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第1話 バーチャルユーチューバー
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バーチャルユーチューバー。略してVチューバーは現在、その数約2万5千人を超えると言われている。
2016年12月に活動を開始したキズナアイがYouTuber活動を行う際に、自身をそう称したことに端を発する。
今では、声優、歌い手、漫画家、インフルエンサー、お笑い芸人など一芸に秀でた者がネットで活動をする際にVチューバーを選択することも多々ある。
Vチューバーに求められる資質としては、歌唱力、トーク力、ゲームの腕前、画力、企画力、セルフプロモーション力、お笑い力、時には愛嬌、自身の声に、自分を型どる魅力的なキャラクター、そして運も必要だ。
動画配信サービス上において日夜、画面の向こうの誰かを楽しませ、笑わせ、共感し合い、時には胸を熱くさせている。
そして今、3人の女性Vチューバー達が何か一つのテーマをもとにし、トークに花を咲かせている。
1人はMCのような立ち位置で控え目に画面の端におり、2人の豪華女性Vチューバーのゲスト達にそれぞれ話を振っている。2人のゲスト達は画面を分割し、それぞれの窓を占領していた。
『え~、では次のテーマに移りたいと思いまぁ~す』
鳥の翼のような飾りを耳元につけた鷲見カンナがMCの権限をフルに使って2人の会話を遮った。
『え~!もっと話したかったのにぃ』
幼い女の子が甘えるような声で、女子高生の制服を着た水色のウェーブかかった髪を揺らす天久カミカが司会の鷲見カンナに対して不平を漏らした。彼女はチャンネル登録者数150万人を超えており、大手Vチューバー事務所『LIVER・A・LIVE』略して『ラバラブ』に所属するVチューバーだ。現在大手のVチューバー事務所は2つあり、その1つに当たるのがこの『ラバラブ』だ。そしてもう1つが、
『いやカンナちゃんナイス!今止めてなかったら絶対やばいこと言ってたでしょ!?』
メイド服を着て、頭にはメイドといえばこれ、ホワイトブリムを飾り付けた女性Vチューバー、来茉蘭が屈託のない激しいツッコミをはしゃぐような可愛らしい声で入れる。彼女はチャンネル登録者数180万人であり、『ブルーナイツ』という事務所に所属している。
ちなみにMCをしている鷲見カンナも『ブルーナイツ』のメンバーだ。加えて鷲見カンナは2期生、来茉蘭は1期生という先輩後輩の関係にある。
この『ブルーナイツ』と『ラバラブ』が日本の、いや世界の大手Vチューバー事務所だと言っても過言ではない。この2つの事務所が覇権を争っているといえば確かにそうなのだが、お互い比べられることはあっても決して敵対したりはしない。Vチューバー達の殆どがこの業界を盛り上げたいという想いでいる。
『次のテーマは……フフフ、皆様大変お待たせしました。テーマというかもう企画なんですけど、ぇ~題して!!』
鷲見カンナは仕切り直すようにして声を発する。その声には声を反響させるエコーのようなものがかかっていた。
『風の吹くまま気の向くまま……一体誰がイケボを見張るのか?一体誰がイケボをキャッチするのか?イケボキャッチャー鷲見がお届けする未確認声帯実録~!!』
『おっ!!』
『よっ!!』
2人の大物Vチューバーが拍手をしながら囃し立てる。
『まずはお2人の好きな声についてお聞かせ願いますか?私はぁ、やっぱり声優の神山さんとかぁ、宮森さんとかぁ、外村さんとかぁ……あぁんでもVだったらぁ、榊くんとかぁ、神楽坂くんとかぁ……』
好みの声を有する男性の名前を艶かしい言い方で鷲見カンナは言った。
〉だれかMCとめろ
〉始まった……
〉ゲスト無視すな
〉そこら辺は王道だな
〉エコーかかったまんまだぞ
コメント欄が加速する中、その独り言ともとれるMCの言葉に先輩の来茉蘭と天久カミカが参加した。
『わかる!』
『みんなめっちゃいい声だよね!!』
来茉蘭が続けて言った。
『でも今ので、カンナちゃんの声の好みわかった気がする』
『え~そぉう?』
『高い声なんだけど渋めな感じの声好きでしょ?』
『っんぼ!!そう!!めっちゃ好き!!』
〉マイクから離れてもろて
〉ゲストに回させんな
〉その声好きだよな
興奮さめやらぬ状態でMCである鷲見カンナが天久カミカに話を振った。
『カミカちゃんはどんな声が好きぃ?』
『……』
しばしの静寂、バックに流れているポップな旋律が次のループに入ったその時、その静けさが嵐の前であることに気付かされた。
『外村さん良いよねぇ!!!!!!!!』
『うるさっ』
『うんうんマジで良いよねぇ』
1人はツッコミを1人は共感を示す。コメント欄は、
〉声でっか
〉鼓膜ないなった
〉ミュートになってますよ!
