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第一章
皇后からの贈り物
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川沿いの美しい城で素晴らしい朝を迎えた私は、朝食の時間の前に城の庭園を夫と散歩した後に、騎士団と一緒に少し鍛錬をした。キラキラと輝く川面に太陽が反射して、城下には美しい眺めが広がっていた。今日も良い天気になりそうだと皆で話していると、城主が朝食の準備ができたと呼びにきてくれた。
「皆様、朝が早いのですね。さあ、腕によりをかけて準備しましたので、どうぞどうぞ」
城主は晴れやかな笑顔で私たちに朝の挨拶をしてくれた。
「ありがとう」
ラファエルはそう城主に告げると、私の手をとった。城主の案内に従って朝食の席に出向くと、豪華な朝食が待ち構えていた。
「まあ、素敵だわ。果物を沢山用意してくださったのね。こちらは貴重なオレンジですね!」
「えぇ。昨晩はよく眠れましたでしょうか」
「おかげさまでぐっすりと眠れましたわ」
この時代に伝わったオレンジの木を囲んで冬越しさせる温室オランジェリーの先駆けの施設がベルタの城にはあった。貴族の間で少しずつ流行り始めていたものだ。フランリヨンドのオットー陛下の宮殿にもあった。
ベアトリスとジュリア、騎士は別の部屋で朝食を用意されていて、ラファエルと私と城主と城主の奥方、14歳の娘の五人で朝食を食べた。
「ロザーラ、あなたの髪はストロベリーブロンドね」
さっきから私の髪をしげしげと見つめていた14歳の娘が突然私に言った。
「え?」
「ブロンドだけれども、今、私の席からあなたを見ると、ストロベリーブロンドだわ。少し赤みが入っているブロンドよ。とても綺麗だわ」
14歳の娘の名はアルベルティーネと言った。とてもお洒落が好きな令嬢だった。
「アルベルティーネ、初めて言われたわ。でもありがとう」
「珍しい髪色だから。あなたの髪の色の人は私は初めて見たの。お母様もお父様も初めてよね?」
「ああ、そうよね。私も初めてお目にかかったわ。とても珍しくて美しいと思うわ」
「私も初めて見たよ。その言葉も初めて聞いた。美しい髪だ」
令嬢と城主と奥方は仲良く私の髪の色を褒めそやしてくれた。私の姉の髪も同じ色だし、私の母もそうだ。私自身はただのブロンドだと思っていたので、三人にとつぜんそう言われて驚いた。
「私は似た色の髪の毛を見たことがある。ジークベインリードハルトのおばあ様は同じ色の髪だったと思う。私の父の母上だ」
「そうなのね」
「あぁ確かに、皇后様の髪の色は似ていた気がする。ただ、もっと赤みは少なかったと思うけれど」
ラファエルと城主が懐かしそうな目をしてそうつぶやいた。
「まあ、城主様もジークベインリードハルトの皇后様にお会いしたことがあるのですね」
「はい、昔、ここに宿泊されたのですよ」
「えぇそうなんですか?」
私は城主の話に驚いた。
「8年ほど前に一度いらして、孫が泊まりにきたら丁重にもてなしてくれと頼まれて宝石を預けて行かれました」
「私もおばあ様からの手紙に書いてあったことを思い出したのです。『何か困ったことがあったらこちらの城に助けを求めなさい』と。そう書いてあったことをふと思い出して、昨晩こちらを訪問したのです」
城主とラファエルは互いを見つめながら、昨日の出来事に対する状況を説明した。
私は、なぜ突然ラファエルが夜のベルタの街を歩いてこの城にやってきたのかようやく理解した。また、城主の温かい歓迎っぷりの理由も理解したのだ。
「宝石?」
ファラエルは驚いたように言った。
「ええ、そうなのですよ。ミルタ?私の宝石箱を持ってきてくださるかしら?」
「わかりました、奥様」
奥方はにっこりと微笑んで、そばにいた侍女にお願いをした。
「おばあ様はこの川沿いの城をいくつか名前を告げて、困ったら行きなさいと手紙に書いていたんだ」
「まぁ……」
私が驚いていると、14歳のアルベルティーネもラファエルに微笑んだ。
「私も覚えているわ。6歳の時に素敵なおばあ様がいらしたの。孫を内緒で見にきたのよって仰ってました。あなたのことね、きっと」
