【完結】傷物の姫 妃選抜の儀の最下位者ですが、若君、あなたは敵ではなかったのですか?

西野歌夏

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傷物姫 後宮降臨 本編

俺の妃は花蓮だけ ※

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 *恋は後宮で**


 鷹宮の唇が私の胸に口付けをし、ツンととがって感じているいただきを舌が刺激し、私は甘い嬌声を漏らした。


 あぁっんっ

 救ってくれたお方が鷹宮だと分かり、私はどうしようもなく、最後まで結ばれたかった。


「今夜は鷹宮さまと、最後まで…ぁあっんっあぁっ…」

 鷹宮は驚いたように私を見つめたが、無言で私のあそこに舌を這わせて、刺激を始めた。


 大きく足を広げられ、あらぬ姿で鷹宮さまに愛撫され尽くされ、私は濡れて濡れて悶えて乱れた。

 ぁあんっあぁっんっんっ


「俺の初めては花蓮だから…可愛い過ぎて…耐えられそうもない…」


 私は指を入れられて腰を揺らした。そしておねだりしてしまった…。

「お願い…鷹宮さまを感じたいのっんっぁぁあんっ…あぁんっ…」
「花蓮…俺の花嫁…知らないぞ…?」

 喘ぎながら夢中で裸の鷹宮を抱き寄せた私は「お願い…」と懇願した。


 透き通るような瞳が煌めき、私を見下ろして耐えられないと頬を上気させてうめくようにつぶやいた鷹宮は、私を組み敷き、手を絡めて押さえつけた。

 
 あそこに大きなものがゆっくり侵入してきて、私は体を震わせて息を整えようとした。


「力を抜くんだ…花蓮…俺を見て…」


 私は大好きな鷹宮を見つめて、ゆっくりと受け入れた。

「入った…っぁあっんっ花蓮…締め付けが強すぎて気持ち良すぎる…動いていいか?」


 私は「愛していますっ…」とささやき、うなずいた。


 あぁっんっ…あぁっんっ…ぁあっんっあんっ…んっあぁあぁっんっ


 私はこの国に皇子鷹宮と、この夜、結ばれた。


 10歳で出会って、16歳で命を救われて、18歳で全てをささげる恋に落ちて、私は結ばれた。


「俺にとっては8年越しの恋だから…もう、二度と離さないから覚悟して…花蓮」


 鷹宮は美しい顔を幸せそうに緩ませて、彼の腕の中の私にささやいた。

 
 私はたとえようもなく幸せだった。


 私の入内は、宝石のように煌めく恋を見つける、予期せぬ展開になったようだ。



***





 空は青く澄み渡り、秋風がまだ残る今日、広場に平伏す2千人余りを私は見下ろしていた。


 慣れない眺めだ……。
 これからは、私の立つ位置はここなの……!?

