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21. ルカの焦り
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ある日、いきなりルカ様が屋敷を訪ねてきました。
どうやら先触れもなかったようですが、来てしまったものは仕方ありませんわね。
学園で声をかけられてからどれだけ経ったでしょうか?教室にこられてからも会ってませんし、意味が解りません。
「ルカ様、今日はどうなさったのですか?私に会う時間など忙しくて取れないとおっしゃっていたのに、暇にでもなられましたか?」
前にも言いましたが再度ですわ。
なんだか嫌味を言うのも慣れてしまいましたわね。本当はこんなこと言いたくないのに、なんだか嫌悪感が湧いてきますわ。
「いや、そういう訳ではない。実は君がヴィルマ侯爵家のブレイク殿と出かかけていると聞いたんだ」
「それが何か?ブレイク様はローズマリーのお兄様ですから交流もありますが、ルカ様に関係がありますか?」
あれからブレイク様とは会う機会があったのです。
あのお祝いのクッキー缶を渡したところ喜んでもらえたということでお礼をしたいと言われ、またレモンパイのお店へ。
その後も出掛けることはありましたが、毎回、ローズマリーも一緒にですけど。
ローズマリーは私とブレイク様の関係が進展することを期待しているみたいですけど、どうやらブレイク様には隣国に留学している良い方がいらっしゃるとか。
その方は侯爵家の嫡男の相手としては、身分で弾かれる可能性があるらしく、今、隣国にて実績を重ねていらっしゃるらしいのです。ですので、ブレイク様とは恋愛対象というよりも頼りがいのある兄といった関係です。
まあ、そんなことは詳しく話しませんけど。
「ではどういう訳ですの?いきなり訪ねて来られて、自分の事は棚に上げ、私の事ばかり詮索されて。それに学園で声をかけて来たかと思えば何も言わずにリリアンナ様とどこか行かれますし、教室まで来られたようですが、そのまま音沙汰もありませんし。政略結婚相手でも気に入らないとおっしゃるなら、私がリリアンナ様との仲に邪魔なら邪魔とはっきりとおっしゃってくださいませ。いつでも婚約解消いたしますわ」
「せ、政略だって??いや、待ってくれリズ!」
「なんですか?まだなにか」
「リリーのことは誤解なんだ!それに政略だなんて!」
「誤解とはまた。私が何を誤解しているというのですか?学園で腕を組んで歩かれるほど仲睦まじいお二人の何が誤解だと。本当に噂通りのお二人ですわね」
見られていると思ってなかったのかしら。単純よね。あれだけ噂になっているというのに。お兄様のバカという言葉がよくわかる気がしますわね。
でも、ルカ様ってこんな人だったかしら。口数は少ないとは思っていましたけど、残念ですわね。
「それは…仕方ないんだ。リリーが…」
「…ルカ様はご婚約者でもないご令嬢を愛称呼びなさるのですね。よくわかりました」
「いや…すまないリズ!」
「いいのです。良ければ私のことはリンデン伯爵令嬢とお呼びくださいませ。では、リリー様と仲良くなさってください。政略結婚と割り切りましても、そのような不義理をなさる方は到底受け付けられませんわ。どうぞお帰りを。誰か!コゼルス侯爵令息様がお帰りになられるわ」
私がルカ様の事を家名で呼んだことがショックなのか、真っ青な顔をしていますわ。そうさせたのはご自分ですのに、そんな顔をされると気分が悪いですわね。
私はルカ様を置いてさっさと自分の部屋へ戻り、窓から彼が帰るのを見ておりましたが、屋敷を見上げるルカ様は、私の部屋がどこにあるかも知らないのでしょうね。
なんだか寂しい気持ちになります。心に冷たい風が吹くというのはこういう時のことを言うのかしら?
私だってこんなことを言いたいわけではないのです。もっとルカ様と一緒に居たかったですし話もしたかったです。でも、そんなこと、夢のまた夢。
今の私にとってはそれは体を蝕む毒のようなものです。
そして後日、私のもとにお兄様の上司でもあります、リュベルス王太子殿下から私と話がしたいと言うお手紙が届きました。
お兄様に確認しようと思ったのですが、お兄様は昨日から一週間の予定で国境沿いの町へ視察に向かったばかりで留守なのです。
舞踏会でお話した時にはそう気難しいような方には見えなかったので、理不尽なことを言われるとは思いませんが、心配ですわね。
そして三日後。王太子殿下とお兄様の同僚でもあるウィローズ公爵家のロイド様が護衛の方たちと共に我が家を訪れました。
王太子殿下の青銀の髪はやはり綺麗ですわね。人を引き付ける金の瞳も、見ているだけでドキドキしてしまいますわ。でも、神と同じ存在で手が届かないとわかっている人なので、特別な感情は生まれませんが。敢えて言うなら、憧れや尊敬といった感じでしょうか。
ロイド様も王太子殿下に負けない程、美丈夫ですわね。
さすがに公爵家ともなると美形の人が多いのかしら。公爵家と言えばマテオ様もですわね。
こんなことばかり考えていてもいけませんわね。
「リュベルス王太子殿下、リンデン伯爵家へようこそ」
どうやら先触れもなかったようですが、来てしまったものは仕方ありませんわね。
学園で声をかけられてからどれだけ経ったでしょうか?教室にこられてからも会ってませんし、意味が解りません。
「ルカ様、今日はどうなさったのですか?私に会う時間など忙しくて取れないとおっしゃっていたのに、暇にでもなられましたか?」
前にも言いましたが再度ですわ。
なんだか嫌味を言うのも慣れてしまいましたわね。本当はこんなこと言いたくないのに、なんだか嫌悪感が湧いてきますわ。
「いや、そういう訳ではない。実は君がヴィルマ侯爵家のブレイク殿と出かかけていると聞いたんだ」
「それが何か?ブレイク様はローズマリーのお兄様ですから交流もありますが、ルカ様に関係がありますか?」
あれからブレイク様とは会う機会があったのです。
あのお祝いのクッキー缶を渡したところ喜んでもらえたということでお礼をしたいと言われ、またレモンパイのお店へ。
その後も出掛けることはありましたが、毎回、ローズマリーも一緒にですけど。
ローズマリーは私とブレイク様の関係が進展することを期待しているみたいですけど、どうやらブレイク様には隣国に留学している良い方がいらっしゃるとか。
その方は侯爵家の嫡男の相手としては、身分で弾かれる可能性があるらしく、今、隣国にて実績を重ねていらっしゃるらしいのです。ですので、ブレイク様とは恋愛対象というよりも頼りがいのある兄といった関係です。
まあ、そんなことは詳しく話しませんけど。
「ではどういう訳ですの?いきなり訪ねて来られて、自分の事は棚に上げ、私の事ばかり詮索されて。それに学園で声をかけて来たかと思えば何も言わずにリリアンナ様とどこか行かれますし、教室まで来られたようですが、そのまま音沙汰もありませんし。政略結婚相手でも気に入らないとおっしゃるなら、私がリリアンナ様との仲に邪魔なら邪魔とはっきりとおっしゃってくださいませ。いつでも婚約解消いたしますわ」
「せ、政略だって??いや、待ってくれリズ!」
「なんですか?まだなにか」
「リリーのことは誤解なんだ!それに政略だなんて!」
「誤解とはまた。私が何を誤解しているというのですか?学園で腕を組んで歩かれるほど仲睦まじいお二人の何が誤解だと。本当に噂通りのお二人ですわね」
見られていると思ってなかったのかしら。単純よね。あれだけ噂になっているというのに。お兄様のバカという言葉がよくわかる気がしますわね。
でも、ルカ様ってこんな人だったかしら。口数は少ないとは思っていましたけど、残念ですわね。
「それは…仕方ないんだ。リリーが…」
「…ルカ様はご婚約者でもないご令嬢を愛称呼びなさるのですね。よくわかりました」
「いや…すまないリズ!」
「いいのです。良ければ私のことはリンデン伯爵令嬢とお呼びくださいませ。では、リリー様と仲良くなさってください。政略結婚と割り切りましても、そのような不義理をなさる方は到底受け付けられませんわ。どうぞお帰りを。誰か!コゼルス侯爵令息様がお帰りになられるわ」
私がルカ様の事を家名で呼んだことがショックなのか、真っ青な顔をしていますわ。そうさせたのはご自分ですのに、そんな顔をされると気分が悪いですわね。
私はルカ様を置いてさっさと自分の部屋へ戻り、窓から彼が帰るのを見ておりましたが、屋敷を見上げるルカ様は、私の部屋がどこにあるかも知らないのでしょうね。
なんだか寂しい気持ちになります。心に冷たい風が吹くというのはこういう時のことを言うのかしら?
私だってこんなことを言いたいわけではないのです。もっとルカ様と一緒に居たかったですし話もしたかったです。でも、そんなこと、夢のまた夢。
今の私にとってはそれは体を蝕む毒のようなものです。
そして後日、私のもとにお兄様の上司でもあります、リュベルス王太子殿下から私と話がしたいと言うお手紙が届きました。
お兄様に確認しようと思ったのですが、お兄様は昨日から一週間の予定で国境沿いの町へ視察に向かったばかりで留守なのです。
舞踏会でお話した時にはそう気難しいような方には見えなかったので、理不尽なことを言われるとは思いませんが、心配ですわね。
そして三日後。王太子殿下とお兄様の同僚でもあるウィローズ公爵家のロイド様が護衛の方たちと共に我が家を訪れました。
王太子殿下の青銀の髪はやはり綺麗ですわね。人を引き付ける金の瞳も、見ているだけでドキドキしてしまいますわ。でも、神と同じ存在で手が届かないとわかっている人なので、特別な感情は生まれませんが。敢えて言うなら、憧れや尊敬といった感じでしょうか。
ロイド様も王太子殿下に負けない程、美丈夫ですわね。
さすがに公爵家ともなると美形の人が多いのかしら。公爵家と言えばマテオ様もですわね。
こんなことばかり考えていてもいけませんわね。
「リュベルス王太子殿下、リンデン伯爵家へようこそ」
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