「孫を内緒で?」
ラファエルも初耳だったらしく、驚いた。
「そうなんですよ。あなたの様子をこっそり見にいらしたらしいわ。陛下はご存じで、皇后様にあなたの様子を遠くから見せてくれたんですって。それはそれは嬉しそうに話されていたわ」
奥方は侍女が持ってきた宝石箱から小さな一つの箱を取り出して、ラファエルのところまで立ってやってきてそっとラファエルの席の横に置いた。
「おばあ様からですよ。8年前に預かりましたわ」
ファラエルは驚いた様子でその小さな箱を開けた。中には美しい光を放つダイヤモンドが入っていた。
「領地に戻ったらこれを磨いてもらおう」
ファラエルは私に告げた。
「おばあ様は私にこれを受け取って欲しかったんだな」
ファラエルは感慨深そうにつぶやいた。
「8年前のものをとっていてくださって本当にありがとうございます。また昨日泊めていただき、こんなに心地よくもてなしてくださって、本当に有り難く思っています」
「いえいえ。お会いできて良かったです」
「ええ、良かったですわ」
「私もストロベリーブロンドの花嫁さんにお会いできて、嬉しかったです!リシェール伯爵もとても素敵な方ですし」
城主、奥方、14歳のアルベルティーネがにこやかに私たちに言ってくれた。
「これはおばあ様からの結婚祝いだ。ロザーラ、領地でとびっきり腕の良い職人に研磨してもらったら、これは君にあげよう」
「え……良いのでしょうか」
「私がロザーラにあげたいのだ。おばあ様もきっと喜んでくれる」
「ありがとうございます」
私は思いがけないラファエルの言葉にとても驚いて嬉しく思った。
「ピカピカに磨いてもらおう」
ラファエルは本当に嬉しそうだった。はるばる隣国から、おばあ様が8年前に自分の様子をこっそり見に来たと知って、とても嬉しかったのだろう。
「馬で陸路を進んでいたら知ることができなかったことだ。そういう意味でもロザーラ、君に感謝するよ」
私はそっとラファエルにささやかれた。
――いえ、私はただ死を回避しようとしただけですけれども……。
私は黙って微笑み返した。
「おばあ様は贈り物を今年送ってくれたのよ」
アルベルティーネの言葉に私たちは彼女を見つめた。
「ええ、そうなんですよ。ミルタ?何度も申し訳ないのだけれども、いただいたアルベルティーネのドレスを持ってきてくれるかしら?」
侍女が持ってきてくれたのは、レティシアが着ていたのと同じ加工生地でできたアルベルティーネのドレスだった。
「生地が違いますわね」
「そうなんでございますの。ジークベインリードハルトでは流行っているらしいのですよ。素敵でございますよね」
奥方は目を細めて嬉しそうにドレスを見せてくれた。
「この加工生地を作りたいのですわ」
「これを?」
「もしかすると、皇后様にご連絡してみたらいかがでしょう。ラファエル様からご連絡すると嬉しいでしょうし、加工生地の作り方について良いアドバイスをくださるかもしれません」
奥方は私の言葉に驚いたが、城主は冷静に助言してくれた。
「そうしてみます。ロザーラ、おばあ様に連絡してみるよ」
後に振り返ると、この時、ベルタの城の朝食は大変な功績を生み出すきっかけになっていた。リシェール伯爵の領地の宝石職人は、おばあ様の宝石を磨くための特別な剣魔法を見つけた。ラファエルが祖母に書いた手紙がきっかけで、原料から加工生地を作り出す方法を教わることができた。
レティシアに関する次の言葉がなければ、私はもっと幸福感が続いたのだと思う。
「そういえば、手紙にはレティシア令嬢のことが書いてあったわ。一緒に私のドレスを選んでくださったんですって」
無邪気にアルベルティーネが言った言葉に私は絶句した。
奥方が小さくアルベルティーネに黙るように合図をしたのを、私は目の端で捉えた。
――そうか。レティシアのことをみんな知っているのね。ラファエルのおばあ様が贈り物のドレスを一緒に選ぶとは、ラファエルの家族に相当食い込んでいるのね。
――ラファエルのおばあ様は、自分の宝石をラファエルに渡して、レティシアに渡すだろうと考えて、このような親切なことをしてくださっているということなのかしら?