 高すぎて怖いわ……。


「今日は、余から皆の者に報告がある!」


 宰相18人、62家の代表、妃候補31人、内史250人、女官700人、宦官800人と続く約2000人余りが平伏す前に、皇帝、皇后、皇太后、鷹宮、私が立っていた。


 震えが止まらない……。

 鷹宮が私を励ますように見つめてうなずいた。


 端に直属の者たちが控える中で、実に明確に、平伏す者たちとの位の差が明確に表されていた。


 この中に私と小袖と昌俊に薬を混ぜた紫央をしおん渡した者が紛れていることになる。


 誰なの?
 何食わぬ顔をして、彼らはこの場に混ざっているのだわ……。


 静まり返る皆々が固唾を飲んで見守る中、皇帝の御前に引っ立てられてきた男がいた。


 爛々の家から献上された紫央は少なかったので、32人の妃候補の正月祝膳に使うよう、皇帝が芦杏に渡していたと後で判明した。


 今まで選抜の儀の吏部尚書を担当していた髭面の芦杏ろあんだ。彼は私を見るなり憎々しげに睨んだ。


 
 引っ立てられて来たのが芦杏ろあんだと分かると、広場に集まった一同に動揺が走った。事態が把握できずに、困惑した顔で顔を見渡している。



「この者、激奈龍と通じ、謀反を計画した罪で、ここに処罰を命じる!」


 皇帝が宣言するのと同時に、息を飲むような沈黙が訪れた。私の背後から、時じいが現れたのだ。


 悲鳴が上がった。
 亡くなったと言われていた先の皇帝が生きて動いて姿を現したのだから、当然だ。



 私をちらりと見て微笑んだ時じいは、豪華絢爛な衣装を見に纏い、凄まじい威厳を醸し出していた。


「おぉ、先帝ではないかっ!?」
「あれは……!?」
「なんとっ!?」


 広場にどよめきが起きる中で、時じいが私の横に立った。


「2年前、済々の一の姫、花蓮に余は救われた。選抜の儀の吏部尚書を担当する芦杏ろあんは、皇帝である余を襲い、殺めようとした」


 水を打ったような静けさの中、時じいは話し続けた。



「花蓮はその場に偶然居合わせて、余を匿い、助けてくれたのだ。済々の花蓮姫の2年前の誘拐殺害未遂事件、先日の2件の殺害未遂事件、いずれも芦杏ろあん、お前が仕組んだことじゃな?」

 
 不気味な静けさあたりに漂った。


 そうなんでしょう?
 白状なさいっ!?


 私は芦杏ろあんの顔をじっと見つめた。


 私も震えながらも、なんとか毅然とした態度に見える事を祈りつつ、大きな声で言った。


「私は、あなたが、雇った者たちに誘拐のための銀子を支払ったことを覚えています!」


 私はあの時の恐ろしさを思い出しながら、冷たい声で芦杏ろあんに言った。


「あの日あの場所で、私はお前に会ったな。済々の一の姫、花蓮を救ったのは私だ!お前は花蓮が誘拐されていた場所のすぐ近くで、私に確かに会った!」


 鷹宮が追い討ちをかけるように、芦杏ろあんに言った。


 芦杏ろあんはうなだれて反論しなかった。諦めたのか、平伏したのだ。


 辺りがシンと静まり返る中で、特に夜々の家の者たちは震え上がっていた。芦杏の未夜の家は、夜々とは縁戚だからだ。


「夜々の家の者、お前たちはこの謀反に無関係であるか!?」


 雷のように轟く声で、皇帝が問うた。


 西一番の大金持ちの夜々の家の、今世最高美女の邑珠姫ゆじゅひめがいる夜々の家の者たちは震えていた。邑珠姫の父上と思われる方が、顔面蒼白になりながらもはっきりと答えた。


「無関係でございますっ!」



 時じいが話した。


激奈龍げきなんりゅうと手を組んで、我が国御咲ごさきを陥れる計画を練っていたことを皇帝である余に気づかれた芦杏ろあんは、2年前、世を罠に嵌めて殺害しようとした。余が自ら命を断ったと見せかけて、文を偽造した。だが、文には肝心の印が無かった。これは時鷹、明鷹、鷹の3人だけで決められた印だ。そのため、代がわりが少し遅れた背景がある」


 私は今日のために薄い桃色の透けるようなヴェールを頭の後ろから垂らし、幾重にも重なる宝石を髪飾りとして頭につけられ、髪飾りの房まで垂らされていた。


 おかげで、時じいの顔をチラッと見つめるだけで精一杯だった。

 
 「花蓮、胸をはりなさいっ!鷹の妃としてはそなたしかおらぬのだからっ!」


 横で時じいに鋭く囁かれ、私は目をしっかり見張り、頭を上げて胸を張った。


 こ……こうでしょうか?

 おそるおそる時じいを見ると、励ますように小さくうなずいてくれた。


 済々の父上は、目を驚愕して見開き、先の皇帝であったという時じいと私を交互に見ていた。


 あ……父上と母上には内緒にしていた……!

 父上、今まで黙っていてごめんなさい!

 猫を拾ってくるような気軽さで、人を拾ってくるなと父上に怒られると思ったので、今まで黙っておりました……。


 本当にごめんなさいっ!


 私は心の中で父上に謝った。

 昌俊は熊のような巨体を縮こめて、胸に手を当てている。

 お世話をするために一緒に暮らした日々で、先の皇帝に失礼があったのではないかと、振り返っているらしい……。

 小袖は震えがあり、真っ青な顔をしている。

 そうなの……。
 分かる。
 私も「時じい!」と呼び捨てにして、楽しくお喋りをしてしまっていたから……。


 皇帝だったなんて。
 皇帝殺害現場を目撃したから、私が狙われていたなんて……。


 本当に知らなかったとはいえ、私は元皇帝ともあろう方に気軽に話し過ぎていたかも?


 芦杏ろあんは昨日までの報告では、まだ言い逃れできると思っていたらしかった。


 しかし、先の皇帝が私の隣に姿を現してからは、私を射抜くような目で睨んだきり、観念してうなだれていた。


「各々の家に改めて聞く!この謀反に加担した者はいないか!?黙っていても、必ずしや、とらえるからそのつもりでいよっ!」


 皇帝は雷が轟くような声で怒鳴った。


 2000人あまりの者たちは、先の皇帝である「時じい」が、私の肩を抱きしめるのを黙って呆然と見つめて、ひれ伏した。



「芦杏に処刑を命じる!」


 皇帝の冷たい宣告は、居並ぶ人々の気を引き締めるのに十分だった。


 この一件を経て、私は鷹宮の妃として、広く強く人々に認識されることになったようだ。




***

「俺の妃は花蓮だけ……」


 鷹宮は夜が訪れるたびに私を熱烈に愛してくれる。


 最高……なのですけれど。
 怖いくらい幸せ過ぎて、逆に何かが起こりそう……。



 合体の儀は事実上完全に行われた。


 挙式は我が国始まって以来の盛大なものになると言われていた。


 5月に23歳になる鷹宮に、私は懇願していた。


「せめて、第二妃、第三妃、第四妃までは選んでいただけないでしょうか」


 顔を上気させて私を見つめていた鷹宮は、ぷいっと横をむいて拗ねた。


「花蓮が後宮で寂しいからだろ?」


 鷹宮は、家々の勢力均衡も大事だという私の話に耳を貸してくれない。私だって、どうしようもなく鷹宮に恋している身としては、他の姫君たちを鷹宮が抱くなんて、身を切られるより嫌だ。


「俺は花蓮以外は抱けない」


 そんな赤面するような事を平気で囁いてくる超絶美男子は、私の夫である皇子だ。


 でも……。
 あなたに惚れている姫君たちの怨念で私が殺されそうです……。


 そして国を分裂するような争いに発展するような恋の嫉妬、我が済々への各家々の嫉妬を緩和するのも妃としてのつとめでもある。


 鷹宮さまを独り占めしたい……。
 泣きたいほどそう願うが、妃としてはそれではダメなよう……。



 鷹宮の妃選抜の儀にあたり、とんでもない番狂わせが起きたと民の間で噂で持ちきりになったそうだ。


 だが、先の皇帝を救った姫として、私の名誉はだいぶ回復された。


 もう、傷物とは呼ばれないかもしれない。

 地味姫とはまだ陰で言われそうだ……。


 空に舞う紅葉した赤い葉が、白い雪に変わるこの頃、暖かくカイロで暖められた部屋で、今宵も鷹宮に私は愛を囁かれていた。


 超絶美男子は一途な恋心を持ち続けるお方だった。


 今世最高美女も、美貌と気立の塩梅が絶妙な姫も、他31人の妃候補のいずれも(いや?美梨の君は違うかも……)鷹宮に恋焦がれてしまう状況が続いていた。


 乙女たちの純情を試されるような熾烈な戦いはまだ続くのだ。


 でも。
 今宵、今ひとときは、私だけの鷹宮さまでいてもらうことができる……。


 最高に幸せな瞬間に心のひだまでとろけそうだ。透き通るような煌めく瞳に私は見つめられ、抱きしめられて愛をささやかれた。


 空に煌めく星のように、この国を照らす皇子鷹宮は、色っぽく口角をあげて微笑んで見下ろし、私を幸せの心地に誘った。




 鷹宮選抜の儀にまつわる私の入内は、心ときめく予期せぬ展開になったようだ。






       完






お読みいただきまして本当にありがとうございました!



後日談がありそうですが、一旦完了としようと思います。西洋版予期せぬ展開の中華後宮版として、チャレンジしました。お気軽にお楽しみいただければ幸いでございます。


皆様に良いお年が訪れる事を願っております。
稚拙な物語にお付き合いいただきまして、ありがとうございました!
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