35 / 51
2 私を騙す気ですか?
婚約発表はするのですか?(4)
しおりを挟む
「きゃーっ!アルベルト王太子様がフローラ嬢を送っていらっしゃいましたわ!」
「素敵ー!」
「見て見て、指輪をなさってらっしゃるわ!」
若いレディたちの盛大な歓声に私たちは迎えられて、私は一気に恥ずかしくなった。
「はい!皆様!ちょっと通してくださいね」
ジャックが張り切って道を開けようとしてくれていた。
ジャックの顔も事態に引き攣ってはいるが、余計な混乱を与えないために事情を誰にも話していないようだ。
「行こう、堂々として」
アルベルト王太子に囁かれた私は小さくうなずいた。
私たちはレディたちにもみくちゃにされそうになりながら、聖ケスナータリマーガレット第一女子学院の本館に入った。
そこからは2人で走るようにしてブランドン公爵令嬢の研究メモが保管されている特別室まで行った。
「シャーロット手伝って!」
「ジャックも手伝ってくれ!」
私たちは後ろからついてくるシャーロットとジャックを振り替えってお願いして、王太子特権で鍵を入手できた特別室に入った。
荒い息を整えていると、黒髪の女性が見えた。
そこにはすでに先着がいたのだ。
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が死に物狂いで何かを探していた。彼女は黒髪で、グリーンの瞳だ。実に神秘的な美しさのある顔立ちだ。
「フローラ嬢!?あなたも気づいたのね。さすがだわ!」
「アリス!?」
「じゃ、ここは任せるわ。ブランドン公爵令嬢が記した魔力の解除方法を探して!偽の魔力の作り方は分かったから!」
旋風のように部屋を飛び出したアリス・ブレンジャー子爵令嬢は急いで戻ってきた。
「アルベルト王太子様、護衛を何人か貸してくれないかしら?エミリーお姉さまがクリスを釈放しようとして魔力を使うわ!私はそれを食い止めて見せるわ!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢の言葉にアルベルト王太子はすぐさま応じた。
「ジャック、ここはいいから彼女を手伝ってくれ!何人か連れて行ってくれて構わない」
アリスはふっと笑った。
「あなた、心を入れ替えたのね。姉の悪魔の囁きから逃れたみたいね。でも、私はザックリードハルトのルイ皇太子推しだからー!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が風のように立ち去ったので、最後の言葉は微かに聞こえるぐらいだったが、氷の貴公子は途端にムッとした顔になった。
「フローラ、君を生涯大切にするよ。ルイは確かにいい男ですごいイケメンだが……とにかく彼には俺も負けないつもりだから」
彫刻のような美貌を誇る彼が真顔で私に近づいていうので、私は小さく「はい」とうなずくしかなかった。たじたじとなった私に、シャーロットが横から声をかけた。
彼女は相変わらずもぐもぐ何かを食べていたが、特別室に入ってからは、何も口にしていないし、手も綺麗に洗ったようだ。
「お嬢さまぁ!見つけましたぁ!」
シャーロットのフルーツを隠し持ったバスケットの影に魔力箱詰虫の解剖図を見つけた私は踊りあがった。シャーロットは手にヒラヒラと何か紙の束を持って振っている。
「1874年2月15日の研究記録。この方法で仕掛けた魔法を解く鍵をここに記す。大量の魔力が必要とするが……はいぃ、これはブランドン公爵令嬢の名前がありますから、これだと思います」
――17歳ぐらいのブランドン公爵令嬢の研究記録だわ。
「シャーロット、でかしたぞ!」
氷の貴公子はシャーロットを笑顔で誉めた。
「えへ……」
シャーロットは喜びのあまりに体をくねくねとさせている。
「お嬢様とアルベルト様の結婚発表は新聞に載りますか?」
シャーロットの問いかけに、私は顔が真っ赤になった。
「の……載る!もちろんだ!君も一緒にジャックと一緒に写真を撮ろう!」
アルベルト王太子の言葉にシャーロットのまあるいほっぺは引き攣った。
「違うの、違うの。シャーロット、新聞には載せないけれど、シャーロットのお国のお母様に贈る写真のことをアルベルト様はおっしゃっているのよ」
私は慌てて2人の間に入り、シャーロットの持っている紙の束を受け取った。私の言葉に驚いたシャーロットはパァッと顔を輝かせた。
「はいぃ!是非にお願いします!フローラお嬢さまと私の写真……」
「そうよ。ありがとう。見つけてくれたから、お礼にたくさんのフルーツをまた用意してもらうわね」
シャーロットはフルーツを隠し持ったバスケットと、ついでにその横にある機械的な精巧図形のような魔力箱詰虫の解剖図を手に取った。
「こちらもどうぞ。時計みたいですが、魔力で動く何かみたいですから」
「そうよ、これを探していたの、ありがとう」
シャーロットと私は微笑み合い、こっそりシャーロットに私は囁かれた。
「素敵な旦那さまになりそうですね!フローラお嬢さま!」
私はその言葉に真っ赤になって照れてしまった。
「そ……そうなの……ありがとう」
アルベルト王太子は私たちのやりとりが聞こえたのか、耳まで真っ赤になっていた。
「さあ、2人とも時間がないぞ。トケーズ川上空にあるものを本来あるべき場所に戻して、魔力箱詰虫のゼンマイを撒き直そう」
クシャクシャのブロンドヘアを無造作にかきあげたアルベルト王太子は、真っ赤な顔でキッパリと言い切った。
「素敵ー!」
「見て見て、指輪をなさってらっしゃるわ!」
若いレディたちの盛大な歓声に私たちは迎えられて、私は一気に恥ずかしくなった。
「はい!皆様!ちょっと通してくださいね」
ジャックが張り切って道を開けようとしてくれていた。
ジャックの顔も事態に引き攣ってはいるが、余計な混乱を与えないために事情を誰にも話していないようだ。
「行こう、堂々として」
アルベルト王太子に囁かれた私は小さくうなずいた。
私たちはレディたちにもみくちゃにされそうになりながら、聖ケスナータリマーガレット第一女子学院の本館に入った。
そこからは2人で走るようにしてブランドン公爵令嬢の研究メモが保管されている特別室まで行った。
「シャーロット手伝って!」
「ジャックも手伝ってくれ!」
私たちは後ろからついてくるシャーロットとジャックを振り替えってお願いして、王太子特権で鍵を入手できた特別室に入った。
荒い息を整えていると、黒髪の女性が見えた。
そこにはすでに先着がいたのだ。
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が死に物狂いで何かを探していた。彼女は黒髪で、グリーンの瞳だ。実に神秘的な美しさのある顔立ちだ。
「フローラ嬢!?あなたも気づいたのね。さすがだわ!」
「アリス!?」
「じゃ、ここは任せるわ。ブランドン公爵令嬢が記した魔力の解除方法を探して!偽の魔力の作り方は分かったから!」
旋風のように部屋を飛び出したアリス・ブレンジャー子爵令嬢は急いで戻ってきた。
「アルベルト王太子様、護衛を何人か貸してくれないかしら?エミリーお姉さまがクリスを釈放しようとして魔力を使うわ!私はそれを食い止めて見せるわ!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢の言葉にアルベルト王太子はすぐさま応じた。
「ジャック、ここはいいから彼女を手伝ってくれ!何人か連れて行ってくれて構わない」
アリスはふっと笑った。
「あなた、心を入れ替えたのね。姉の悪魔の囁きから逃れたみたいね。でも、私はザックリードハルトのルイ皇太子推しだからー!」
アリス・ブレンジャー子爵令嬢が風のように立ち去ったので、最後の言葉は微かに聞こえるぐらいだったが、氷の貴公子は途端にムッとした顔になった。
「フローラ、君を生涯大切にするよ。ルイは確かにいい男ですごいイケメンだが……とにかく彼には俺も負けないつもりだから」
彫刻のような美貌を誇る彼が真顔で私に近づいていうので、私は小さく「はい」とうなずくしかなかった。たじたじとなった私に、シャーロットが横から声をかけた。
彼女は相変わらずもぐもぐ何かを食べていたが、特別室に入ってからは、何も口にしていないし、手も綺麗に洗ったようだ。
「お嬢さまぁ!見つけましたぁ!」
シャーロットのフルーツを隠し持ったバスケットの影に魔力箱詰虫の解剖図を見つけた私は踊りあがった。シャーロットは手にヒラヒラと何か紙の束を持って振っている。
「1874年2月15日の研究記録。この方法で仕掛けた魔法を解く鍵をここに記す。大量の魔力が必要とするが……はいぃ、これはブランドン公爵令嬢の名前がありますから、これだと思います」
――17歳ぐらいのブランドン公爵令嬢の研究記録だわ。
「シャーロット、でかしたぞ!」
氷の貴公子はシャーロットを笑顔で誉めた。
「えへ……」
シャーロットは喜びのあまりに体をくねくねとさせている。
「お嬢様とアルベルト様の結婚発表は新聞に載りますか?」
シャーロットの問いかけに、私は顔が真っ赤になった。
「の……載る!もちろんだ!君も一緒にジャックと一緒に写真を撮ろう!」
アルベルト王太子の言葉にシャーロットのまあるいほっぺは引き攣った。