私は昼食の果物を呆然と口に運びながら、考え込んでしまった。
次の河辺の街に今日中に辿りつくには、もう船に乗って出発しなければならない時間だろう。私は心の中で大きく深呼吸をしてなんでもないことのように言った。
「あなた、そろそろお暇しないと日没までに目的の街までつけるかわからなくなりますわね」
私はレティシアの話題から一刻も早く逃れたくて、城を早く立ちたくなったのだ。
――私のやるべきことは生き延びることだ。恋のライバルに心を振り回されている場合ではない。レティシアは私の夫を奪おうとして祖母にまでも取り入っているようだけれども、私を殺そうとでもしない限りは今は気にしない方が良いわ。心の底から嫉妬心に振り回されたら、生き延びることに集中できないから。
――でも死神さま。天使のように美しくて魅惑的な女性なのです……生き延びることに集中しないとならないのに、嫉妬にかられてしまうのです。
私は朝食の席を立ちながら、あのプラチナブロンドのレティシアを思い出して、頭を抱えてしまいそうだった。
ベルタの庭の豪華なオランジェリーの隅で美しい赤い薔薇が咲いていた。薔薇の極めて高貴な佇まいがレティシアに見えてしまった。没落令嬢の私は野に咲くノースボールだろうか。
私はノースボールも好きよと自分につぶやいた。
「皆様、朝が早いのですね。さあ、腕によりをかけて準備しましたので、どうぞどうぞ」
城主は晴れやかな笑顔で私たちに朝の挨拶をしてくれた。
「ありがとう」
ラファエルはそう城主に告げると、私の手をとった。城主の案内に従って朝食の席に出向くと、豪華な朝食が待ち構えていた。
「まあ、素敵だわ。果物を沢山用意してくださったのね。こちらは貴重なオレンジですね!」
「えぇ。昨晩はよく眠れましたでしょうか」
「おかげさまでぐっすりと眠れましたわ」
この時代に伝わったオレンジの木を囲んで冬越しさせる温室オランジェリーの先駆けの施設がベルタの城にはあった。貴族の間で少しずつ流行り始めていたものだ。フランリヨンドのオットー陛下の宮殿にもあった。
ベアトリスとジュリア、騎士は別の部屋で朝食を用意されていて、ラファエルと私と城主と城主の奥方、14歳の娘の五人で朝食を食べた。
「ロザーラ、あなたの髪はストロベリーブロンドね」
さっきから私の髪をしげしげと見つめていた14歳の娘が突然私に言った。
「え?」
「ブロンドだけれども、今、私の席からあなたを見ると、ストロベリーブロンドだわ。少し赤みが入っているブロンドよ。とても綺麗だわ」
14歳の娘の名はアルベルティーネと言った。とてもお洒落が好きな令嬢だった。
「アルベルティーネ、初めて言われたわ。でもありがとう」
「珍しい髪色だから。あなたの髪の色の人は私は初めて見たの。お母様もお父様も初めてよね?」
「ああ、そうよね。私も初めてお目にかかったわ。とても珍しくて美しいと思うわ」
「私も初めて見たよ。その言葉も初めて聞いた。美しい髪だ」
令嬢と城主と奥方は仲良く私の髪の色を褒めそやしてくれた。私の姉の髪も同じ色だし、私の母もそうだ。私自身はただのブロンドだと思っていたので、三人にとつぜんそう言われて驚いた。
「私は似た色の髪の毛を見たことがある。ジークベインリードハルトのおばあ様は同じ色の髪だったと思う。私の父の母上だ」
「そうなのね」
「あぁ確かに、皇后様の髪の色は似ていた気がする。ただ、もっと赤みは少なかったと思うけれど」
ラファエルと城主が懐かしそうな目をしてそうつぶやいた。
