54 / 64
42. 二人の間の溝を埋める
しおりを挟む
ヒース様がルカ様にOKをもらったと、教室に戻ってきて伝えてくれた時のことを思い出しながら、私はルカ様の迎えを待っていた。
ルカ様が喜んでいたというヒース様の言葉と、その日の帰りの馬車の中でのルカ様の嬉しそうに微笑んでいる表情を見て、私の意地になってるか様との間に築いた壁が少しだけど低くなっている気がしてきたのよね。
「お嬢様。コゼルス侯爵令息様が来られましたよ」
「…わかったわ。今行く」
ルカ様がいらしたと聞いて、私は部屋を出た。
植物園にある温室に行くということで、足元は歩きやすいようにヒールの低いブーツにして、ドレスもヒラヒラしないスリムなタイプで「丈は短めのほうが裾が汚れなくていいわよ」とルチアが教えてくれたのよね。
部屋を出る前にチラリと鏡に映る自分を見て、表情が硬いのをほぐすように頬を指でつまんでから部屋を出た。
◇
「素敵だな」
「ええ。そうですね」
さすがにおすすめというだけあって、温室の中は至る所から薔薇の芳醇な香りが漂い、その薔薇の花も大輪のものから小さなものまで様々な種類が咲き誇っていて、たくさんの人たちがその花を見ながら楽しそうに散策しているけど、私もその中の一人…かな。
薔薇だけでなく、百合も咲いている区画もあって、これほどの花々を維持しているなんてすばらしい施設だわとルカ様の存在も忘れてついうっとりと眺めてしまうわ。
我が家の庭には薔薇は2~3種類しか植えていないから、こんな様々な色や形を見られるのは楽しいわ。こんな花に囲まれてお母様やお姉さまとお茶を飲むのもいいかもしれない。そんなことを考えながら、家の庭を思い出した。
ルチアが教えてくれたように温室の中は遊歩道のように整備されているから、いくらレンガ敷きで足元が安定していても長い間歩くことになるのでヒールは向かないし、水撒きをしたからか濡れている場所も多いから少し裾が短いおかげでそういう場所の植物も見て回れたことは教えてくれて本当に感謝だわ。
広い温室をゆっくりと見ているうちに、あっという間に時計の針はお昼を差していて、ルカ様は「予約をしてあるから」と、私を連れて併設しているカフェへ。
そのカフェは、外の景色がよく見えるように窓は大きくて、中の階段を上がると二階席にも行くことができ、ルカ様は私の手を取りその二階席へ。
「まあ、綺麗」
「シルトベルク公園がよく見えるだろう?」
大きな窓から見えるのは、シルトベルク公園内の芝生広場とボートが乗れる池、それに中洲に渡る橋。
あのみんなでピクニックをした大きな木も遠くにですが見えますわね。
ついつい見とれてしまい、これが春や秋であればもっと素晴らしい景色なのだろうと思わず想像してしまいました。
「こんな冬じゃなければ、ここから見える景色も素敵なんだけどな」
「そうですわね」
「リズ達がピクニックしていたのは、あのあたりだったな」
ルカ様のその言葉を聞き流しそうになり、一瞬だけど、はっと気が付いてルカ様を見て目を瞠った。
そういえば、ルカ様が「気にかけてた」とかおっしゃっていたけど…
「マテオ殿から聞いていてね。君たちがピクニックに行くと。それで遠くからでもリズを見たいと思ったんだが、邪魔が入ってしまって…」
そうでしたわね。あの時、リリアンナ様と腕を組んで歩いていらっしゃったものね。
なんだか思い出しただけで、気分が悪くなってきましたわ。
どうせ聞いてもあれも演技だとおっしゃるのでしょうけれど、嫌なものは嫌ですわね。
ルカ様が喜んでいたというヒース様の言葉と、その日の帰りの馬車の中でのルカ様の嬉しそうに微笑んでいる表情を見て、私の意地になってるか様との間に築いた壁が少しだけど低くなっている気がしてきたのよね。
「お嬢様。コゼルス侯爵令息様が来られましたよ」
「…わかったわ。今行く」
ルカ様がいらしたと聞いて、私は部屋を出た。
植物園にある温室に行くということで、足元は歩きやすいようにヒールの低いブーツにして、ドレスもヒラヒラしないスリムなタイプで「丈は短めのほうが裾が汚れなくていいわよ」とルチアが教えてくれたのよね。
部屋を出る前にチラリと鏡に映る自分を見て、表情が硬いのをほぐすように頬を指でつまんでから部屋を出た。
◇
「素敵だな」
「ええ。そうですね」
さすがにおすすめというだけあって、温室の中は至る所から薔薇の芳醇な香りが漂い、その薔薇の花も大輪のものから小さなものまで様々な種類が咲き誇っていて、たくさんの人たちがその花を見ながら楽しそうに散策しているけど、私もその中の一人…かな。
薔薇だけでなく、百合も咲いている区画もあって、これほどの花々を維持しているなんてすばらしい施設だわとルカ様の存在も忘れてついうっとりと眺めてしまうわ。
我が家の庭には薔薇は2~3種類しか植えていないから、こんな様々な色や形を見られるのは楽しいわ。こんな花に囲まれてお母様やお姉さまとお茶を飲むのもいいかもしれない。そんなことを考えながら、家の庭を思い出した。
ルチアが教えてくれたように温室の中は遊歩道のように整備されているから、いくらレンガ敷きで足元が安定していても長い間歩くことになるのでヒールは向かないし、水撒きをしたからか濡れている場所も多いから少し裾が短いおかげでそういう場所の植物も見て回れたことは教えてくれて本当に感謝だわ。
広い温室をゆっくりと見ているうちに、あっという間に時計の針はお昼を差していて、ルカ様は「予約をしてあるから」と、私を連れて併設しているカフェへ。
そのカフェは、外の景色がよく見えるように窓は大きくて、中の階段を上がると二階席にも行くことができ、ルカ様は私の手を取りその二階席へ。
「まあ、綺麗」
「シルトベルク公園がよく見えるだろう?」
大きな窓から見えるのは、シルトベルク公園内の芝生広場とボートが乗れる池、それに中洲に渡る橋。
あのみんなでピクニックをした大きな木も遠くにですが見えますわね。
ついつい見とれてしまい、これが春や秋であればもっと素晴らしい景色なのだろうと思わず想像してしまいました。
「こんな冬じゃなければ、ここから見える景色も素敵なんだけどな」
「そうですわね」
「リズ達がピクニックしていたのは、あのあたりだったな」
ルカ様のその言葉を聞き流しそうになり、一瞬だけど、はっと気が付いてルカ様を見て目を瞠った。
そういえば、ルカ様が「気にかけてた」とかおっしゃっていたけど…
「マテオ殿から聞いていてね。君たちがピクニックに行くと。それで遠くからでもリズを見たいと思ったんだが、邪魔が入ってしまって…」
そうでしたわね。あの時、リリアンナ様と腕を組んで歩いていらっしゃったものね。
なんだか思い出しただけで、気分が悪くなってきましたわ。
どうせ聞いてもあれも演技だとおっしゃるのでしょうけれど、嫌なものは嫌ですわね。
424
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる