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第二章
リシェール伯爵領
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私たちは城の窓から雪を被った薬草園、菜園、幾何学模様の庭を見下ろした。窓の外は雪が降ったり止んだりし続けているのが見える。先程、暖かい湯をもらい、体の芯まで冷え切った体をポカポカに温めてることができた。暖炉には赤々と薪が焚べられて、部屋でワインと美味しい食事を提供してもらった。
昨日の朝早くにジークベインリードハルトの都を出発した私たちは、コンラート地方に向かって進み続けた。
はらはらと雪が降ってくる中、木も野も真っ白に染まった荒野を進んだ。リーデンマルク川沿いに立つ城に泊めてもらった。城主は雪の中突然押しかけてきた私たちに迷惑そうな表情だったが、リシェール伯とケネス王子だとわかると泊めてくれた。
私たちは木の城門を開けてもらい、城内の暖かい暖炉のある部屋に案内された。今までと違って、城主から皇后の手紙は渡されなかった。
私たちは顔を見合わせてほっとして笑いあった。もし渡されたらどうしようと少しドキドキしていたのだ。もう皇帝選抜の旅の謎解きは終わったのだ。
私の心は雪が降ると、死を迎えた日を思い出す。どうしても納得いかない思いに溢れて飲み込まれそうになる。死を迎えてしまった時の悔しさはそう簡単には消えないのだと思う。
頭の中にあるのは、オリオン座のストーンサークルを草原で見つめていた光景と降ってきそうな程の星の中で一際輝く星の姿だ。数々の危機を皆で乗り越えながら、ワクワクもドキドキするような旅をして、熱い恋に落ちたこともだ。
死神さまがチャンスをくれた。そのことを忘れないように、マクシムス皇帝に感謝して生きよう。
私たちは雪降る中で暖かい城に泊めてもらってその晩はぐっすり眠った。空には星が一つも見えなかった。
翌朝、城で朝食を食べて、城主に感謝と別れを告げてコンラート地方に出発した。
雪が積もった道を馬を引いてひたすら歩く。ドサっと木の枝から白い雪の塊が落ちてきて、レティシアとケネスが悲鳴をあげて笑い転げた。
私とラファエルは振り返って二人を笑った。
一昨日の朝早くに、ジークベインリードハルトの都を出発した私たちは都に戻ってきた皇后と入れ替わるようにコンラート地方に向けて出発した。
陸路を進んでいて一度リシェール伯爵に戻ってから都に着いた騎士たちも、辺境伯のリシェール伯爵領についてきてくれていた。
私の夫は特別だ。私は息を弾ませて、夫の後を追った。夫が振り返って私に微笑みかけた。私を見つめるまなざしにこれほど胸がときめき、微笑みが思わず溢れてしまう。
はく息が白い。ふと気づくと、私の前を歩くラファエルと、リシェール伯爵領地から出迎えにやってきた騎士たちが合流していた。道の真ん中で互いに抱きしめあって無事を喜んでいる。
涙が込み上げてきた。ついにやってきたのだ。私は夫のリシェール伯爵領地に着いたようだ。領民たちも心配して迎えにやってきてくれていた。領主の城からずっと皆で雪かきをしながら迎えにやってきてくれたらしい。騎士や侍女の荷物を、早速領民たちが持ってきてくれた荷台に積んでくれた。
私たちは雪かきされた道を馬を引いて進んだ。雪の下からクロッカスの黄色い花が力強く咲く時期を私は夫の領地で迎えられそうだ。私の心に嬉しさがじんわり込み上げてきた。
夫は私の頬をサッと触り、愛おしそうに私を見つめた。私も夫を見つめた。思わず二人で抱き合って、肩を組んで歩き始めた。私たちはそれぞれの片方の手で馬を引いていた。
夫の領地は木々も畑も道も何もかも真っ白い雪に覆われていていたが、やがて私の家になる城が見えてきた。一目見て、私は息を飲んだ。
「ほら、僕らの我が家だ」
ラファエルが指差す先に、幾重にも塔が重なって立ち並ぶ城が見えた。
「ここがリシェール伯爵の居城?」
「そうだ。僕らの家だ」
私は辺境伯のリシェール伯爵の立派な城についに着いたのだ。広大な領地を持つ素朴な辺境伯は、やがてジークベインリードハルトの皇帝になることが決まっている。だが、しばらくここで生活するのだ。
レティシアとケネスも歓声を上げた。
「素敵!」
いつの間にか太陽が見えてきて晴れまがのぞいていた。雪が止んだ。城の向こう側に真っ白い平原と白い雪の帽子を被った森が見えた。リシェール伯爵領内をリーデンマルク川の支流がきらきらと光りながら流れているのが見えた。
雪に反射して太陽が輝き、雪にすっぽりと隠れている畑の下に眠る野の花が、春になって姿を現すのが楽しみに思えた。
「ついてきてくれてありがとう」
「こちらこそ。こんな素敵な領地に招待してくれてありがとう、ラファエルの花嫁があなたで本当に良かったわ」
私とレティシアは笑い合って、先に領民たちと共にゆっくりと丘を下り始めた。雪の帽子をかぶった大きな城が近づいてくる。後ろを振り返ると、夫とケネスと騎士団と侍女たちが元気な顔で笑顔を浮かべてついてきていた。
ようやく夫の領地に着いたのだ。コンラート地方リシェール伯爵領は真っ白い雪に覆われていて美しい地だった。城も土地も何もかもが広大だった。
春になったら、この地に何の花が咲くのだろう。この領地で私は幸せになろう。
※すみません。明日更新します。
昨日の朝早くにジークベインリードハルトの都を出発した私たちは、コンラート地方に向かって進み続けた。
はらはらと雪が降ってくる中、木も野も真っ白に染まった荒野を進んだ。リーデンマルク川沿いに立つ城に泊めてもらった。城主は雪の中突然押しかけてきた私たちに迷惑そうな表情だったが、リシェール伯とケネス王子だとわかると泊めてくれた。
私たちは木の城門を開けてもらい、城内の暖かい暖炉のある部屋に案内された。今までと違って、城主から皇后の手紙は渡されなかった。
私たちは顔を見合わせてほっとして笑いあった。もし渡されたらどうしようと少しドキドキしていたのだ。もう皇帝選抜の旅の謎解きは終わったのだ。
私の心は雪が降ると、死を迎えた日を思い出す。どうしても納得いかない思いに溢れて飲み込まれそうになる。死を迎えてしまった時の悔しさはそう簡単には消えないのだと思う。
頭の中にあるのは、オリオン座のストーンサークルを草原で見つめていた光景と降ってきそうな程の星の中で一際輝く星の姿だ。数々の危機を皆で乗り越えながら、ワクワクもドキドキするような旅をして、熱い恋に落ちたこともだ。
死神さまがチャンスをくれた。そのことを忘れないように、マクシムス皇帝に感謝して生きよう。
私たちは雪降る中で暖かい城に泊めてもらってその晩はぐっすり眠った。空には星が一つも見えなかった。
翌朝、城で朝食を食べて、城主に感謝と別れを告げてコンラート地方に出発した。
雪が積もった道を馬を引いてひたすら歩く。ドサっと木の枝から白い雪の塊が落ちてきて、レティシアとケネスが悲鳴をあげて笑い転げた。
私とラファエルは振り返って二人を笑った。
一昨日の朝早くに、ジークベインリードハルトの都を出発した私たちは都に戻ってきた皇后と入れ替わるようにコンラート地方に向けて出発した。
陸路を進んでいて一度リシェール伯爵に戻ってから都に着いた騎士たちも、辺境伯のリシェール伯爵領についてきてくれていた。
私の夫は特別だ。私は息を弾ませて、夫の後を追った。夫が振り返って私に微笑みかけた。私を見つめるまなざしにこれほど胸がときめき、微笑みが思わず溢れてしまう。
はく息が白い。ふと気づくと、私の前を歩くラファエルと、リシェール伯爵領地から出迎えにやってきた騎士たちが合流していた。道の真ん中で互いに抱きしめあって無事を喜んでいる。
涙が込み上げてきた。ついにやってきたのだ。私は夫のリシェール伯爵領地に着いたようだ。領民たちも心配して迎えにやってきてくれていた。領主の城からずっと皆で雪かきをしながら迎えにやってきてくれたらしい。騎士や侍女の荷物を、早速領民たちが持ってきてくれた荷台に積んでくれた。
私たちは雪かきされた道を馬を引いて進んだ。雪の下からクロッカスの黄色い花が力強く咲く時期を私は夫の領地で迎えられそうだ。私の心に嬉しさがじんわり込み上げてきた。
夫は私の頬をサッと触り、愛おしそうに私を見つめた。私も夫を見つめた。思わず二人で抱き合って、肩を組んで歩き始めた。私たちはそれぞれの片方の手で馬を引いていた。
夫の領地は木々も畑も道も何もかも真っ白い雪に覆われていていたが、やがて私の家になる城が見えてきた。一目見て、私は息を飲んだ。
「ほら、僕らの我が家だ」
ラファエルが指差す先に、幾重にも塔が重なって立ち並ぶ城が見えた。
「ここがリシェール伯爵の居城?」
「そうだ。僕らの家だ」
私は辺境伯のリシェール伯爵の立派な城についに着いたのだ。広大な領地を持つ素朴な辺境伯は、やがてジークベインリードハルトの皇帝になることが決まっている。だが、しばらくここで生活するのだ。
レティシアとケネスも歓声を上げた。
「素敵!」
いつの間にか太陽が見えてきて晴れまがのぞいていた。雪が止んだ。城の向こう側に真っ白い平原と白い雪の帽子を被った森が見えた。リシェール伯爵領内をリーデンマルク川の支流がきらきらと光りながら流れているのが見えた。
雪に反射して太陽が輝き、雪にすっぽりと隠れている畑の下に眠る野の花が、春になって姿を現すのが楽しみに思えた。
「ついてきてくれてありがとう」
「こちらこそ。こんな素敵な領地に招待してくれてありがとう、ラファエルの花嫁があなたで本当に良かったわ」
私とレティシアは笑い合って、先に領民たちと共にゆっくりと丘を下り始めた。雪の帽子をかぶった大きな城が近づいてくる。後ろを振り返ると、夫とケネスと騎士団と侍女たちが元気な顔で笑顔を浮かべてついてきていた。
ようやく夫の領地に着いたのだ。コンラート地方リシェール伯爵領は真っ白い雪に覆われていて美しい地だった。城も土地も何もかもが広大だった。
春になったら、この地に何の花が咲くのだろう。この領地で私は幸せになろう。
※すみません。明日更新します。
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