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本編
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まだ始発電車も動いていないような早朝に新田子爵邸の玄関では寝間着姿の新田子爵夫人が驚愕の表情でたちつくしていた
「……先程、使用人頭には説明したのですが」
「……」
蒼士は翌朝、何度起こしても起きない大貴を抱えてタクシーに乗り込み新田家までやって来た。だが問題は洗顔をしたことにより変装の化粧も取れて伊達メガネもどこかに忘れてきてしまったために、金髪ということ以外普段と変わらない姿を見せてしまっていることだろう。
「わ、わたくしは、ゆ、ゆゆ夢を見ているのかしら……?」
「子爵夫人、本当に申し訳ない。ご子息がこうなったのも私とせいだ」
蒼士は玄関先の床に寝転がる大貴を見て申し訳なさそうに頬をかいた
「……本当に天子殿下」
夫人には蒼士の言葉などほとんど脳には届いておらず、呆然とそこまで口にして思い出したかのように姿勢を正して深く頭を下げた
「……最も高貴なる一族の天星、蒼士第一天子殿下にご挨拶致します。外務省国際協力部所属、新田心でございます。このような身なりではございますが、天の導きにより天子殿下とこうして当家でおめもじ叶いましたこと心より嬉しく思います」
「早朝に押しかけたのは私だから、そんなに畏まらなくても大丈夫だ。それにご子息の件、すまなかった」
「と、とんでもございません!愚息が大変ご迷惑をおかけしました。」
夫人は深く頭を下げながら寝息を立てて寝続けている息子の頭を蹴飛ばした
「以前からお酒関連でトラブルが絶えず、困っていたのですがまさか天子殿下にご迷惑をおかけするとは夢にも思わなかったのです。何卒平にご容赦を」
「いや、本当に気にしなくても良い。それに私は彼に責任を取ると約束した。彼は覚えていないかもしれないが、夫人が証人になってくれ」
「……責任、ということはまさか!」
夫人は衝撃のあまり叫びそうになった口を抑えて足元で寝ている息子と蒼士を見比べた
「必ず迎えに来る。彼は覚えていないかもしれないが、私はずっと覚えている。だから夫人、貴女が証人だ」
「し、しかしその、第一天子殿下は、えっとその当家と……」
「後継者争いのことか?」
新田家は現在、日高侯爵率いる第二天子派に近しい立場にいる。まだ立場を表明した訳では無いがどの後継者派閥にも属さない自立派を率いる堀江本家の説得には失敗しているため、新田子爵が単独で寝返るのは時間の問題のはずだ。
「私と彼の問題に後継者争いや派閥争いは関係あるのか?」
「い、いえ、それは……」
「夫人の心配していることはもちろん分かる。だから三年だ。三年待ってくれ」
「三年でございますか?」
「大学在学中にこの後継者争いに決着をつける。全てか平穏に終われば、その時に迎えに来る」
蒼士は愛おしげな眼差しを大貴に向けた。
「……私にそれを約束する権利はございません。この子の意思を確認しなければ」
「もちろんだ。だから貴女は見届けてくれればいい。必ず、手に入れてみせるから」
「分かりました」
夫人は少し困惑した表情を浮かべながらも胸に手を当てて頭を下げた。
「大貴、三年後にまた会おう。必ず迎えに来るから」
蒼士はしゃがんで床で気持ちよさそうに眠っている大貴の頬を撫でた。手の冷たい感触が気持ち良いのか大貴は擦り寄るように顔を上下させ、蒼士はその顔をこっそりスマートフォンのカメラに収めたのだった。
「……先程、使用人頭には説明したのですが」
「……」
蒼士は翌朝、何度起こしても起きない大貴を抱えてタクシーに乗り込み新田家までやって来た。だが問題は洗顔をしたことにより変装の化粧も取れて伊達メガネもどこかに忘れてきてしまったために、金髪ということ以外普段と変わらない姿を見せてしまっていることだろう。
「わ、わたくしは、ゆ、ゆゆ夢を見ているのかしら……?」
「子爵夫人、本当に申し訳ない。ご子息がこうなったのも私とせいだ」
蒼士は玄関先の床に寝転がる大貴を見て申し訳なさそうに頬をかいた
「……本当に天子殿下」
夫人には蒼士の言葉などほとんど脳には届いておらず、呆然とそこまで口にして思い出したかのように姿勢を正して深く頭を下げた
「……最も高貴なる一族の天星、蒼士第一天子殿下にご挨拶致します。外務省国際協力部所属、新田心でございます。このような身なりではございますが、天の導きにより天子殿下とこうして当家でおめもじ叶いましたこと心より嬉しく思います」
「早朝に押しかけたのは私だから、そんなに畏まらなくても大丈夫だ。それにご子息の件、すまなかった」
「と、とんでもございません!愚息が大変ご迷惑をおかけしました。」
夫人は深く頭を下げながら寝息を立てて寝続けている息子の頭を蹴飛ばした
「以前からお酒関連でトラブルが絶えず、困っていたのですがまさか天子殿下にご迷惑をおかけするとは夢にも思わなかったのです。何卒平にご容赦を」
「いや、本当に気にしなくても良い。それに私は彼に責任を取ると約束した。彼は覚えていないかもしれないが、夫人が証人になってくれ」
「……責任、ということはまさか!」
夫人は衝撃のあまり叫びそうになった口を抑えて足元で寝ている息子と蒼士を見比べた
「必ず迎えに来る。彼は覚えていないかもしれないが、私はずっと覚えている。だから夫人、貴女が証人だ」
「し、しかしその、第一天子殿下は、えっとその当家と……」
「後継者争いのことか?」
新田家は現在、日高侯爵率いる第二天子派に近しい立場にいる。まだ立場を表明した訳では無いがどの後継者派閥にも属さない自立派を率いる堀江本家の説得には失敗しているため、新田子爵が単独で寝返るのは時間の問題のはずだ。
「私と彼の問題に後継者争いや派閥争いは関係あるのか?」
「い、いえ、それは……」
「夫人の心配していることはもちろん分かる。だから三年だ。三年待ってくれ」
「三年でございますか?」
「大学在学中にこの後継者争いに決着をつける。全てか平穏に終われば、その時に迎えに来る」
蒼士は愛おしげな眼差しを大貴に向けた。
「……私にそれを約束する権利はございません。この子の意思を確認しなければ」
「もちろんだ。だから貴女は見届けてくれればいい。必ず、手に入れてみせるから」
「分かりました」
夫人は少し困惑した表情を浮かべながらも胸に手を当てて頭を下げた。
「大貴、三年後にまた会おう。必ず迎えに来るから」
蒼士はしゃがんで床で気持ちよさそうに眠っている大貴の頬を撫でた。手の冷たい感触が気持ち良いのか大貴は擦り寄るように顔を上下させ、蒼士はその顔をこっそりスマートフォンのカメラに収めたのだった。
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