がでなかった。
「なぁ、心海」
「ん?」
「ほかの女にとられたくなかったら、ちゃんと捕まえておけよ。とられないように」
「……とられたく、ない」
それは本音だった。
悪魔の隣にいるのはあたしがいい。
「じゃあ、捕まえておけよ。わかった?」
「……うん」
「いい子」
悪魔があたしの頭を撫でて、その後顔が近づいてくる。
きゅっと目を瞑ると、重なる唇。
偉そうな命令なのに。
どうしてか、従いたくなる。
だって、あたしはこの人に飼われてるから。
だって、あたしはこの人がすきだから。
今日も、悪魔の中に溺れていく。
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