学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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西条 誠

第二十話

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恭介は四時限目の授業を終えた放課後、誠と共に西条家の車で西条邸に向かっていた

「ホントに大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ。元々誘うつもりだったから朝に使用人に準備するように言ってあるから」
「そっか。ならいいんだけど」

僕はてっきり新宿の方に行くと思ってたからまさか家に招待されるなんて思ってなかったよ
僕なんかが西条家にお邪魔するなんて大丈夫なのかな?
睨まれたりしないかな?

「誠様、西蓮寺様、まもなく屋敷に到着致します」
「すまないが、本館ではなく別館の方に車を向かわせてくれるか?」
「かしこまりました」

本館?別館?
凄い!西条家にはいくつも建物があるんだ!
さっき凄く立派な鉄格子の門を通ったから西条家の中だと思うんだけど凄く広いし整備されてるから、庭には見えないくらい立派な公園みたい……

「ここを左に曲がったら別館なんだ。もう少しで着く」
「わ、分かった。あっ、そう言えば誠のご両親に挨拶とかしなくて大丈夫かな?手土産とか何も持ってきてないし、これじゃあ西蓮寺家に対して良くない心境を抱かれるんじゃ……」
「大丈夫だ。親父オヤジは仕事でいないし、母さんは今アンドラに旅行中だ」
「アンドラ?もしかしてスペインの隣にある公国の?」
「そうだ。母さんはアンドラに大学時代の馴染みの友人がいるんだ。だから今はそっちに行ってる」
「アンドラは一回しか行ったことないんだ。アンドラ・ラ・ベリャまでスペインのバルセロナからヘリで行ったんだ。だいぶ前の事だけどね」
「アンドラまで行ったことのある人は母さん以外で初めて見た」
「ふふっ、アンドラって結構観光地として人気なんだよ?小都市だけど消費税はないから物価も安い。それに首都のアンドラ・ラ・ベリャは凄く立派な街だし治安も良いんだ。ピレネー山脈に囲まれたちょっと孤立した国だけど凄く良い所だよ」
「そうなのか、今度行ってみたいな」
「うん!是非!」

そんな話をしているうちに、恭介と誠を乗せた西条家の車は西条邸の別館に到着した

「さぁ、入ってくれ。今、お茶を用意させるから」
「お邪魔まーす」

す、すごい!
母さんと父さんって落ち着く家が良いって言うから西蓮寺家ウチってすごくシンプルで装飾品も最低限しかないから、余計に感動する……!

西蓮寺家もある程度の家格の高い家だ
威信を保つためにそれなりの屋敷を持つが、西蓮寺家の当主恭介の父は華美なものは好まないのだ。それ故、西蓮寺家は落ち着いた作りになっているのだ
しかし恭介が案内された西条家の別館は、それに比べて豪華絢爛な装飾品が飾られていた。いくらするか想像出来ないようなシャンデリアに、床は磨きあげられた大理石で出来てており、見るからに"お金持ちの家"だった。だが派手過ぎて下品という訳ではなく品のある作りになっていた。
だが、内装に見とれていた恭介は正面に視線をやり、誰か見知らぬ人物がいることに気づいた

親父オヤジ……」
「え?誠の…お父さん?」

え!この人が!?
仕事でいないんじゃなかったの!?
あ、挨拶しなきゃ

「西蓮寺くんだね?初めまして、息子から話は聞いているよ。すごく仲良くして頂いているようだね。」
「い、いえこちらこそ西条君には仲良くさせて貰ってます!えと、僕は西蓮寺家の西蓮寺恭介さいれんじきょうすけと申します。以後お見知りおきを」
「うむ、私は西条自動車代表取締役を務めている西条隆弘さいじょうたかひろだ。よろしく」

そう言って、隆弘は不敵に微笑んだ
微笑む前のほんの僅かな瞬間に誠を睨んだ事は恭介は一切気づかなかった……

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