〉興奮しすぎてそっとむらさんって言うてもうてるやん
『あぁぁ!あの声に抱かれたい!あの声を織り込んでお布団にしたい!!あの声を水に溶かしてお風呂に入りたい!!』
〉変態過ぎて草
〉発想が天才、じゃなくて変態
〉そんなことよく思い付くな
〉キモすぎw
声に対する欲望を天久カミカはこれでもかと畳み掛ける。それに対して同じくゲストの来茉蘭は笑った。
『キャッハハハハ、変態過ぎ!てかもう私が何答えてもカミカちゃんのそのインパクトを越えられないわ!!』
MCの鷲見カンナがうんうんと唸るなか、進行を続ける。
『ぇ~本当なら毎週この企画をやっていたいんですが、イケボというのはなかなか発見するのが難しいのです。勿論良い声のVチューバーはたくさんいるのですが、だいたい既存の声優さんや俳優さんの声に似ているんですよ。しか~し!!これから紹介するVチューバーは今までにないようなイケボ!U.M.Aです!』
『え?誰だろ?』
『気になる~!!』
〉鷲見が言うなら間違いなさそう
〉わくわく
〉誰だ?
コメント欄とゲストVチューバー達の意見が一致したところで鷲見カンナは説明する。
『尚、これから紹介するVチューバーさんには事前に許可をとっているのでご了承ください。まず立ち絵がこちら……』
明るいオレンジ色の髪。前髪を生え際まで上げ、サイドに流したヘアスタイル。所謂かきあげスタイル。奥二重の目はどこか上目遣いで、見る者を挑発しているように見えた。
『顔が良い……』
『あぁ良い……』
『良いでしょ!?良いでしょ!?』
〉知らない顔だ
〉誰だ?
〉エドヴァルド!?
〉とうとう見付かったか
『え~彼の名前はエドヴァルド・ブレインさん。吸血鬼にして同族を狩るエクソシストでもあります』
〉設定がややこしいな
〉個人勢?
〉それで?声は?
『そ、それで、肝心の声は?』
『は、早く声を……』
『それでは早速聴いて頂きましょう!!どうぞ~』
────────────────────────────────────────────────────────────────────────
第1話を読んで頂きありがとうございます。この物語のテーマは人のもつ多面的な側面について描いております。それが最もよくわかるのが25話なので、そこまで読んで頂けると幸いです。
全185話となっております。
ゴールデンウィーク期間は1日2話投稿致します。長い物語になりますが宜しくお願い申し上げます。
2016年12月に活動を開始したキズナアイがYouTuber活動を行う際に、自身をそう称したことに端を発する。
今では、声優、歌い手、漫画家、インフルエンサー、お笑い芸人など一芸に秀でた者がネットで活動をする際にVチューバーを選択することも多々ある。
Vチューバーに求められる資質としては、歌唱力、トーク力、ゲームの腕前、画力、企画力、セルフプロモーション力、お笑い力、時には愛嬌、自身の声に、自分を型どる魅力的なキャラクター、そして運も必要だ。
動画配信サービス上において日夜、画面の向こうの誰かを楽しませ、笑わせ、共感し合い、時には胸を熱くさせている。
そして今、3人の女性Vチューバー達が何か一つのテーマをもとにし、トークに花を咲かせている。
1人はMCのような立ち位置で控え目に画面の端におり、2人の豪華女性Vチューバーのゲスト達にそれぞれ話を振っている。2人のゲスト達は画面を分割し、それぞれの窓を占領していた。
『え~、では次のテーマに移りたいと思いまぁ~す』
鳥の翼のような飾りを耳元につけた鷲見カンナがMCの権限をフルに使って2人の会話を遮った。
『え~!もっと話したかったのにぃ』
幼い女の子が甘えるような声で、女子高生の制服を着た水色のウェーブかかった髪を揺らす天久カミカが司会の鷲見カンナに対して不平を漏らした。彼女はチャンネル登録者数150万人を超えており、大手Vチューバー事務所『LIVER・A・LIVE』略して『ラバラブ』に所属するVチューバーだ。現在大手のVチューバー事務所は2つあり、その1つに当たるのがこの『ラバラブ』だ。そしてもう1つが、
『いやカンナちゃんナイス!今止めてなかったら絶対やばいこと言ってたでしょ!?』
メイド服を着て、頭にはメイドといえばこれ、ホワイトブリムを飾り付けた女性Vチューバー、来茉蘭が屈託のない激しいツッコミをはしゃぐような可愛らしい声で入れる。彼女はチャンネル登録者数180万人であり、『ブルーナイツ』という事務所に所属している。
ちなみにMCをしている鷲見カンナも『ブルーナイツ』のメンバーだ。加えて鷲見カンナは2期生、来茉蘭は1期生という先輩後輩の関係にある。
