【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 朝になり、朝食の準備ができていると侍女長が部屋を訪れた。

 その懐かしい顔に、ローレンスの表情も緩くなっていって、やはりここはローレンスの大切なところなのだとリサは笑みを零した。


「案内いたしますので、こちらへ」

「…まさか、ジークもいるのか?」

「王弟殿下がお気になさると思いましたので、王太子殿下とは別室に準備しております」


 その返事を聞いて安心したのか、子供たちの手を引きリサと四人で案内されるまま移動をした。


「ねぇ、お父さん。僕の寝てた部屋はお父さんの部屋だったんでしょう?」

「ああ、そうだ。子供の頃から使っていた部屋だよ」

「じゃあ、お父さんは王子さまなの?」


 昨日の夜に何かを聞いたのかもしれないなと思いながら、子どもたちにはちゃんと話しておいたほうが良いということを昨晩、リサと話をしていたのだ。


「昔はそうだったな。今は違うぞ。お父さんは黎明の羅針盤の一員だからな」

「お父様、王子様じゃないの?私、お姫様が良かったのに」


 レリアナがそう言うと「お前はいつまでもお父さんとお母さんのお姫様だぞ」と抱き上げた。

 そんな姿を見ていた侍女長やメイド達が、微笑ましい視線を向けていることにローレンスは全く気がついていない。ここまで周囲を気にしないでいられるのは、かつて自分が住んでいた場所だからだろうか。そんな事をリサは思っていた。


 リサは堅苦しいことは嫌いなこともあり、1度目にローレンスと離れた時は決断が早かった。こういう生活になると思うと、耐えられる気がしなかったからだ。

 愛する人が王弟だったことは変えられない事実だから今は受け止めているが、もし囲い込まれるようなことになるなら薄情だと言われてでもさっさと逃げてしまおうとは考えていた。
 ローレンスもここに長居する気はないようだし、王都を見学したら王太子に何を言われてでも早々に家に帰ろうと計画していた。


「食事が終わりましたら、王太子殿下がお子様たちを王都見学へとお連れになるそうです」

「あいつ、諦めてなかったのか?」

「まあ、まあ、ラリー。いいじゃないの」


 苛つくローレンスをなだめるように声をかけて、朝食の準備されている部屋へ入った。



 ◇ ◇ ◇ ◇



 食事が終わり、王宮の中を見たいという子供たちの願いを叶えたいところだが、あまり表立って歩くのも憚られ、どうするかと思案しているうちにジークフリートが子供たちに「町に行かないか?屋台も出ていて面白いぞ」と子供たちが好きそうなことを言って、二人の手を取った。

 止めようとしたローレンスだったが、二人の子供に「「お父さん。行ってもいい?」」と可愛い顔でおねだりをされると、あれだけ嫌がっていたにもかかわらず、ダメとは言いだせなくて渋々OKの返事を出していた。

 その姿を見たリサは笑いをこらえながら「私達も町へ行きましょうか?」と、ラリーとリサの姿で町へ出掛けた。




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