私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜

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41. 穏やかな時間

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 なんだか、不思議な感じだわ。

 ルカ様がお父様を説き伏して学園までの送り迎えを申し出て、それでお昼も一緒でしょうだなんて、なんだか今までの学園生活とは全く違う感じになってしまって、ちょっと対応しきれてないわ。

 しかも、毎日、毎日、ルカ様から甘い笑みを向けられて、まともに顔を見ることができないのだけど。


 昔、婚約が決まったころのルカ様はあんなに無口で愛想もなかったのに、今のルカ様ったらまったく違うのはどうしてかしら??
 疑うような顔をしてルカ様を見ると、そのたびに眉尻を下げて悲しい顔をされるし。私はそんな顔をされると悪いことをしているような気になってしまって、なんだかいたたまれないわ。


 この日もルカ様が送ってくださって教室に入ると、ルチアとジ-ナがニヤニヤと面白そうなものを見たとばかりに私を見るし。そして「今日も一緒に登校なのね」って。

 
「楽しんでるでしょ?」

「大分打ち解けてきたかなって。そろそろ、エリーの溜まりに溜まった言いたい事を言うのもいいんじゃない?」

「そうだな。ルカ殿も今なら反論なく聞いてくれるだろうな」


 マテオ様の意見にヒース様も頷いていらっしゃって、ルチアも「そうよ!」とうんうんと頷いているわ。
 覚えのない期間に、ルカ様に文句というか、リリアンナ様のことを言ったらしいんだけど、今の私は全く覚えていないのよね。だから、言ったら言ったでるか様は聞いてくれるとは思うのだけど。


「そうねぇ。本質のところ…聞いてみなさいよ」

「本質??」

「そう、本質」


 ローズマリーのいう本質とはと考えているかどうかということね。

 私はルカ様に淡い恋心を抱いてそれを育てていったけど、ルカ様はどうだったのかしら。政略結婚として受け入れて、今はそれが危うくなって焦ってらしたとか?
 どんな想いを抱いていらっしゃるのか知りたいと思うけど…でも……。


「私は今のルカ様には好感を抱いているわよ。きちんとエリーと向き合おうとしていらっしゃるし、なんといってもあのエリーを見る目が、愛する人を見る目じゃないの!」

「ローズマリーもそう思う?私もよ!ルカ様ってエリーに甘々よね」


 ジーナまでそんなことを言い始めて、なんだか恥ずかしい。

 私も、ルカ様の最近の態度は…ドキドキが止まらないくらいの甘々なところがあるのよね。
 屋敷から学園まで送迎してくださる馬車の中がどれだけ辛いか……

 辛いというか、いたたまれないというか、恥ずかしくて顔を向けられないというか……


「ちょうど明日は休みなんだし、一緒に出掛けてみたら?」

「行くなら植物園の温室がいいわよ。そろそろ薔薇が見頃になる頃だからおすすめよ」

「10時頃に迎えに来てもらって、それから温室を回ってからレストランで食事ってルートでよくない?音質の横のレストランも素敵だし」


 ルチアが先週に行ってきたという温室のことを思い出して話してくれたんだけど、それを聞いたヒース様が「エリザベス嬢が誘いにくいなら、俺が伝えてくるよ」と教室を出ていってしまって…


「思い出してるんでしょ?エリーの顔を見てたらわかるわよ」

「ローズマリー…」

「まぁ、思い出せないって顔してる風に装って困らせてあげなさいよ。その権利はエリーにはあるんだから」


 こっそりと耳元でそう言ったローズマリー。
 バレてたんだと思いながらも、その言葉の通りだとも思っちゃう。




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