「違うの、違うの。シャーロット、新聞には載せないけれど、シャーロットのお国のお母様に贈る写真のことをアルベルト様はおっしゃっているのよ」
私は慌てて2人の間に入り、シャーロットの持っている紙の束を受け取った。私の言葉に驚いたシャーロットはパァッと顔を輝かせた。
「はいぃ!是非にお願いします!フローラお嬢さまと私の写真……」
「そうよ。ありがとう。見つけてくれたから、お礼にたくさんのフルーツをまた用意してもらうわね」
シャーロットはフルーツを隠し持ったバスケットと、ついでにその横にある機械的な精巧図形のような魔力箱詰虫の解剖図を手に取った。
「こちらもどうぞ。時計みたいですが、魔力で動く何かみたいですから」
「そうよ、これを探していたの、ありがとう」
シャーロットと私は微笑み合い、こっそりシャーロットに私は囁かれた。
「素敵な旦那さまになりそうですね!フローラお嬢さま!」
私はその言葉に真っ赤になって照れてしまった。
「そ……そうなの……ありがとう」
アルベルト王太子は私たちのやりとりが聞こえたのか、耳まで真っ赤になっていた。
「さあ、2人とも時間がないぞ。トケーズ川上空にあるものを本来あるべき場所に戻して、魔力箱詰虫のゼンマイを撒き直そう」
クシャクシャのブロンドヘアを無造作にかきあげたアルベルト王太子は、真っ赤な顔でキッパリと言い切った。
622
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
売られた先は潔癖侯爵とその弟でした
しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ルビーナの元に縁談が来た。
潔癖で有名な25歳の侯爵である。
多額の援助と引き換えに嫁ぐことになった。
お飾りの嫁になる覚悟のもと、嫁いだ先でのありえない生活に流されて順応するお話です。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
犬猿の仲の政略結婚なのに、旦那様が別れてくれません。
屋月 トム伽
恋愛
没落寸前のせいで、次の爵位を継ぐ者が次から次へと放棄していき、縁談すらもない没落寸前のウォールヘイト伯爵家の最後の一人になったティアナ。仕方なく殿下に縁談をお願いすると、犬猿の仲のセルシスフィート伯爵家の次期伯爵ウォルト様との結婚が決ってしまった。
しかし、、ウォルト様の父であるセルシスフィート伯爵がティアナに提案してきたのは、三年だけの結婚。結婚相手の次期セルシスフィート伯爵であるウォルト様は、隣国に旅立ってしまい、不在のままでの一人結婚生活が始まった。
それから、一年以上過ぎると、急遽隣国から帰還したウォルト様。彼は、結婚生活を続けてほしいと提案してきて……。
※カクヨム様では完結済み
【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています
金峯蓮華
恋愛
ヴィオレッタは幼い頃から婚約していた第2王子から真実の愛を見つけたと言って、婚約を解消された。
大嫌いな第2王子と結婚しなくていいとバンザイ三唱していたら、今度は年の離れた。筆頭公爵家の嫡男と婚約させられた。
のんびり過ごしたかったけど、公爵夫妻と両親は仲良しだし、ヴィオレッタのことも可愛がってくれている。まぁいいかと婚約者生活を過ごしていた。
ヴィオレッタは婚約者がプチヤンデレなことには全く気がついてなかった。
そんな天然気味のヴィオレッタとヴィオレッタ命のプチヤンデレユリウスの緩い恋の物語です。
ゆるふわな設定です。
暢気な主人公がハイスペプチヤンデレ男子に溺愛されます。
R15は保険です。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】
日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。
偶然同じ集合住宅の同じ階に住んでいるだけなのに、有名な美形魔法使いに付き纏いする熱烈なファンだと完全に勘違いされていた私のあやまり。
待鳥園子
恋愛
同じ集合住宅で同じ階に住んでいた美形魔法使い。たまに帰り道が一緒になるだけなんだけど、絶対あの人私を熱烈な迷惑ファンだと勘違いしてる!
誤解を解きたくても、嫌がられて避けられている気もするし……と思っていたら、彼の部屋に連れ込まれて良くわからない事態になった話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる