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春の宵の恋煩い編
桜の季節も激甘で 花蓮Side ※
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「今日は長い一日だったなぁ」
「鷹宮さまも福仙竜の主でしたね!」
「俺たちは……番だな。運命の相手だ」
くすぐったい。
鷹宮に頬をなでられて、私は身をよじった。
口角を上げて、透き通るような瞳で私を見つめる鷹宮は、どこまでもくったくのない無邪気な様子だ。
信じられないほどの美しいお顔を見あげて、私は心の中でため息をつく。
このお方を独占できるのはいつまでなのだろう。
本当は、明日にでも他の姫に取られてもおかしくはない。
でも、私は御咲の国の世継ぎの皇子の妃になったのだから、2番目、3番目、4番目と続く妃たちと鷹宮を分かち合わなければならない。
「きゃっ!」
私はいきなり鷹宮に軽々と抱き抱えられて、布団まで運ばれた。
「朝の続きをしようか」
「えっ」
「花火は美しかったし、無事に敵をかわせたし、皆が幸せそうだった」
一瞬の間があった。
「花蓮、美梨が宮廷に残りたいと言っている。どう思うか?」
「良いのではないでしょうか。ただ、妻としてでしょうか。あなたの親友としてでしょうか」
「親友としてだ」
「美梨の君が幸せならば、私はそれで良いです」
「選抜の儀がもうすぐ終わる。せめて第3妃まで選べと言われているんだけど」
「……」
その言葉に、嫉妬で沈みそうになる。
独り占めしたい。
でも、叶わぬ思いなのも知っている。
私は胸が締め付けられそうで、鷹宮に抱きついた。
「良いですよ」
私は囁いた。
「そこは嫌だと泣いてくれた方が嬉しいんだけど」
鷹宮は少し泣きそうな顔で斜めに頭を傾けて、私を見つめた。温かい口付けをされた。
「もしや、もう心にいずれの方がいますか?」
「いない。花蓮しかいない」
「では、どなたをお選びになるのでしょうか」
「順位で言えば、優琳姫だよなぁ」
あの頭の良い、たわたな果実ですか……。
どうでしょうか。
大好きな優琳姫なのに、嫉妬の痛みに胸をちくりと刺された。
「だが、全然気が進まない。彼女は今日、花蓮の兄上である理衣の君といい感じだったしな」
あぁ、清宮で今世最高美女が法術を操るの目の当たりにして、理衣兄は完全に引いていた。我が兄として情けない。
私が赤い竜と現れた時は、完全に腰が引けていた。口をあんぐり開けて信じがたいといった表情で驚愕していた。
優琳姫のころころと鈴が鳴ように快活に笑う笑顔に兄上は救われていたようだ。
確かに。
理衣兄と優琳姫は……良いかもしれない。
「花蓮と同じ小凛棟にいた喜里姫を推されている」
私は一瞬嬉しかった。
だが、鷹宮が他の姫と親密な関係になることを具体的に考えたくなかった。
昨年の秋、金木犀の香りが前宮には漂っていた。それが今や、桜があと数日で咲きそうな季節になった。
妃に選ばれる時も、選ばれてからも、なんと敵が多いこと。
鷹宮の愛だけで、生き延びることができるのだろうか?
天蝶節の企みは、私を死に追いやり、今世最高美女を鷹宮に近づけて、鷹宮を今世最高美女に殺めさせる企みだった。
選抜の儀第1位と、選抜の儀第2位が利用され、世継ぎである鷹宮のみならず、現皇帝と先の皇帝である時鷹さまをも、鷹宮の専属五色の兵を操って殺める計画だった。
桜も散り、葉桜となり、艶やかな牡丹の咲く季節の頃に鷹宮選抜の儀は終わる。
せめてあと何度も何度も夏のカワセミの声、夏の夜空に広がる天の川、秋の金木犀、冬の雪の中の極華禁城で咲く水仙の花、春の前の梅の花と、鷹宮と共に過ごして眺めることができたら……。
「あっ、あの桜餅……作り方を柳武皇子に教わったら……」
私の言葉は鷹宮の甘い口付けで封じこめられた。
「花蓮は反対してよ」
「え、だ、ってそ、んな……」
「い、いの?俺が他の綺麗な子を抱いても」
「い、や、い……やにきまってる」
私は鷹宮の露わになった胸に包まれて1枚ずつ脱がされながら悶えた。
「なら、ほら、はっきり言ってよ」
「た、かみやは……あぁんっあぁっ」
胸を責めたてられて、下に手を伸ばされて足を閉じようとしたのに、許してくれない。
「よ、つ、ぎ……あぁんっあぁっん……のきさきのつとめだ、か、ら……」
「そんな、悲しい。言わないで。俺には本音で言ってよ」
私のあそこに温かい指が添い、責めたてられて私は泣きそうな気持ちと蕩け出す体に翻弄されて喘ぐ。
「花蓮、お願いだから染まらないで。気持ちを俺の前では抑えないで」
「い、やぁんっで、き……ない」
私はいつの間にか組み敷かれていて頬を赤く染め上げた鷹宮に見下ろされていた。