「まあ、城主様もジークベインリードハルトの皇后様にお会いしたことがあるのですね」
「はい、昔、ここに宿泊されたのですよ」
「えぇそうなんですか?」
私は城主の話に驚いた。
「8年ほど前に一度いらして、孫が泊まりにきたら丁重にもてなしてくれと頼まれて宝石を預けて行かれました」
「私もおばあ様からの手紙に書いてあったことを思い出したのです。『何か困ったことがあったらこちらの城に助けを求めなさい』と。そう書いてあったことをふと思い出して、昨晩こちらを訪問したのです」
城主とラファエルは互いを見つめながら、昨日の出来事に対する状況を説明した。
私は、なぜ突然ラファエルが夜のベルタの街を歩いてこの城にやってきたのかようやく理解した。また、城主の温かい歓迎っぷりの理由も理解したのだ。
「宝石?」
ファラエルは驚いたように言った。
「ええ、そうなのですよ。ミルタ?私の宝石箱を持ってきてくださるかしら?」
「わかりました、奥様」
奥方はにっこりと微笑んで、そばにいた侍女にお願いをした。
「おばあ様はこの川沿いの城をいくつか名前を告げて、困ったら行きなさいと手紙に書いていたんだ」
「まぁ……」
私が驚いていると、14歳のアルベルティーネもラファエルに微笑んだ。
「私も覚えているわ。6歳の時に素敵なおばあ様がいらしたの。孫を内緒で見にきたのよって仰ってました。あなたのことね、きっと」
「孫を内緒で?」
ラファエルも初耳だったらしく、驚いた。
「そうなんですよ。あなたの様子をこっそり見にいらしたらしいわ。陛下はご存じで、皇后様にあなたの様子を遠くから見せてくれたんですって。それはそれは嬉しそうに話されていたわ」
奥方は侍女が持ってきた宝石箱から小さな一つの箱を取り出して、ラファエルのところまで立ってやってきてそっとラファエルの席の横に置いた。
「おばあ様からですよ。8年前に預かりましたわ」
ファラエルは驚いた様子でその小さな箱を開けた。中には美しい光を放つダイヤモンドが入っていた。
「領地に戻ったらこれを磨いてもらおう」
ファラエルは私に告げた。
「おばあ様は私にこれを受け取って欲しかったんだな」
ファラエルは感慨深そうにつぶやいた。
「8年前のものをとっていてくださって本当にありがとうございます。また昨日泊めていただき、こんなに心地よくもてなしてくださって、本当に有り難く思っています」
「いえいえ。お会いできて良かったです」
「ええ、良かったですわ」
「私もストロベリーブロンドの花嫁さんにお会いできて、嬉しかったです!リシェール伯爵もとても素敵な方ですし」
城主、奥方、14歳のアルベルティーネがにこやかに私たちに言ってくれた。
「これはおばあ様からの結婚祝いだ。ロザーラ、領地でとびっきり腕の良い職人に研磨してもらったら、これは君にあげよう」
「え……良いのでしょうか」
「私がロザーラにあげたいのだ。おばあ様もきっと喜んでくれる」
「ありがとうございます」
私は思いがけないラファエルの言葉にとても驚いて嬉しく思った。
「ピカピカに磨いてもらおう」
ラファエルは本当に嬉しそうだった。はるばる隣国から、おばあ様が8年前に自分の様子をこっそり見に来たと知って、とても嬉しかったのだろう。
「馬で陸路を進んでいたら知ることができなかったことだ。そういう意味でもロザーラ、君に感謝するよ」
私はそっとラファエルにささやかれた。
――いえ、私はただ死を回避しようとしただけですけれども……。
私は黙って微笑み返した。
