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2 私を騙す気ですか?
知ったかな姉と女神さま アリス・ブレンジャーSide(1)
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「あら……死んだはずの私がいきなり現れて驚いたの?別に死んでないわよ……信じられないぐらい幸せになっただけよ」
ワイン色の髪を靡かせた女神のように美しい女性が、スケベで破廉恥で愚かな姉のそばにいた。
突如オールドゲート監獄の前に現れた貴族令嬢は、見たこともないほど美しかった。場違いなほど、美しかった。
クリス・オズボーンは悪名高い債務者監獄にぶち込まれたところ、オズボーン公爵家の嘆願で今朝オールドゲート監獄に移送済みだった。どちらも最悪な環境だ。
そのオールドゲート監獄の前で姉を捕まえようとしたジャックと私の目の前に、忽然と姿を現したのがワイン色の髪の美しい女性だった。
――彼女は「女神」さま……?
女性のグリーンアイはとても美しくて「女神」のようだった。姉はブルネットの髪を揺らして走って逃げようとしたが、バシッと「女神」さまに腕を掴まれて立ち止まった。
――闇の力に覚醒した闇術師気取りのお姉様の前に、これほど颯爽と現れた女性は誰なの?
――もしかして……?
私とジャックは道の中央に設けられた馬車乗り場にちょうど降りたったところだった。私たちは立ちすくんだ。
ジャックは女性が誰だかすぐに分かったようで、私が姉の所に走っていくのをすぐさま止めた。
「待って。ここで様子をみよう」
レンガ造りの大きな建物の前で、真っ青な姉とワイン色の髪の女性が向き合っていた。姉の足は不自然に凍りついたかのようにピタリと止まった。
――うわっ!エミリーお姉様なす術なしだわ……。
――もしかして、何かの魔力が働いている?
「し……し……信じられないぐらい幸せなら別にいいじゃない!?」
逆ギレした態度で姉が言い返すと、女神さまは低い声で言った。
「そうはいかないの……あなたがぶち壊してくれた私の婚約だけれど、忘れたとは言わせないわ。でね、今でも私がエイトレンスの女王になる未来が待っていることをご存知かしら?ブレンジャー子爵は27位で、オズボーン公爵は24位。残念だけど、私が20位なの。貴女たちよりこの私が上なのよ。エイトレンスの王妃さまからも言われているのよ。私はザックリードハルトの皇太子妃でありながら、エイトレンスの王位を継げるのよ。機会が来たら絶対に継ぐわ」
「っ!!」
――やっぱりブランドン公爵令嬢ディアーナ様だわ……!
――エミリーお姉様がこんなにオドオドとしているのを初めて見たわ……。
ザックリードハルトの美しい皇太子妃の突然の降臨だった。
――善意のラスボス登場ね……凄まじい魔力を自然発光する彼女がエイトレンスに来たということは、今この瞬間、我が国の魔力量も多少回復したはずよ……。
私はどんな局面でもエイトレンスの魔力量のことが気になる自分に内心呆れた。
――次期王立魔術博物館館長の職位は私のものよ。ならば、どんな時もエイトレンスの魔力量が気になって当然だわ……。
慌ててヴァランシエンヌ・レースを取り出した私は、レース越しに「女神」さまを拝むように眺めた。
――綺麗……眩しいーっ!
――以前より魔力量が増している……?
――今、きっとこのエリアの魔力量は爆上げだわ……。
「貴女は本当にばかね。私が王位継承権を放棄するわけないじゃない。暇を持て余している貴女からすれば信じられないかもしれないけれど、大国ザックリードハルトの皇太子妃は忙しいのよ。でも、忙しくても王位継承権は断じて放棄しないわ。貴女にとっては実に残念なことね」
ふふっと余裕の笑みを浮かべてワイン色の髪をかきあげた元ブランドン公爵令嬢は愚かな姉に囁いた。
イタズラっぽい笑みで、小悪魔のように見える。彼女は愚かな姉に向かって小さく指を振った。
「分かっているわ。だからこそ、あなたは私に打ち勝つために巨大な魔力の塊を集めるしかなかったのよねぇ。可哀想に。国家反逆になるほどの罪を犯して、一体貴女は何をしているのかしら?あんなクズな男のためにかしら?オズボーンは他の女性を愛しているわ……。貴女、いつも他の女性を愛する人を欲っするのかしら?」
――強烈な嫌味だわ……お姉様にもっと言ってやってください!
