補佐官と報道官

紅林

文字の大きさ
3 / 5

第三話

しおりを挟む
おはよう、諸君
俺は今どういう状況かと言うと宿屋のベットの上で全裸で上半身だけ起こしているといういかにも誰かと一夜を共にしたと言った感じの状態だ
そこまではいい、俺も成人した男だし少し遊ぶくらいなら問題ない!
問題は隣で寝ている全裸の赤髪の男、イーデンの事だ。

まさか俺、こいつと寝てないよな?

しばらくそんなことを考えていると隣の男が目を覚ましたのか俺の腰に手を回して抱きついてきた

「おはよう、クリフ。昨日は気持ちよかったね」
「……っ!き、気持ちよかった?」
「クリフも気持ちよかったでしょ?」

満面の笑みでそう言うイーデンに俺は恐怖を覚え、ベットから離れようとすると、腰に激痛が走った

「いっ……!」
「あぁ、昨日激しくし過ぎたのかな。ごめんね、今日は仕事休む?無理そうなら僕が長官に伝えるよ?」
「……あ、あの!一回落ち着こうマルセーヌ報道官!これはどういう事だ!?」
「……もしかして覚えてないの?」

悲しそうな表情をするイーデンに俺は罪悪感を覚えながらも話を進めた

「悪いが全く、何にも覚えてない。というかこの状況から予想できることを認めたくなくて頭をフル回転させてる」
「ふふふっ、クリフは可愛いなぁ。俺が思い出させてあげるよ」

イーデンはそう言って俺に顔を近づけて、唇にキスをした

「これで思い出したかな?」
「……っ!」

俺はそこで一気に恥ずかしくなり、壁のハンガーにかかっていた自分の服を直ぐに着て宿から抜け出した
その後は恥ずかしいことばっかり思い出すので、家には帰らず、そのまま職場に向かってひたすら仕事をした

「あ、あのウルフ特等補佐官、ここにサインを」
「どれだ!」
「ここです……」

俺はササッと部下の持ってきた資料にサインして突っ返した
その後も黙々と仕事を勧め、昨日のことを忘れようとした。そんな時、やつが来た。俺が今世界で一番会いたくないなかった男が来た

「ウルフ特等補佐官、マルセーヌ報道官がお呼びです」
「なんの要件だ?」
「長官閣下からの伝言を伝えに来たとかなんとかで」
「……分かった」

正直会いたくなかったが、仕事でのことなら仕方がない

「お待たせしました、マルセーヌ報道官」
「いえいえ、こちらの資料が長官からウルフ特等補佐官に渡せと頼まれていた物になります」
「ありがとうございます」

俺は礼を言ってその場を立ち去ろうとした
するとイーデンに腕を掴まれて止められてしまった

「クリフ!昨日のことを本当に覚えてない?」
「……申し訳ありませんが全く覚えていません」

イーデンの悲しそうな表情を見て心が痛む

「ではムルシア国との会談がありますので、失礼致します」

俺が踵を返して戻ろうとするとイーデンは大きな声で叫んできた

「今日の仕事が終わったら昨日の酒場に来て!来なかったら保健省中に昨日のこと言いふらすからね!」

脅しかよ!?
俺はその後の会談と残りの仕事を終わらすと渋々ながらも昨日俺が酔い潰れていた馴染みの酒場へと向かった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

傀儡君主だと思ってたのに

紅林
BL
西方連統合帝国は広大すぎる国土を管理するために、貴族に自治権を与えることで国家を維持してきた。 帝国貴族の中でも一際強い権力をもつモデルナ大公家に招待された北部貴族の一人、ルイ・アドヴェックは悲惨な現状を目にしたのだった 全3話完結

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

好きなわけ、ないだろ

春夜夢
BL
放課後の屋上――不良の匠は、優等生の蓮から突然「好きだ」と告げられた。 あまりにも真っ直ぐな瞳に、心臓がうるさく鳴ってしまう。 だけど、笑うしかなかった。 誰かに愛されるなんて、自分には似合わないと思っていたから。 それから二人の距離は、近くて、でも遠いままだった。 避けようとする匠、追いかける蓮。 すれ違いばかりの毎日に、いつしか匠の心にも、気づきたくなかった“感情”が芽生えていく。 ある雨の夜、蓮の転校の噂が流れる。 逃げ続けてきた匠は初めて、自分の心と正面から向き合う。 駅前でずぶ濡れになりながら、声を震わせて絞り出した言葉―― 「行くなよ……好きなんだ」 誰かを想う気持ちは、こんなにも苦しくて、眩しい。 曇り空の下で始まった恋は、まだぎこちなく、でも確かにあたたかい。 涙とキスで繋がる、初恋の物語。

天の求婚

紅林
BL
太平天帝国では5年ほど前から第一天子と第二天子によって帝位継承争いが勃発していた。 主人公、新田大貴子爵は第二天子派として広く活動していた亡き父の跡を継いで一年前に子爵家を継いだ。しかし、フィラデルフィア合衆国との講和条約を取り付けた第一天子の功績が認められ次期帝位継承者は第一天子となり、派閥争いに負けた第二天子派は継承順位を下げられ、それに付き従った者の中には爵位剥奪のうえ、帝都江流波から追放された華族もいた そして大貴もその例に漏れず、邸宅にて謹慎を申し付けられ現在は華族用の豪華な護送車で大天族の居城へと向かっていた 即位したての政権が安定していない君主と没落寸前の血筋だけは立派な純血華族の複雑な結婚事情を描いた物語

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

処理中です...