「つ、まとしての務めも……あります……ひゃっんっ」
許さないと言った鷹宮に甘く刺激を繰り返されて、天にも昇るような心地に意識を失いそうになる。
「お、願い」
鷹宮もせっぱ詰まったような辛そうな顔で私に懇願した。
「花蓮には……お、れの前では……正直でいて……じゃないと……俺が、も、た……ない」
私たちは泣きそうな高まりの中で互いを見つめ合った。
「い、いね?」
「いい」
「ちがっ……俺の前では正直でいて」
「わ、かった」
私たちは抱き合ったまま、しばらく時間を忘れた。
空に輝く月は、花火の終わった余韻を優しく癒してくれた。長い人生の幕開けは、始まったばかりだ。
後宮の春の宮での甘い新婚生活は、間も無く第2妃、第3妃、第4妃を迎え入れようと準備が進んでいく。
そうやって、私たちの新婚生活は続く。
私の命懸けの後宮生活は鷹宮の真っ直ぐな愛に包まれて進んでいく。
夜が開けたら、また新しい1日が始まる。
できることなら、この人とずっと一緒にいたいと思う。
「俺の妃は花蓮だけ」
きっぱりと言う鷹宮の言葉で私は眠りについた。
ときめきと命を懸けた恋は一緒にやってきた。新緑の季節になれば、私は御咲の国で鷹宮妃選抜の儀を終える。私の第1妃確定は揺るがないものであるが、第2妃の発表が行われるのは間違いない。第3妃は誰なのか、それは私もまだ分からない。
私の後宮での花嫁生活は、予期せぬ展開が続くようだ。
春の宵の恋煩い編完
お読みいただきまして本当にありがとうございました!感謝申し上げます。
2025年4月16日完了しました。他の物語の後日談に着手していますので、お楽しみにお待ちいただければと思います。稚拙な物語にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。サスペンスとラブを混ぜるのは難しいですね。
地図を広げて御咲の国や隣国を旅をする気持ちがあるので、いつかまたお会いできることを楽しみにしております!
「鷹宮さまも福仙竜の主でしたね!」
「俺たちは……番だな。運命の相手だ」
くすぐったい。
鷹宮に頬をなでられて、私は身をよじった。
口角を上げて、透き通るような瞳で私を見つめる鷹宮は、どこまでもくったくのない無邪気な様子だ。
信じられないほどの美しいお顔を見あげて、私は心の中でため息をつく。
このお方を独占できるのはいつまでなのだろう。
本当は、明日にでも他の姫に取られてもおかしくはない。
でも、私は御咲の国の世継ぎの皇子の妃になったのだから、2番目、3番目、4番目と続く妃たちと鷹宮を分かち合わなければならない。
「きゃっ!」
私はいきなり鷹宮に軽々と抱き抱えられて、布団まで運ばれた。
「朝の続きをしようか」
「えっ」
「花火は美しかったし、無事に敵をかわせたし、皆が幸せそうだった」
一瞬の間があった。
「花蓮、美梨が宮廷に残りたいと言っている。どう思うか?」
「良いのではないでしょうか。ただ、妻としてでしょうか。あなたの親友としてでしょうか」
「親友としてだ」
「美梨の君が幸せならば、私はそれで良いです」
「選抜の儀がもうすぐ終わる。せめて第3妃まで選べと言われているんだけど」
「……」
その言葉に、嫉妬で沈みそうになる。
独り占めしたい。
でも、叶わぬ思いなのも知っている。
私は胸が締め付けられそうで、鷹宮に抱きついた。
「良いですよ」
私は囁いた。
「そこは嫌だと泣いてくれた方が嬉しいんだけど」
鷹宮は少し泣きそうな顔で斜めに頭を傾けて、私を見つめた。温かい口付けをされた。
「もしや、もう心にいずれの方がいますか?」
「いない。花蓮しかいない」
「では、どなたをお選びになるのでしょうか」
「順位で言えば、優琳姫だよなぁ」
あの頭の良い、たわたな果実ですか……。
どうでしょうか。
大好きな優琳姫なのに、嫉妬の痛みに胸をちくりと刺された。
「だが、全然気が進まない。彼女は今日、花蓮の兄上である理衣の君といい感じだったしな」
あぁ、清宮で今世最高美女が法術を操るの目の当たりにして、理衣兄は完全に引いていた。我が兄として情けない。
私が赤い竜と現れた時は、完全に腰が引けていた。口をあんぐり開けて信じがたいといった表情で驚愕していた。
優琳姫のころころと鈴が鳴ように快活に笑う笑顔に兄上は救われていたようだ。
確かに。
理衣兄と優琳姫は……良いかもしれない。
「花蓮と同じ小凛棟にいた喜里姫を推されている」
私は一瞬嬉しかった。
だが、鷹宮が他の姫と親密な関係になることを具体的に考えたくなかった。
昨年の秋、金木犀の香りが前宮には漂っていた。それが今や、桜があと数日で咲きそうな季節になった。
妃に選ばれる時も、選ばれてからも、なんと敵が多いこと。
鷹宮の愛だけで、生き延びることができるのだろうか?