――オズボーンはガトバン伯爵家のメイドに入れあげて、醜聞を振り撒いているぐらいなのよ。エミリーお姉様なんか眼中にないわよ。お姉様ったら、自分の色気に自惚れるのはいい加減にやめた方がいいわ!
姉のブルネットの髪の束を指にクルクルと巻いて見せて、姉に微笑んでいる隣国の美しい皇太子妃は、凄みのある声で言い放った。
「この貴女の自慢の髪の毛がぜーんぶ無くなっても知らないわよ。知ったかのエミリー、国家反逆罪ってどんな罰かしら……?この建物で裁かれるのかしらね」
姉はサッと後ろのオールドゲート監獄を振り返った。
――クリスがぶち込まれてもまだ、お姉様は自分は捕まらないとでも思っていたの?
「あなた、何もわかっていないわ。誰を相手にしているつもりなのかしら?闇の禁書である『時の書』は私は解読済みなのよ。とっくに私が闇の魔術をマスターしていることも知らないのねぇ。貴女がやっていることは無駄な足掻きなのよ。そして、今や私の夫は8代ぶりに現れた魔法の長椅子を乗りこなす『ブルクトゥアタ』よ。夫は魔力界のスーパースターなのよ。噂好きな貴女のお友達のガトバン伯爵夫人と貴女のどちらも、二度とこの世を拝めなくなるわよ。事態をちゃんと分かっているのかしら?」
姉の顔は真っ青でガタガタと震えていた。刑務所前で、私はとんでもない対決を見せられていた。
――エミリーお姉様は決して敵に回してはならない人を騙したのよ……親友のフリをして婚約者を寝とるなんて事をするからよ!
――「女神」様は決してお姉様をお許しにならないわ……。
ワイン色の髪を靡かせた女神のように美しい女性が、スケベで破廉恥で愚かな姉のそばにいた。
突如オールドゲート監獄の前に現れた貴族令嬢は、見たこともないほど美しかった。場違いなほど、美しかった。
クリス・オズボーンは悪名高い債務者監獄にぶち込まれたところ、オズボーン公爵家の嘆願で今朝オールドゲート監獄に移送済みだった。どちらも最悪な環境だ。
そのオールドゲート監獄の前で姉を捕まえようとしたジャックと私の目の前に、忽然と姿を現したのがワイン色の髪の美しい女性だった。
――彼女は「女神」さま……?
女性のグリーンアイはとても美しくて「女神」のようだった。姉はブルネットの髪を揺らして走って逃げようとしたが、バシッと「女神」さまに腕を掴まれて立ち止まった。
――闇の力に覚醒した闇術師気取りのお姉様の前に、これほど颯爽と現れた女性は誰なの?
――もしかして……?
私とジャックは道の中央に設けられた馬車乗り場にちょうど降りたったところだった。私たちは立ちすくんだ。
ジャックは女性が誰だかすぐに分かったようで、私が姉の所に走っていくのをすぐさま止めた。
「待って。ここで様子をみよう」
レンガ造りの大きな建物の前で、真っ青な姉とワイン色の髪の女性が向き合っていた。姉の足は不自然に凍りついたかのようにピタリと止まった。
――うわっ!エミリーお姉様なす術なしだわ……。
――もしかして、何かの魔力が働いている?
