学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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西条 誠

第十九話

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一限目は早速移動教室だから早くしないと!
確か、『ICT教室』に行けばいいんだよね

「恭介、早くしないと遅れるぞ」
「あっ、うん!」

誠は教室の入口で恭介を待っていた

「よし!行こっ!」
「あぁ、早くしないとチャイム鳴るぞ」
「えっ、急がないと!」
「恭介が教室でぼーっとしてるからだろ!」
「以後気をつけまーす」

あっ、見えてきた
ここか、まだチャイム鳴ってないしギリギリセーフだね

『ICT教室』は各学年の校舎に一つづつあり、一年生の校舎には五階に存在する

「出席番号順に座らないといけないから恭介はあっちの方だろ」
「あっ、うん。ありがと」

あっ、あった。ここに座ればいいんだ
へぇ、一人一人オフィス家具みたいな本格的なデスクとチェアがあるんだ

恭介はそんなどうでもいい事に関心していたが周りはそうではなかった
西蓮寺家の者が隣に座っている。それだけで隣の席の生徒は緊張で汗だくだ。しかも、恭介は学院の生徒序列で九位という最高ランクの権力者だ。それだけでも十分プレッシャーだと言うのに、恭介は友人を作ろうと周りに積極的に話しかけるのだ。本人は全く悪気はないが周りからすると自身の言動一つ一つが命取りとなると思っているのだ。
外部から入学してきた恭介は周りにとっては異質の存在だったのだ

「さぁ、皆さん静かにして下さい」

女性の大きな声で談笑をしていた生徒たちも自分の指定席に戻った

「おはようございます。皆さん初めまして、私は高校一年生の情報の授業を担当する渡辺わたなべです。一年間、よろしくお願いします」

すっごい美人の先生だなぁ
年齢は五十代手前…くらいかな?

「今日は初めての授業という事なので授業らしい授業はしません。もう教室でしたかもしれないけれど私も皆さんの名前を覚えないといけないので順番に自己紹介をしてくれますか?」

またかぁ、前に変な目で見られたからあんまりしたくないんだけどなぁ
ま、出席番号は後ろの方だし他の人のをちょっと真似して言おう

そんなこんなでなんとか当たり障りのない自己紹介をした

「はい、では今から中学校ではなかった情報という授業の内容について、少しだけ説明して終わりたいと思います。ではまずは───」

その後、一限目は何事もなく終えた


◆◇◆


一限目が終わり、『ICT教室』からの帰り道で恭介はスマホに母である彩花からメッセージが届いていることに気づいた
内容は「お弁当忘れてるわよ!今日はカフェテリアで食べてちょうだい!次はから気をつけるのよ!」というものだった

あっ、そう言えばカバンが軽いなって思ってたんだよね。そういう事か
「あっ、忘れてた……。ごめん!」って返信しとこ

恭介が廊下の端で立ち止まって彩花に返信をしていると誠が話しかけてきた

「恭介、今日って午前中授業だろ?学校帰りにどっか行かないか?」
「えっ!?今日って午前中しかないの!?」
「忘れてたのか?昨日から明日までは午前中授業だぞ」
「えっ、全然知らなかった。」
「学校からお知らせメールが届いてるはずだぞ」
「そ、そうなんだ。多分母さん適当なとこあるからよく読んでないんだろうな。今日もお弁当用意してくれてたみたいだし」
「へぇ、恭介は弁当派なのか?」
「うん、僕はカフェテリアでもいいんだけど、母さんが息子のお弁当くらい私が作るって言ってはりきってるから」
「良い母親だな」
「ふふっ、自慢の母さんだよ」

っていうかこんなこと言ってたらもう少しで二限目始まっちゃうよ!

「ていうか誠!早く教室もどらないと!」
「あ、あぁ、そうだな」

恭介はその後早足で教室に戻った
しかし、教室の入口で見知った人物が教室内を覗いているのが見えた

「麗花ちゃん?」
「あっ、恭介さん!そちらにいらっしゃったのですね!」

どうしたんだろ?
教室覗いてたけど、僕を探してたのかな?

「どうしたの?」
「いえ、今日は午前中授業ですし帰りにどこがご一緒しようかと思ったんです」
「あー」

しまった
さっき誠に聞かれたのになんにも返事してなかった

「ご、ごめん!それ誠にも言われてて……」
「誠……?あっ、もしかして西条さん、ですか?」

麗花は恭介の後ろにいる誠に気づき話しかける

「そうだ」
「お久しぶりです、西条さん」
「あぁ、こうして喋ることは殆どないしな」
「そうですね。本当に久しぶりな気がします」

二人は互いに社交の笑みを浮かべて談笑をしている。
すると麗花は恭介に向き直った

「もしかして、西条さんと先約がありましたか?」
「うん、さっき誠に誘われたから誠と行こうと思って」
「そうでしたか。分かりました。なら明日は如何ですか?」
「うん!いいよ!麗花ちゃんと出掛けるのは久しぶりだしね。」
「分かりました。ならまた詳細は追って連絡しますね」
「うん!分かった!」

明日かぁ、すごく久しぶりだから結構楽しみだなぁ

「白金嬢と知り合いなのか?」
「うん、麗花ちゃんとは小さい頃からの幼馴染だよ。最近は会えてなくて今日の朝に久しぶりに再会したんだ」
「……そうか」

どしたんだろ?
気のせいかな?
ちょっと誠の声のトーンが……

「さ、そろそろ二限目が始まる。教室に入ろう」
「あっ、うん」

恭介は誠の事を少し気にしながらも二限目の授業の準備を始めた
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