私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜

文字の大きさ
55 / 64

43. 政略という言葉

 それからルカ様の顔を見ることを避けてしまって、前のようによそよそしくなってしまって。
 そうなるとルカ様にも気付かれるでしょ?なんだか雰囲気が悪くなっていって、お互いに言葉少ないままお店を出たのよね。

 こうしてルカ様と一緒に出掛けるのは昔から思い描いていたけど、やっぱり……まだ私には無理かしら。

 気持ちが追いついていかないというか、なんだか少し複雑な気持ちになっちゃう。


「…リズ。気が進まない?」

「……ごめんなさい。色々と、その……思い出してしまって」


 ルカ様は眉尻を下げて、何か言いたいだろうその言葉を飲み込んでいるのか苦しそうに見えた。でも、思い出すものは仕方がないのよ。いつになったら気にならなくなるのかしら。

 確かに、このところのルカ様の様子や態度、私にかけてくれる言葉は嘘ではないと感じるけど、でも、気になっちゃうのよね。


「もう…帰るかい?」


 ルカ様は寂しいと言わんばかりの顔をして私を見るから、素直に帰ると言い出せない自分が嫌いだわ。でも、植物には罪はないし、このまま見て回るのもいいかも。


「まだ見ていない場所があるし、もう少し回ってもいいですか?」

「もちろん。俺とまだ一緒に回ってくれる?」


 私は言葉ではなくルカ様の顔を見て少しの笑顔を浮かべて軽く頷いた。なんだか、言葉で返すと喜んでいる風に感じちゃうかと思って。

 単純かしらね。


 そして残りをゆっくりとした歩みで回って、この温室のある植物園のお土産を売っているお店に入った。
 そのお店で見た栞が、色々な種類があってとても可愛かったの。他にもオリジナルブレンドのお茶もあって、時間があればゆっくりと見て回りたかったけど、今のこの雰囲気だと時間を取るのも…ちょっとね。

 そして帰る時間も近づいてきて、馬車の乗り場へと向かいながらルカ様に聞いてみたいことを考えていると、どうやら口から出てたみたい。


「政略結婚なのよね……」


 ルカ様の「え…なに?」という冷たい言葉と、青ざめたような顔を見て口にしていたことに気が付いて、慌てて取り繕うとしたんだけどルカ様が慌てて私に口早に説明?し始めたの。


「政略ってなんのことだい?もしかしてリズは俺たちの婚約は政略だと思っているのか?」


 強い口調で肩をがっしりと掴まれてルカ様の顔を間近で見ることになった私は、なんて言えばいいのかパニックになってしまって「あの…」とか「その…」とかしか言葉が出なかったわ。


「はぁ…まさかリズがそんなことを考えているなんて」

「……だって、ルカ様は私と会っている時も私の話を聞くだけで自分ではお話にならなかったから、面白くないのだろうって思って」

「そ、それは…」


 突然顔を赤くして、口元に手を当てたルカ様だけど、当たってたのかしら?


「それは、リズの声を聞いているだけで、その…嬉しかったからで……」

「えっ…?嬉し…かった…?」


 私がルカ様を見ていると、さらに顔色が赤くなって耳まで真っ赤になってて。
 でも、待って!待って!

 それって、ルカ様は私と婚約したのが嬉しかったってこと?


「リズと初めて会ったときから、ずっと婚約したいって父に言ってたんだ。それでリズが11歳になってから受け入れてもらえて、俺がどれだけ嬉しかったか」

「初めて会ったって、私がルカ様と…ですか?」

「ああ。リズが7歳の時にアレドニアの星降祭で会ったんだ」








 --*--*--*--*--*--




 本日から、『幸せな結婚生活まで』というお話を投稿しました。

 短編での投稿を…と書いたので三万字程度ですが、興味を抱いていただければ嬉しいです。

 こちらは完結保障です!


 リズとルカの方もしっかりと終わらせたいと思っていますので、皆様の応援を糧にお話を紡いでいきたいと思います。

 よろしくお願いします。









あなたにおすすめの小説

地味顔令嬢の私を「嘘の告白」で笑いものにするつもりですか? 結構です、なら本気で惚れさせてから逆にこっちが盛大に振ってあげます!

日々埋没。
恋愛
「お前が好きだ。この俺と付き合ってくれないか?」    学園のアイドル、マルスからの突然の告白。  憧れの人からの言葉に喜んだのも束の間、伯爵令嬢リーンベイルは偶然知ってしまう。それが退屈しのぎの「嘘の告白(ウソコク)」だったことを。 「あの地味顔令嬢が俺に釣り合うわけないだろ。ドッキリのプラカードでも用意しとくわ」  親友のミネルバと共に怒りに震える彼女は、復讐を決意する。まずは父の言いつけで隠していた「絶世の美貌」を解禁! 嘘の恋を「真実の恋(マジコク)」に変えさせ、最高のタイミングで彼を地獄へ突き落とす――。 「……今さら本気になった? 冗談はやめてください、これドッキリですよ?」

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

私はもう、別の方の腕の中です

阿里
恋愛
自分の食事を抜き、内職で指を傷だらけにしながら、婚約者ケビンの夢を応援してきたニーナ。だが、成功を手にした彼から返ってきたのは、感謝ではなくあまりに冷酷な裏切りだった。家族からも見放され、絶望の泥濘に沈む彼女の前に現れたのは、かつて命を救った「名もなき騎士」……今や最強の権力者となったアーサーだった。 「私を捨ててくれてありがとう。おかげで私は、本物の愛を知りました」 後悔に狂う元婚約者を余所に、ニーナは騎士団長からの過保護なまでの溺愛に包まれていく。

【完結】本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!