この『ブルーナイツ』と『ラバラブ』が日本の、いや世界の大手Vチューバー事務所だと言っても過言ではない。この2つの事務所が覇権を争っているといえば確かにそうなのだが、お互い比べられることはあっても決して敵対したりはしない。Vチューバー達の殆どがこの業界を盛り上げたいという想いでいる。
『次のテーマは……フフフ、皆様大変お待たせしました。テーマというかもう企画なんですけど、ぇ~題して!!』
鷲見カンナは仕切り直すようにして声を発する。その声には声を反響させるエコーのようなものがかかっていた。
『風の吹くまま気の向くまま……一体誰がイケボを見張るのか?一体誰がイケボをキャッチするのか?イケボキャッチャー鷲見がお届けする未確認声帯実録~!!』
『おっ!!』
『よっ!!』
2人の大物Vチューバーが拍手をしながら囃し立てる。
『まずはお2人の好きな声についてお聞かせ願いますか?私はぁ、やっぱり声優の神山さんとかぁ、宮森さんとかぁ、外村さんとかぁ……あぁんでもVだったらぁ、榊くんとかぁ、神楽坂くんとかぁ……』
好みの声を有する男性の名前を艶かしい言い方で鷲見カンナは言った。
〉だれかMCとめろ
〉始まった……
〉ゲスト無視すな
〉そこら辺は王道だな
〉エコーかかったまんまだぞ
コメント欄が加速する中、その独り言ともとれるMCの言葉に先輩の来茉蘭と天久カミカが参加した。
『わかる!』
『みんなめっちゃいい声だよね!!』
来茉蘭が続けて言った。
『でも今ので、カンナちゃんの声の好みわかった気がする』
『え~そぉう?』
『高い声なんだけど渋めな感じの声好きでしょ?』
『っんぼ!!そう!!めっちゃ好き!!』
〉マイクから離れてもろて
〉ゲストに回させんな
〉その声好きだよな
興奮さめやらぬ状態でMCである鷲見カンナが天久カミカに話を振った。
『カミカちゃんはどんな声が好きぃ?』
『……』
しばしの静寂、バックに流れているポップな旋律が次のループに入ったその時、その静けさが嵐の前であることに気付かされた。
『外村さん良いよねぇ!!!!!!!!』
『うるさっ』
『うんうんマジで良いよねぇ』
1人はツッコミを1人は共感を示す。コメント欄は、
〉声でっか
〉鼓膜ないなった
〉ミュートになってますよ!
〉興奮しすぎてそっとむらさんって言うてもうてるやん
『あぁぁ!あの声に抱かれたい!あの声を織り込んでお布団にしたい!!あの声を水に溶かしてお風呂に入りたい!!』
〉変態過ぎて草
〉発想が天才、じゃなくて変態
〉そんなことよく思い付くな
〉キモすぎw
声に対する欲望を天久カミカはこれでもかと畳み掛ける。それに対して同じくゲストの来茉蘭は笑った。
『キャッハハハハ、変態過ぎ!てかもう私が何答えてもカミカちゃんのそのインパクトを越えられないわ!!』
MCの鷲見カンナがうんうんと唸るなか、進行を続ける。
『ぇ~本当なら毎週この企画をやっていたいんですが、イケボというのはなかなか発見するのが難しいのです。勿論良い声のVチューバーはたくさんいるのですが、だいたい既存の声優さんや俳優さんの声に似ているんですよ。しか~し!!これから紹介するVチューバーは今までにないようなイケボ!U.M.Aです!』
『え?誰だろ?』
『気になる~!!』
〉鷲見が言うなら間違いなさそう
〉わくわく
〉誰だ?
コメント欄とゲストVチューバー達の意見が一致したところで鷲見カンナは説明する。
『尚、これから紹介するVチューバーさんには事前に許可をとっているのでご了承ください。まず立ち絵がこちら……』
明るいオレンジ色の髪。前髪を生え際まで上げ、サイドに流したヘアスタイル。所謂かきあげスタイル。奥二重の目はどこか上目遣いで、見る者を挑発しているように見えた。
『顔が良い……』
『あぁ良い……』
『良いでしょ!?良いでしょ!?』
〉知らない顔だ
〉誰だ?
〉エドヴァルド!?
〉とうとう見付かったか
『え~彼の名前はエドヴァルド・ブレインさん。吸血鬼にして同族を狩るエクソシストでもあります』
〉設定がややこしいな
〉個人勢?
〉それで?声は?
『そ、それで、肝心の声は?』
『は、早く声を……』
『それでは早速聴いて頂きましょう!!どうぞ~』
────────────────────────────────────────────────────────────────────────
第1話を読んで頂きありがとうございます。この物語のテーマは人のもつ多面的な側面について描いております。それが最もよくわかるのが25話なので、そこまで読んで頂けると幸いです。
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