天蝶節の企みは、私を死に追いやり、今世最高美女を鷹宮に近づけて、鷹宮を今世最高美女に殺めさせる企みだった。
選抜の儀第1位と、選抜の儀第2位が利用され、世継ぎである鷹宮のみならず、現皇帝と先の皇帝である時鷹さまをも、鷹宮の専属五色の兵を操って殺める計画だった。
桜も散り、葉桜となり、艶やかな牡丹の咲く季節の頃に鷹宮選抜の儀は終わる。
せめてあと何度も何度も夏のカワセミの声、夏の夜空に広がる天の川、秋の金木犀、冬の雪の中の極華禁城で咲く水仙の花、春の前の梅の花と、鷹宮と共に過ごして眺めることができたら……。
「あっ、あの桜餅……作り方を柳武皇子に教わったら……」
私の言葉は鷹宮の甘い口付けで封じこめられた。
「花蓮は反対してよ」
「え、だ、ってそ、んな……」
「い、いの?俺が他の綺麗な子を抱いても」
「い、や、い……やにきまってる」
私は鷹宮の露わになった胸に包まれて1枚ずつ脱がされながら悶えた。
「なら、ほら、はっきり言ってよ」
「た、かみやは……あぁんっあぁっ」
胸を責めたてられて、下に手を伸ばされて足を閉じようとしたのに、許してくれない。
「よ、つ、ぎ……あぁんっあぁっん……のきさきのつとめだ、か、ら……」
「そんな、悲しい。言わないで。俺には本音で言ってよ」
私のあそこに温かい指が添い、責めたてられて私は泣きそうな気持ちと蕩け出す体に翻弄されて喘ぐ。
「花蓮、お願いだから染まらないで。気持ちを俺の前では抑えないで」
「い、やぁんっで、き……ない」
私はいつの間にか組み敷かれていて頬を赤く染め上げた鷹宮に見下ろされていた。
「つ、まとしての務めも……あります……ひゃっんっ」
許さないと言った鷹宮に甘く刺激を繰り返されて、天にも昇るような心地に意識を失いそうになる。
「お、願い」
鷹宮もせっぱ詰まったような辛そうな顔で私に懇願した。
「花蓮には……お、れの前では……正直でいて……じゃないと……俺が、も、た……ない」
私たちは泣きそうな高まりの中で互いを見つめ合った。
「い、いね?」
「いい」
「ちがっ……俺の前では正直でいて」
「わ、かった」
私たちは抱き合ったまま、しばらく時間を忘れた。
空に輝く月は、花火の終わった余韻を優しく癒してくれた。長い人生の幕開けは、始まったばかりだ。
後宮の春の宮での甘い新婚生活は、間も無く第2妃、第3妃、第4妃を迎え入れようと準備が進んでいく。
そうやって、私たちの新婚生活は続く。
私の命懸けの後宮生活は鷹宮の真っ直ぐな愛に包まれて進んでいく。
夜が開けたら、また新しい1日が始まる。
できることなら、この人とずっと一緒にいたいと思う。
「俺の妃は花蓮だけ」
きっぱりと言う鷹宮の言葉で私は眠りについた。
ときめきと命を懸けた恋は一緒にやってきた。新緑の季節になれば、私は御咲の国で鷹宮妃選抜の儀を終える。私の第1妃確定は揺るがないものであるが、第2妃の発表が行われるのは間違いない。第3妃は誰なのか、それは私もまだ分からない。
私の後宮での花嫁生活は、予期せぬ展開が続くようだ。
春の宵の恋煩い編完
お読みいただきまして本当にありがとうございました!感謝申し上げます。
2025年4月16日完了しました。他の物語の後日談に着手していますので、お楽しみにお待ちいただければと思います。稚拙な物語にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。サスペンスとラブを混ぜるのは難しいですね。
地図を広げて御咲の国や隣国を旅をする気持ちがあるので、いつかまたお会いできることを楽しみにしております!
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