「し……し……信じられないぐらい幸せなら別にいいじゃない!?」
逆ギレした態度で姉が言い返すと、女神さまは低い声で言った。
「そうはいかないの……あなたがぶち壊してくれた私の婚約だけれど、忘れたとは言わせないわ。でね、今でも私がエイトレンスの女王になる未来が待っていることをご存知かしら?ブレンジャー子爵は27位で、オズボーン公爵は24位。残念だけど、私が20位なの。貴女たちよりこの私が上なのよ。エイトレンスの王妃さまからも言われているのよ。私はザックリードハルトの皇太子妃でありながら、エイトレンスの王位を継げるのよ。機会が来たら絶対に継ぐわ」
「っ!!」
――やっぱりブランドン公爵令嬢ディアーナ様だわ……!
――エミリーお姉様がこんなにオドオドとしているのを初めて見たわ……。
ザックリードハルトの美しい皇太子妃の突然の降臨だった。
――善意のラスボス登場ね……凄まじい魔力を自然発光する彼女がエイトレンスに来たということは、今この瞬間、我が国の魔力量も多少回復したはずよ……。
私はどんな局面でもエイトレンスの魔力量のことが気になる自分に内心呆れた。
――次期王立魔術博物館館長の職位は私のものよ。ならば、どんな時もエイトレンスの魔力量が気になって当然だわ……。
慌ててヴァランシエンヌ・レースを取り出した私は、レース越しに「女神」さまを拝むように眺めた。
――綺麗……眩しいーっ!
――以前より魔力量が増している……?
――今、きっとこのエリアの魔力量は爆上げだわ……。
「貴女は本当にばかね。私が王位継承権を放棄するわけないじゃない。暇を持て余している貴女からすれば信じられないかもしれないけれど、大国ザックリードハルトの皇太子妃は忙しいのよ。でも、忙しくても王位継承権は断じて放棄しないわ。貴女にとっては実に残念なことね」
ふふっと余裕の笑みを浮かべてワイン色の髪をかきあげた元ブランドン公爵令嬢は愚かな姉に囁いた。
イタズラっぽい笑みで、小悪魔のように見える。彼女は愚かな姉に向かって小さく指を振った。
「分かっているわ。だからこそ、あなたは私に打ち勝つために巨大な魔力の塊を集めるしかなかったのよねぇ。可哀想に。国家反逆になるほどの罪を犯して、一体貴女は何をしているのかしら?あんなクズな男のためにかしら?オズボーンは他の女性を愛しているわ……。貴女、いつも他の女性を愛する人を欲っするのかしら?」
――強烈な嫌味だわ……お姉様にもっと言ってやってください!
――オズボーンはガトバン伯爵家のメイドに入れあげて、醜聞を振り撒いているぐらいなのよ。エミリーお姉様なんか眼中にないわよ。お姉様ったら、自分の色気に自惚れるのはいい加減にやめた方がいいわ!
姉のブルネットの髪の束を指にクルクルと巻いて見せて、姉に微笑んでいる隣国の美しい皇太子妃は、凄みのある声で言い放った。
「この貴女の自慢の髪の毛がぜーんぶ無くなっても知らないわよ。知ったかのエミリー、国家反逆罪ってどんな罰かしら……?この建物で裁かれるのかしらね」
姉はサッと後ろのオールドゲート監獄を振り返った。
――クリスがぶち込まれてもまだ、お姉様は自分は捕まらないとでも思っていたの?
「あなた、何もわかっていないわ。誰を相手にしているつもりなのかしら?闇の禁書である『時の書』は私は解読済みなのよ。とっくに私が闇の魔術をマスターしていることも知らないのねぇ。貴女がやっていることは無駄な足掻きなのよ。そして、今や私の夫は8代ぶりに現れた魔法の長椅子を乗りこなす『ブルクトゥアタ』よ。夫は魔力界のスーパースターなのよ。噂好きな貴女のお友達のガトバン伯爵夫人と貴女のどちらも、二度とこの世を拝めなくなるわよ。事態をちゃんと分かっているのかしら?」
姉の顔は真っ青でガタガタと震えていた。刑務所前で、私はとんでもない対決を見せられていた。
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