「おばあ様は贈り物を今年送ってくれたのよ」
アルベルティーネの言葉に私たちは彼女を見つめた。
「ええ、そうなんですよ。ミルタ?何度も申し訳ないのだけれども、いただいたアルベルティーネのドレスを持ってきてくれるかしら?」
侍女が持ってきてくれたのは、レティシアが着ていたのと同じ加工生地でできたアルベルティーネのドレスだった。
「生地が違いますわね」
「そうなんでございますの。ジークベインリードハルトでは流行っているらしいのですよ。素敵でございますよね」
奥方は目を細めて嬉しそうにドレスを見せてくれた。
「この加工生地を作りたいのですわ」
「これを?」
「もしかすると、皇后様にご連絡してみたらいかがでしょう。ラファエル様からご連絡すると嬉しいでしょうし、加工生地の作り方について良いアドバイスをくださるかもしれません」
奥方は私の言葉に驚いたが、城主は冷静に助言してくれた。
「そうしてみます。ロザーラ、おばあ様に連絡してみるよ」
後に振り返ると、この時、ベルタの城の朝食は大変な功績を生み出すきっかけになっていた。リシェール伯爵の領地の宝石職人は、おばあ様の宝石を磨くための特別な剣魔法を見つけた。ラファエルが祖母に書いた手紙がきっかけで、原料から加工生地を作り出す方法を教わることができた。
レティシアに関する次の言葉がなければ、私はもっと幸福感が続いたのだと思う。
「そういえば、手紙にはレティシア令嬢のことが書いてあったわ。一緒に私のドレスを選んでくださったんですって」
無邪気にアルベルティーネが言った言葉に私は絶句した。
奥方が小さくアルベルティーネに黙るように合図をしたのを、私は目の端で捉えた。
――そうか。レティシアのことをみんな知っているのね。ラファエルのおばあ様が贈り物のドレスを一緒に選ぶとは、ラファエルの家族に相当食い込んでいるのね。
――ラファエルのおばあ様は、自分の宝石をラファエルに渡して、レティシアに渡すだろうと考えて、このような親切なことをしてくださっているということなのかしら?
私は昼食の果物を呆然と口に運びながら、考え込んでしまった。
次の河辺の街に今日中に辿りつくには、もう船に乗って出発しなければならない時間だろう。私は心の中で大きく深呼吸をしてなんでもないことのように言った。
「あなた、そろそろお暇しないと日没までに目的の街までつけるかわからなくなりますわね」
私はレティシアの話題から一刻も早く逃れたくて、城を早く立ちたくなったのだ。
――私のやるべきことは生き延びることだ。恋のライバルに心を振り回されている場合ではない。レティシアは私の夫を奪おうとして祖母にまでも取り入っているようだけれども、私を殺そうとでもしない限りは今は気にしない方が良いわ。心の底から嫉妬心に振り回されたら、生き延びることに集中できないから。
――でも死神さま。天使のように美しくて魅惑的な女性なのです……生き延びることに集中しないとならないのに、嫉妬にかられてしまうのです。
私は朝食の席を立ちながら、あのプラチナブロンドのレティシアを思い出して、頭を抱えてしまいそうだった。
ベルタの庭の豪華なオランジェリーの隅で美しい赤い薔薇が咲いていた。薔薇の極めて高貴な佇まいがレティシアに見えてしまった。没落令嬢の私は野に咲くノースボールだろうか。
私はノースボールも好きよと自分につぶやいた。
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